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人間、いつどこで何が起きるか分かりません。だからこそ毎日を一生懸命生きなければならないのでしょう。
本書は、野坂昭如氏が2003年に脳梗塞を発症した翌年から、2015年に急逝するまでに書いたエッセイを集めたものだ。ほとんどが亡くなるその日までの日記形式となっているが、エッセイ集と言った方が実態に近いだろう。
収められている内容は、自身の病気とそれに伴うリハビリのこと、家族のこと、政治に関すること。そして戦争の記憶。色々なテーマについてユーモラスに、時にシニカルな筆致で書かれている。
野坂昭如氏は、作家活動だけでなく歌手など多彩な活動をしていたことで知られている。ご本人は、「黒の舟歌」が唯一のヒットソング(p11)だと言っているが、私にはあの歌は、長谷川きよしさんの持ち歌だというイメージがある。それよりは「マリリンモンロー・ノーリタン」というフレーズが頭の中に響き渡っているのであるが、数字としては「黒の舟歌」の方がよかったのだろうか。
著者の作家としての代表作は、なんといっても「火垂るの墓」だろう。毎年のように、終戦時期になるとテレビで放映されるので視たことのある人が多いと思う。もちろん著者の戦争体験がベースになってはいるのだが、実際にはそれほど優しい兄ではなく、その贖罪の気持ちが、あの作品を書かせたようだ。
日記形式で書かれた部分は「だまし庵日記」というタイトルとなっているが、その日付を見ると、まさに亡くなったその日、2015年12月9日まで書かれているのが分かる。その夜亡くなったということだから、まさに急逝だったのだろう。調べてみると心不全らしかった。人間一寸先は闇。何が起こるか分からない。それは特に歳を重ねるとなおさらだ。だからこそ毎日を私たちは力いっぱい生きなければならないのだろう。
収められている内容は、自身の病気とそれに伴うリハビリのこと、家族のこと、政治に関すること。そして戦争の記憶。色々なテーマについてユーモラスに、時にシニカルな筆致で書かれている。
野坂昭如氏は、作家活動だけでなく歌手など多彩な活動をしていたことで知られている。ご本人は、「黒の舟歌」が唯一のヒットソング(p11)だと言っているが、私にはあの歌は、長谷川きよしさんの持ち歌だというイメージがある。それよりは「マリリンモンロー・ノーリタン」というフレーズが頭の中に響き渡っているのであるが、数字としては「黒の舟歌」の方がよかったのだろうか。
著者の作家としての代表作は、なんといっても「火垂るの墓」だろう。毎年のように、終戦時期になるとテレビで放映されるので視たことのある人が多いと思う。もちろん著者の戦争体験がベースになってはいるのだが、実際にはそれほど優しい兄ではなく、その贖罪の気持ちが、あの作品を書かせたようだ。
なにより作品自体、実体験の如く受け止められているが、事実は違う。ぼくはあんなに優しい兄ではなかったという罪悪感があった。(p31)
日記形式で書かれた部分は「だまし庵日記」というタイトルとなっているが、その日付を見ると、まさに亡くなったその日、2015年12月9日まで書かれているのが分かる。その夜亡くなったということだから、まさに急逝だったのだろう。調べてみると心不全らしかった。人間一寸先は闇。何が起こるか分からない。それは特に歳を重ねるとなおさらだ。だからこそ毎日を私たちは力いっぱい生きなければならないのだろう。
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昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:636
- ISBN:9784101112107
- 発売日:2018年12月22日
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