ぽんきちさん
レビュアー:
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「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず(鴨長明)」――身近な川に潜む謎、そして川が果たす大きな役割とは。
ブルーバックスによる川の入門書。
第1章で川にまつわる数々の謎を解き明かした後、第2章では多摩川を取り上げて上流から下流へと旅をし、最後の第3章には地球と川のちょっと大胆な仮説まで。
読みやすく、エキサイティングで、すこぶるおもしろい。
取り上げられている謎は、例えば標高4000mのヒマラヤを超えていく川、源流がない川、砂漠で起こる洪水とさまよえる湖、河川間の争奪合戦とさまざま。
意外に数が多い天井川(平地より高いところを流れる川)や河岸段丘の出来る経緯も興味深い。
中でも驚いたのは、海の中でも川が流れているというお話。源流から流れ出た川は、長い旅をして海へと至る。けれどもそこで終わりではなく、川に含まれる土砂はさらに海底の傾斜に沿って流れていく。行く先は海溝だ。日本海溝の最深部は水深9000mを超える。ここから例えば富士山を見上げれば、1万3000mもの高さに見える。日本に降った雨水は、最大それだけの落差を流れ下っていることになる。こうしたことがわかってきたのは海底の研究が進んだことが大きい。
海溝に流れ込んだ土砂はプレートの運動により地球の内部に運ばれ、火山活動などで再び地表へと戻る。
川は地球の物質循環の大きなサイクルを形作る1つであるわけだ。
多摩川を例にとりながら、上流・中流・下流に関するトピックを語る第2章では、分水界とは何か、日本の川は世界の川の中で本当に急流なのか、扇状地や中洲はどうしてできるか、などを解説していく。多摩川の特徴的なスポットを巡り、ちょっとした河川散歩の気分である。章の最後にはイラスト地図付き。
第3章では、著者による大胆仮説が3つ。アマゾン川とニジェール川は実はつながっていたのではないかなど、素人が聞いてもちょっと大胆過ぎて、証明のしようもなさそうなのだが、何だかわくわくさせられる話でもある。
地球の大きな動きと川のなりたちに深いつながりがあるのだとしたら、あるいは太古の超大陸パンゲアには、想像もつかないような大河があって、今の川はその名残りである、のかもしれない。
滔々たる大河がたたえるロマンである。
第1章で川にまつわる数々の謎を解き明かした後、第2章では多摩川を取り上げて上流から下流へと旅をし、最後の第3章には地球と川のちょっと大胆な仮説まで。
読みやすく、エキサイティングで、すこぶるおもしろい。
取り上げられている謎は、例えば標高4000mのヒマラヤを超えていく川、源流がない川、砂漠で起こる洪水とさまよえる湖、河川間の争奪合戦とさまざま。
意外に数が多い天井川(平地より高いところを流れる川)や河岸段丘の出来る経緯も興味深い。
中でも驚いたのは、海の中でも川が流れているというお話。源流から流れ出た川は、長い旅をして海へと至る。けれどもそこで終わりではなく、川に含まれる土砂はさらに海底の傾斜に沿って流れていく。行く先は海溝だ。日本海溝の最深部は水深9000mを超える。ここから例えば富士山を見上げれば、1万3000mもの高さに見える。日本に降った雨水は、最大それだけの落差を流れ下っていることになる。こうしたことがわかってきたのは海底の研究が進んだことが大きい。
海溝に流れ込んだ土砂はプレートの運動により地球の内部に運ばれ、火山活動などで再び地表へと戻る。
川は地球の物質循環の大きなサイクルを形作る1つであるわけだ。
多摩川を例にとりながら、上流・中流・下流に関するトピックを語る第2章では、分水界とは何か、日本の川は世界の川の中で本当に急流なのか、扇状地や中洲はどうしてできるか、などを解説していく。多摩川の特徴的なスポットを巡り、ちょっとした河川散歩の気分である。章の最後にはイラスト地図付き。
第3章では、著者による大胆仮説が3つ。アマゾン川とニジェール川は実はつながっていたのではないかなど、素人が聞いてもちょっと大胆過ぎて、証明のしようもなさそうなのだが、何だかわくわくさせられる話でもある。
地球の大きな動きと川のなりたちに深いつながりがあるのだとしたら、あるいは太古の超大陸パンゲアには、想像もつかないような大河があって、今の川はその名残りである、のかもしれない。
滔々たる大河がたたえるロマンである。
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw
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- 出版社:講談社
- ページ数:224
- ISBN:9784062578851
- 発売日:2014年10月21日
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