ぽんきちさん
レビュアー:
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「死」から考える生物学
生物とは何だろうか。それは生きているものである。
「生きている」とは何かといえば、一般には、「自己と外界を分ける境界があること」「エネルギーや物質を代謝すること」「自己複製すること」などの特徴が挙げられる。英語圏では運動(Movement)、呼吸(Respiration)、感覚(Sensitivity)、成長(Growth)、再生・生殖(Reproduction)、排泄(Excretion)、栄養(Nutrition)の7つの現象での定義があり、頭文字を取ってMRS GREN(グレン夫人)とも称される。
けれども、突き詰めて、一体生きているって何なのかというと、実のところ曖昧で未整理な部分も多い。
ウイルスは生きてるの? 生殖が必須の条件だとしたら、生殖能力がない交雑種のラバは死んでるの?
本書はそんな生命の謎に「生」と対極の「死」から迫ろうとするものだ。
著者自身、動物学者であるが、「死」を専門とするさまざまな研究者の元を訪れ、多様な観点から死を、そして生を考えていく。
ウワミズザクラとイモムシのせめぎ合い。
極めて長寿の貝とフリーラジカルの制御。
ブタの「死体農場」。
大した毒性もないのに猛毒と誤解されているゴケグモモドキ。
死んだ同胞を巣から運び出すハキリアリ。
マウスにネコを恐れなくさせ、「自殺」行為へと誘うトキソプラズマ。
個々のトピックスから、生物種によって寿命がほぼ決まっているのはなぜか、生物種同士の駆け引き、死が多様性に与える影響など、興味を惹く論点が浮かび上がってくる。
個人的には、死なないように進化しなかったのはなぜかという問いはおもしろい視点だと思った。そう、不老不死がよいものならば、そちらに向かう生物がいてもよい。どうもそうではないのは、そこに何らかの理由があるのかもしれない。
非常に整理されているというよりも、著者の思索という部分も多く、問いにも(問題の性質上)すっきり解決が与えられるわけでもないのだが、「死」から「生」を考えるというのはなかなかおもしろい試みだと思う。
「生きている」とは何かといえば、一般には、「自己と外界を分ける境界があること」「エネルギーや物質を代謝すること」「自己複製すること」などの特徴が挙げられる。英語圏では運動(Movement)、呼吸(Respiration)、感覚(Sensitivity)、成長(Growth)、再生・生殖(Reproduction)、排泄(Excretion)、栄養(Nutrition)の7つの現象での定義があり、頭文字を取ってMRS GREN(グレン夫人)とも称される。
けれども、突き詰めて、一体生きているって何なのかというと、実のところ曖昧で未整理な部分も多い。
ウイルスは生きてるの? 生殖が必須の条件だとしたら、生殖能力がない交雑種のラバは死んでるの?
本書はそんな生命の謎に「生」と対極の「死」から迫ろうとするものだ。
著者自身、動物学者であるが、「死」を専門とするさまざまな研究者の元を訪れ、多様な観点から死を、そして生を考えていく。
ウワミズザクラとイモムシのせめぎ合い。
極めて長寿の貝とフリーラジカルの制御。
ブタの「死体農場」。
大した毒性もないのに猛毒と誤解されているゴケグモモドキ。
死んだ同胞を巣から運び出すハキリアリ。
マウスにネコを恐れなくさせ、「自殺」行為へと誘うトキソプラズマ。
個々のトピックスから、生物種によって寿命がほぼ決まっているのはなぜか、生物種同士の駆け引き、死が多様性に与える影響など、興味を惹く論点が浮かび上がってくる。
個人的には、死なないように進化しなかったのはなぜかという問いはおもしろい視点だと思った。そう、不老不死がよいものならば、そちらに向かう生物がいてもよい。どうもそうではないのは、そこに何らかの理由があるのかもしれない。
非常に整理されているというよりも、著者の思索という部分も多く、問いにも(問題の性質上)すっきり解決が与えられるわけでもないのだが、「死」から「生」を考えるというのはなかなかおもしろい試みだと思う。
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw
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- 出版社:フィルムアート社
- ページ数:353
- ISBN:9784845916382
- 発売日:2018年04月26日
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