Kuraraさん
レビュアー:
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作家の娘は逞しい!!
いやいやいや、、、そうだったんだ!と、まず驚いた。
荒野さんのお父さまが小説家ってことまでは知っていました。お母様がお料理上手であったこともTwitterで拝見していました。
しかし、これは知らなかったというのがこの小説の主旨、瀬戸内寂聴さんが荒野さんのお父さまと不倫関係にあったということです。しかも、井上光晴氏との関係を止めて、出家したというんだから、寂聴さんにとっても大きな転換期にお付き合いしていた男性ということになる。
いや、それは良いとして(と言いつつも動揺)、父親の不倫、しかも相手は大物、これだけでもう躊躇しちゃいそうな話だけれども、それをご本人が書くのではなく、娘が書いてしまっているところに「ぎょえーー」と奇声を発っしそうなくらいわなわなしてしまいます。みんながみんな小説家であることもなにげに凄いことだし。いろんな意味でレベルが違う。....ということで、読む前から心臓バクバクさせながら読みました。
壇一雄もそうでしたが(先日読んだばかり)荒野さんのお父さまも、絵に書いたような女癖の悪さが際立ちます。そして妻はそういう夫と知りながらも別れたりしない。夫婦関係とはつくづく不思議なものだなぁと深いため息が出てしまうのですが、魅力ある人々の吸引力になかなか読むのを止められない私。
荒野さんがどんな環境で育ち、作家の道へ進まれたかも手に取るように分かる。というか、もう小さい頃から作家の道へ進むことが決まっていたかのような方、むしろ他の道はなかったんじゃないかと思われるほど自然に物書きになったとう感じが窺えます。
本書の注目どころは、寂聴さんと荒野さんの母親との関係性です。夫の浮気相手と本妻が仲良くなるという。最終的には娘までもが寂聴さんと交流が生まれているわけですから「すごい」の一言に尽きる。この奇妙な関係性は一体どうやって築かれたのか、ごくごく自然な形ではあったようですが、冷静に考えてみると普通じゃあり得ない関係なんですよね。
あともうひとつ。意外にもサラッと書かれていますが、寂聴さんが出家に至ったきっかけとも言える出来事も知れて良かったかな。小説では意外にもパッと決めたような印象があるのですが、実のところどのぐらい悩み、決断されたのでしょうか?
現在、荒野さんのご両親はお亡くなりになっています。お二人が眠っている場所ににも注目です。
当時5歳だった娘の荒野さんも現在は58歳。そして、93歳の寂聴さん。
思い出を語り合うのに十分な時間が経過し、温めて来た思いを書くタイミングとして丁度良い頃合いだったのでしょう。どんな気持ちでこの本を書いていたのか、私たちには計り知れないものがありますが、とにもかくにも当時の様子を生々しくも下品にならぬように描いたことは流石だと思います。そしてなにより作家の妻も娘も逞しいなぁと感じます。
今後ますます瀬戸内晴美時代の小説とあれこれを繋げ、想像豊かに読むことになるわたくし。何故かわくわくした気持ちが止まりません(←悪趣味です)
荒野さんのお父さまが小説家ってことまでは知っていました。お母様がお料理上手であったこともTwitterで拝見していました。
しかし、これは知らなかったというのがこの小説の主旨、瀬戸内寂聴さんが荒野さんのお父さまと不倫関係にあったということです。しかも、井上光晴氏との関係を止めて、出家したというんだから、寂聴さんにとっても大きな転換期にお付き合いしていた男性ということになる。
いや、それは良いとして(と言いつつも動揺)、父親の不倫、しかも相手は大物、これだけでもう躊躇しちゃいそうな話だけれども、それをご本人が書くのではなく、娘が書いてしまっているところに「ぎょえーー」と奇声を発っしそうなくらいわなわなしてしまいます。みんながみんな小説家であることもなにげに凄いことだし。いろんな意味でレベルが違う。....ということで、読む前から心臓バクバクさせながら読みました。
壇一雄もそうでしたが(先日読んだばかり)荒野さんのお父さまも、絵に書いたような女癖の悪さが際立ちます。そして妻はそういう夫と知りながらも別れたりしない。夫婦関係とはつくづく不思議なものだなぁと深いため息が出てしまうのですが、魅力ある人々の吸引力になかなか読むのを止められない私。
荒野さんがどんな環境で育ち、作家の道へ進まれたかも手に取るように分かる。というか、もう小さい頃から作家の道へ進むことが決まっていたかのような方、むしろ他の道はなかったんじゃないかと思われるほど自然に物書きになったとう感じが窺えます。
本書の注目どころは、寂聴さんと荒野さんの母親との関係性です。夫の浮気相手と本妻が仲良くなるという。最終的には娘までもが寂聴さんと交流が生まれているわけですから「すごい」の一言に尽きる。この奇妙な関係性は一体どうやって築かれたのか、ごくごく自然な形ではあったようですが、冷静に考えてみると普通じゃあり得ない関係なんですよね。
あともうひとつ。意外にもサラッと書かれていますが、寂聴さんが出家に至ったきっかけとも言える出来事も知れて良かったかな。小説では意外にもパッと決めたような印象があるのですが、実のところどのぐらい悩み、決断されたのでしょうか?
現在、荒野さんのご両親はお亡くなりになっています。お二人が眠っている場所ににも注目です。
当時5歳だった娘の荒野さんも現在は58歳。そして、93歳の寂聴さん。
思い出を語り合うのに十分な時間が経過し、温めて来た思いを書くタイミングとして丁度良い頃合いだったのでしょう。どんな気持ちでこの本を書いていたのか、私たちには計り知れないものがありますが、とにもかくにも当時の様子を生々しくも下品にならぬように描いたことは流石だと思います。そしてなにより作家の妻も娘も逞しいなぁと感じます。
今後ますます瀬戸内晴美時代の小説とあれこれを繋げ、想像豊かに読むことになるわたくし。何故かわくわくした気持ちが止まりません(←悪趣味です)
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ジャンルを問わず、年間200冊を目標に読書をしています。
「たしかあの人が、あんなことを言っていたな…」というような、うっすら記憶に残る書評を書いていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:朝日新聞出版
- ページ数:312
- ISBN:9784022515919
- 発売日:2019年02月07日
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