darklyさん
レビュアー:
▼
最後の「日本ホラー小説大賞」大賞受賞作品。作品の出来よりも、これホラーなのか?という疑問が。

大学職員でエジプト研究者の二宮が正規の発掘現場ではないところからアンク(装飾品)を持ち帰ったことにより惨劇が起こる。その後そのアンクを手に入れた者は次々と死を迎える。二宮の同僚でありエジプト研究者の日下美羽はアンクの呪いを解くため発掘された遺跡にそれを戻すべくエジプトにおいて遺跡の捜索を開始した。呪いによって死んだ者は死ぬ間際に「黒いピラミッド」の存在を仄めかす。その正体は?
正直に言って面白くありませんでした。残りページ数が少なくなるにつれ、結末への期待は萎んでいき、もう早く読み終わりたいとページを捲る手が止まりませんでした。ホラーとしての期待を持って読もうとしたから面白くなかったという方が正確かもしれません。SF、ホラー、ファンタジーは結末の持っていき方一つで分かれると思うのですがこの物語はどのジャンルとしても中途半端な印象が拭えません。
巻末の選評で貴志祐介さんが「思い切ってSF的に大風呂敷を広げ、不条理に終わっても良かったかも知れない。」と書かれていましたが正に同感です。つまりラブクラフトのクトゥルー神話における旧支配者のような圧倒的な力による不条理な展開だと二番煎じ感があったとしてもまだ良かったような気がします。
結局、美羽は助かり現実の世界に戻るという展開なのであれば、やはりなぜ呪われるのか?どうして助かったのか?美羽は黒いピラミッドからある役割を担って最後にまた遺跡を訪れるところで物語は終わるのですが、美羽がなぜその役割に選ばれたのか?このような疑問にある程度答えがないと怪異のアイデアだけの勝負になってしまうような気がします。
選考委員の三名(綾辻さん、貴志さん、宮部さん)はこぞってこの作品のエジプト考古学の専門的な知識・情報と物語のバランスを評価されていますが、それって小説を褒める言葉であったとしても、ホラー小説を褒める言葉なのでしょうか?何か不美人な人を褒めるのに性格を持ち出すのとよく似ているような。逆に言えばホラーではなくインディー・ジョーンズあるいはトゥームレイダーのようなアドベンチャーが主の物語にしたほうが面白かったのではないかと思います。
「日本ホラー小説大賞」は2018年が最後で今年からは「横溝正史ミステリー&ホラー大賞」に吸収されるようです。「日本ホラー小説大賞」は「パラサイト・イヴ」「黒い家」「ぼっけえ、きょうてえ」など数々のホラーの名作を生み出してきた賞ですが近年は毎年大賞が出るわけでもなく、ここ2年は大賞なしということで作品の質の低下がみられていたのかもしれません。となるとどうしても「最後は大賞を選んでほしい」という運営側の強い意向があったのではないかと勘繰ってしまいます。貴志さんが選評の最後に「けっしてご祝儀ではない。我々選考委員三名のファイナルアンサーである」とわざわざ書かれてあるのでひねくれている私は余計に。
正直に言って面白くありませんでした。残りページ数が少なくなるにつれ、結末への期待は萎んでいき、もう早く読み終わりたいとページを捲る手が止まりませんでした。ホラーとしての期待を持って読もうとしたから面白くなかったという方が正確かもしれません。SF、ホラー、ファンタジーは結末の持っていき方一つで分かれると思うのですがこの物語はどのジャンルとしても中途半端な印象が拭えません。
巻末の選評で貴志祐介さんが「思い切ってSF的に大風呂敷を広げ、不条理に終わっても良かったかも知れない。」と書かれていましたが正に同感です。つまりラブクラフトのクトゥルー神話における旧支配者のような圧倒的な力による不条理な展開だと二番煎じ感があったとしてもまだ良かったような気がします。
結局、美羽は助かり現実の世界に戻るという展開なのであれば、やはりなぜ呪われるのか?どうして助かったのか?美羽は黒いピラミッドからある役割を担って最後にまた遺跡を訪れるところで物語は終わるのですが、美羽がなぜその役割に選ばれたのか?このような疑問にある程度答えがないと怪異のアイデアだけの勝負になってしまうような気がします。
選考委員の三名(綾辻さん、貴志さん、宮部さん)はこぞってこの作品のエジプト考古学の専門的な知識・情報と物語のバランスを評価されていますが、それって小説を褒める言葉であったとしても、ホラー小説を褒める言葉なのでしょうか?何か不美人な人を褒めるのに性格を持ち出すのとよく似ているような。逆に言えばホラーではなくインディー・ジョーンズあるいはトゥームレイダーのようなアドベンチャーが主の物語にしたほうが面白かったのではないかと思います。
「日本ホラー小説大賞」は2018年が最後で今年からは「横溝正史ミステリー&ホラー大賞」に吸収されるようです。「日本ホラー小説大賞」は「パラサイト・イヴ」「黒い家」「ぼっけえ、きょうてえ」など数々のホラーの名作を生み出してきた賞ですが近年は毎年大賞が出るわけでもなく、ここ2年は大賞なしということで作品の質の低下がみられていたのかもしれません。となるとどうしても「最後は大賞を選んでほしい」という運営側の強い意向があったのではないかと勘繰ってしまいます。貴志さんが選評の最後に「けっしてご祝儀ではない。我々選考委員三名のファイナルアンサーである」とわざわざ書かれてあるのでひねくれている私は余計に。
お気に入り度:



掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。
- この書評の得票合計:
- 46票
| 読んで楽しい: | 2票 | |
|---|---|---|
| 参考になる: | 44票 |
|
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:KADOKAWA
- ページ数:304
- ISBN:9784041074404
- 発売日:2018年10月31日
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。






















