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ぽーるばにやん
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塾の始まりから、教育について描かれていて考えさせられる本です。親子三世代に渡って描かれる時の流れが読みごたえたっぷりでした。
ページも厚く読みごたえある内容でした。今でこそ、塾は当たり前の存在で有名進学塾の人気講師がテレビにタレント並みに出演している時代ですが、この本はそんな塾の存在が少なかった頃からの話です。

小学校の用務員として働いていた吾郎が、用務員室で数人の子どもの勉強を見ていました。教えるのが上手な吾郎の手解きで勉強が解るようになる子どもも多く、吾郎もやりがいを感じていましたがある日、学校に吾郎の素行について投書が送り込まれ学校を辞めることになりました。そこに、用務員室で勉強を教えていた蕗子の母親が吾郎に塾を一緒に開かないかと打診があります。
そして、吾郎は蕗子の母親の千明と共に人生を歩むことになります。

学校教育と塾の教育は敵対関係にあり、その時々で文部省からの塾に対する軋轢や締め付けがあったり、平等な教育をとうたいながらも実際はエリートしか必要としない偏差値教育。

そういえば、ゆとり教育も失敗だったしなぁ。本書でゆとり教育について書かれ、内容に驚いた頁がある。
「たしかさ、ゆとりが始まった頃、 文科省の官僚が断言してたじゃん、これで落ちこぼれはいなくなるって。けど、全然、いなくならなかったわけだよな。むしろ授業時間が減ったせいで勉強についていけなくなる子どもが増えたんじゃないのか。で、塾へ行ける子たちは行って行けない子たちが取り残された」

「ゆとり教育の言い出しっぺって、誰だか知ってる?」……「……ゆとりについてどえらい本音をぶちまけてるぜ『 学力低下は予測し得る不安と言うか、覚悟しながら教課審(教育課程審議会)をやっとりました。いや、 逆に平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならんということです。つまり、できんも者はできんままで結構。戦後50年、落ちこぼれの底辺を上げることにばかり注いできた労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でいい、やがて彼らが国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです』

つまりは、ゆとりの裏にはエリートしか残さないという裏の思惑があったという。いやはや、あまり教育については知識がないのでこの内容が嘘かホントかわからないが、現状をみるとあり得なくはないと思ってしまえるのが恐ろしい。
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ぽーるばにやん
ぽーるばにやん さん本が好き!1級(書評数:620 件)

コロナのため仕事が忙しく読書量が減ったのと、読書だけではストレス解消できなくなってきた今日このごろ。最近は、積読本の処理を中心にしています。何でもかんでも読むから厳選して読むに意識を変更しようと改革中。
 
 ★の数はその時の気分次第。

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