武藤吐夢さん
レビュアー:
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タモさんの「世にも奇妙な物語」に憧れた。朝井リョウの「世にも奇妙な・・・」
作者の朝井さんは、タモリのあの番組のファンでした。
自分で、あの世界を書いてみようとして書き上げたのが、本作「世にも奇妙な君物語」です。
だから、物語は5話構成になっています。
あの作品の特徴は、ホラー的であり、SF的でもあり、理不尽。そして、強烈なオチが最後に用意されています。このラストのオチが楽しみだと言っても過言ではない。
この「世にも奇妙な君物語」にも強烈なオチが用意されていました。
本のラベルにもあります。
それでは、中身を簡単にみていきます。
第一話「シェアハウさない」・・・都心で少し前に話題になった知らない他人が暮らすシェアハウス。ホラー的な展開は、まさしく「世にも奇妙な・・・」の世界観。そして、驚愕のラスト。
第二話「リア充裁判」・・・コミュニケーション能力促進法が成立した近未来。コミュ力がないと採決されると恥ずかしい奉仕活動が待っている。
第三話「立て、金次郎!」・・・モンスターペアレントと先生の話し。年間行事の表を使って、クラス全員の子供を目立つように配慮している先生たち。彼らは子供でなく、その背後にいる父兄ばかりに目が・・・。本当の教育とは何なのかを問う作品。ラストのオチは、なかなか複雑。
第四話「13.5文字しか集中して読めな」・・・短文ですむネット文化。そのゴシップ記事の記者の話し。ラストで全人格を否定するような展開となる。
第五話「脇役バトルロワイアル」・・・ホラー的要素もあり、おもしろい。ある舞台の主役コンテストに集められたのは、脇役ばかり。一人一人消えていく。誰が残るのか。
モチーフが新しくてわかりやすい。見知らぬ男女が暮らすシェアハウス。若者たちが一番欲しているというコミュ力。モンスターペアレントの介入。過激化するネットニュース。全員が主役になりたがる世界など・・・。
この本が単行本として発売された当初、僕は朝井さんと同じタモリさんのこの番組のファンだったので買うつもりでした。しかし、当時、SNSなどで読んだ人が「わけわからん」「今いち・・・」「朝井、地雷踏んでる」などという酷評を書いているのを読んでしまい。文庫化の今まで待つことになってしまった。
ネガティブなツイートを出した人たちの気持ちが今ならわかります。あの「世にも奇妙な物語」を期待した読者は、この少し理屈っぽい純文学風の「世にも奇妙な君物語」は違うと思ったのでしょう。
これはこれ、別物として読むと楽しめます。
ページ数 325
読書時間 9時間
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よろしくお願いします。
昨年は雑な読みが多く数ばかりこなす感じでした。
2025年は丁寧にいきたいと思います。
この書評へのコメント

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- 出版社:講談社
- ページ数:336
- ISBN:9784065137222
- 発売日:2018年11月15日
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