ぷるーとさん
レビュアー:
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人と人のの繋がりの大切さ、深さ、温かさ。
主人公の青瀬稔は、埼玉・所沢に住む一級建築士。都心の大手建築事務所に勤めていたが、バブル崩壊とともに職場を追われ、友人の設計事務所に拾われた。
父親がダム建築現場で働いていたため、小さい頃転校ばかりしていた青瀬は友人もできず、父親に買ってもらった九官鳥が友だち代わりだった。そのためか人付き合いが下手で、会社を辞めたあとインテリアデザイナーの妻とも離婚してしまい、投げやりな心情を抱えていた。
そんな青瀬に、「あなたの住みたい家をつくってください」という奇妙な設計依頼が来た。青瀬は、少年時代に住み慣れたダムの飯場と同じ北から光が入るノースライトの家を建てた。半年ほど前に施主に引渡したその家は、『平成のすまい二〇〇選』に選ばれ、青瀬も内心、これが自分の代表作となるだろうと満足していた。
ところが、その家の施主である吉野から、まったく連絡がなくなってしまった。家を引き渡したわけだからそれでもかまわないのだが、竣工までは頻繁に会っていただけに、態度の急変に違和感を感じた青瀬は、思い切って家まで行ってみた。すると、その家はもぬけの殻で、誰かが引っ越してきたという気配などまったくなかった。
依頼主は、なぜ引っ越してこなかったのか。吉野一家は何かの事件にまきこまれたのか。その家にただひとつあった椅子は、何を意味するのか。青瀬は、その椅子を手がかりにして、吉野探しを始める。
吉野探しというミステリを縦軸に、青瀬と青瀬の友人で設計事務所の所長でもある岡崎二人それぞれの人間関係と家族への思いを横軸にした話は、優しさと哀しみにあふれていた。
父親がダム建築現場で働いていたため、小さい頃転校ばかりしていた青瀬は友人もできず、父親に買ってもらった九官鳥が友だち代わりだった。そのためか人付き合いが下手で、会社を辞めたあとインテリアデザイナーの妻とも離婚してしまい、投げやりな心情を抱えていた。
そんな青瀬に、「あなたの住みたい家をつくってください」という奇妙な設計依頼が来た。青瀬は、少年時代に住み慣れたダムの飯場と同じ北から光が入るノースライトの家を建てた。半年ほど前に施主に引渡したその家は、『平成のすまい二〇〇選』に選ばれ、青瀬も内心、これが自分の代表作となるだろうと満足していた。
ところが、その家の施主である吉野から、まったく連絡がなくなってしまった。家を引き渡したわけだからそれでもかまわないのだが、竣工までは頻繁に会っていただけに、態度の急変に違和感を感じた青瀬は、思い切って家まで行ってみた。すると、その家はもぬけの殻で、誰かが引っ越してきたという気配などまったくなかった。
依頼主は、なぜ引っ越してこなかったのか。吉野一家は何かの事件にまきこまれたのか。その家にただひとつあった椅子は、何を意味するのか。青瀬は、その椅子を手がかりにして、吉野探しを始める。
吉野探しというミステリを縦軸に、青瀬と青瀬の友人で設計事務所の所長でもある岡崎二人それぞれの人間関係と家族への思いを横軸にした話は、優しさと哀しみにあふれていた。
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ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
よろしくお願いします。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:429
- ISBN:9784104654024
- 発売日:2019年02月22日
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