たけぞうさん
レビュアー:
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なにげに存在感あり。乙女の本棚シリーズ。
夏目漱石の夢十夜に、イラストレーターのしきみさんが挿絵をつけた一冊です。
たまたま本作を手にしました。
文豪作品に人気のイラストレーターが挿絵をつけるというコンセプトは
なかなかいいと思ったのですが、それ以上に帯を見て驚きました。
印象的だった先行書評がこのシリーズだったのです。
こまちさんの書評「蜜柑」です。偶然ですが、なんだか得をした気分です。
夢十夜は読もうと思っていた作品で、新潮社の文庫版を積読済みです。
これで我が家には夢十夜の収録作が二冊となりましたが、
趣向が違うのでそれはそれでよしです。少し時間をおいて小説版を読めば、
また違った味わいがありそうで楽しみです。
さて、本作はしきみさんコラボの夢十夜です。
お話自体は短いのですね。全部で十話の連作短篇です。
夏目漱石は何冊か読んでいますが、格調の高さに連戦連敗中です。
唯一、こころだけはかなり時間をおいた再読でやっとつかんだ感じがするのですが、
それ以外はいつ再戦になるのやら見当もつかないです。
そこに夢十夜です。
夏目漱石に興味があるけれど、とっつきにくいという方にお薦めしたいですね。
分かりそうで分からなく、目が覚めるとおぼろげな記憶が断片的に
散らばっていく感じがします。つまり、なにか心に引っかかるけれど、
話としては破綻している短篇集なのですね。
いい意味で幻想的です。
挿絵がいい感じです。おとぎ話を絵本で読む感じがしますよ。
こんな夢を見たという一文で物語は始まります。
腕組みをして枕元に坐っていると、
仰向けに寝た女が静かな声でもう死にますと言うのです。
挿絵では、海の底に敷いた布団に伏せる女が一人。
髪は枕元で広がり、胸のまえで指を組んでまっすぐにこちらを見つめています。
これが死にゆく女なのでしょう。
死んでから埋めて下さい。
百年待っていて下さい。
自分は女の言われた通りに墓をつくり、女を待つ時間が始まります。
そんな一篇が第一夜です。
全十夜のうちさっぱり分からないような章がいくつもあります。
しかしこの作品集には中毒性があって、不可思議な世界に迷いこみたくなるのです。
挿絵が世界観を捉えていて素敵です。
これは素晴らしい試みです。シリーズのほかの作品も読みたくなりますね。
たまたま本作を手にしました。
文豪作品に人気のイラストレーターが挿絵をつけるというコンセプトは
なかなかいいと思ったのですが、それ以上に帯を見て驚きました。
印象的だった先行書評がこのシリーズだったのです。
こまちさんの書評「蜜柑」です。偶然ですが、なんだか得をした気分です。
夢十夜は読もうと思っていた作品で、新潮社の文庫版を積読済みです。
これで我が家には夢十夜の収録作が二冊となりましたが、
趣向が違うのでそれはそれでよしです。少し時間をおいて小説版を読めば、
また違った味わいがありそうで楽しみです。
さて、本作はしきみさんコラボの夢十夜です。
お話自体は短いのですね。全部で十話の連作短篇です。
夏目漱石は何冊か読んでいますが、格調の高さに連戦連敗中です。
唯一、こころだけはかなり時間をおいた再読でやっとつかんだ感じがするのですが、
それ以外はいつ再戦になるのやら見当もつかないです。
そこに夢十夜です。
夏目漱石に興味があるけれど、とっつきにくいという方にお薦めしたいですね。
分かりそうで分からなく、目が覚めるとおぼろげな記憶が断片的に
散らばっていく感じがします。つまり、なにか心に引っかかるけれど、
話としては破綻している短篇集なのですね。
いい意味で幻想的です。
挿絵がいい感じです。おとぎ話を絵本で読む感じがしますよ。
こんな夢を見たという一文で物語は始まります。
腕組みをして枕元に坐っていると、
仰向けに寝た女が静かな声でもう死にますと言うのです。
挿絵では、海の底に敷いた布団に伏せる女が一人。
髪は枕元で広がり、胸のまえで指を組んでまっすぐにこちらを見つめています。
これが死にゆく女なのでしょう。
死んでから埋めて下さい。
百年待っていて下さい。
自分は女の言われた通りに墓をつくり、女を待つ時間が始まります。
そんな一篇が第一夜です。
全十夜のうちさっぱり分からないような章がいくつもあります。
しかしこの作品集には中毒性があって、不可思議な世界に迷いこみたくなるのです。
挿絵が世界観を捉えていて素敵です。
これは素晴らしい試みです。シリーズのほかの作品も読みたくなりますね。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:立東舎
- ページ数:72
- ISBN:9784845632954
- 発売日:2018年12月15日
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