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かもめ通信
レビュアー:
カイコを飼ったことがあるあなたはもちろん、キムチが大好きなあなたにも。反対にキムチ嫌いなあなたにも。とにかく読んでみてよ!とお薦めしたい #やまねこ本 です。
ジュリアはキムチがきらいです。
「さっぱりするから食べなさい」って母さんに促されても、
「おまえ、韓国の血がぬけちゃったのかもしれないぞ。」と父さんにからかわれても、
きらいなものはきらい。
からいのも苦手だがあの強烈なにおいもいやなのです。

アメリカで生まれ育った韓国系アメリカ人のジュリアは
あのにおいのせいで、家に遊びに来た友だちに
なんど顔をしかめられたことか!

けれども5年生のとき、
引っ越してきたこの町で最初に友だちになったパトリックは
キムチのにおいを嫌がらないどころか、
ジュリアの家に寄るたびに、キムチを食べていくほど
キムチが大好きになったのでした。

そんな風に食べ物の好みは合わないけれど
他の点では気の合う二人は、大の仲良しになって
7年生になってそろって入会した<楽農クラブ>の自由研究のために
カイコを飼うことになったのでした。

けれども本当のことをいえば、
ジュリアはそのテーマがいやでたまらなかったのです。
だってそれはあまりにも「韓国っぽい」気がしたからです。
けれども自分のそんな気持ちをパトリックに打ち明けられずにいたのでした。

桑の木をさがすところからはじまって、
卵を調達し、孵化させ、芋虫の世話をしていくうちに、
ジュリアの心にも次第に変化が。

一方パトリックもまた、
ジュリアに打ち明けられずにいる秘密を抱えていたのでした。


ざっくりと大きなテーマで紹介するなら
アイデンティティを問う物語というところなのでしょうが
それだけではありません。
人種差別、友情やきょうだいとのこと、
農業と環境の問題、
生命をいただくということ、
そしてもちろんカイコの生態!等々
一つの物語の中でこんなにもたくさん!というほど
様々な問題がとりあげられてもいます。
それでいて、くどくも説教くさくもなく、わかりやすく、
おもわずうんうんとうなずいてしまうほどあれこれ共感できる物語なのです。

それにしても“郵便日記”って!
翻訳はやまねこ翻訳クラブのないとうふみこさん。
いつもながらこういうダジャレ系小ネタの翻訳、上手すぎます!!
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2233 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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この書評へのコメント

  1. BUN2019-03-27 11:40

    すくいあげかたがうまい~! この本の軽やかさがうまく出ているというか。うーんわたしはまだまだだわ(きのう同じ作品でさんざん悩みながら書いていた人。)

  2. かもめ通信2019-03-27 17:21

    もうね!無性にキムチが食べたくて!w
    ちなみに私,子どもの頃,養蚕農家からもらった繭をかわいい!と机に飾り,ある日突然現れた蚕蛾におののいた思い出がw

  3. No Image

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