書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

星落秋風五丈原
レビュアー:
互联网时代的胡闹(インターネットのから騒ぎ)
 牛小麗は怒っていた。「こんなはずではなかった」甲斐性のない兄牛小実にやっと後添い宋彩霞が見つかり、結納金を払うため金貸しに舌を入れるキスまで許したのに、宋彩霞は結婚5日で姿をくらました。婚約者がいて結婚間近の牛小麗は、金を取り返すために宋彩霞と同郷だと言う辛家の嫁・朱菊花を連れて故郷に向かうが、何と今度は朱菊花に旅費を持ち逃げされてしまう。“来た時よりも美しく”ならぬ“来た時よりも貧しく“なってしまった牛小麗は、あるビジネスに手を染める。

 李安邦も怒っていた。「こんなはずではなかった」25年前は良き友人であった朱玉臣と、市長のポストを巡って争い仲違いしたことをずっと気に病んでいた彼は、朱玉臣の宿敵と言われる父親にサービスして自分の心証を良くしようと画策。その矢先、ドラ息子李棟梁が交通事故を起こしてしまった。それもただの事故ではない。

 楊開拓も怒っていた。「こんなはずではなかった」甥の結婚式に出席していい気分でいた所を、彩虹三橋崩落のニュースが入り現場に直行。その際ニュース映像に出た彼が笑顔だったことが広まり、“微笑兄貴”、次に高そうな外国製の時計をしていたため“表哥=母方の従兄(腕時計をしたお兄さんという意味がある)”というニックネームが流布される。

 場所も怒りの元も別々な3人がある事件で繋がり、ネットを介して広まる。しかしいずれもインターネット警察がすぐさま削除というここだけはリアル社会でも行われている行為によって皆の前から姿を消す。そのため邦題の“狂詩曲”のような狂騒の期間は極めて短い。今や日本を蹴落とし世界第二位のGDPを誇り、一帯一路をぶち上げるわりには、脱線新幹線をろくに原因究明もせずささっと片づけてしまうアバウトな面も、国にとって危険な人物がいつの間にか消えているという怖い面も持ち合わせている隣国。名前はもちろんフィクション化してるとはいえ、総てリアルの事件を取り上げている本編が、よく中国で出版されたもんだ。

劉 震雲作品
わたしは潘金蓮じゃない
盗みは人のためならず
一日三秋
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
星落秋風五丈原
星落秋風五丈原 さん本が好き!1級(書評数:2306 件)

2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。

読んで楽しい:4票
参考になる:25票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『ネット狂詩曲』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ