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yukoさん
yuko
レビュアー:
この家に住む女性たちには次々と災いが・・・ この家の建築家が原因?この家自体が原因?
ミニマリストで完璧主義者の建築家、エドワード。
彼が手掛けた、最先端のテクノロジーによって制御された立方体の不思議な建物、フォルゲート・ストリート一番地。

ここに住みたければ、山ほどある規約に従い、
エドワードの厳しい審査をパスしなければならない。

相当変わったこの簡潔さが追求された家に住むことになったのは、
エマ-過去、
そして、ジェーン-現在。

エマは強盗に入られた後、神経が過敏になっており、このかなり風変りなシンプルさの極致ともいうべき家に守ってもらえると感じ、同棲中の恋人、サイモンと越してくることに。

ジェーンは、子供を死産で失うという悲しい体験をし、
人生を立て直したいと、このシンプルを追求する家に心惹かれ、
そしてこの家をつくったエドワードに惹かれ、ここに住むことに。

物語は、エマの過去と、ジェーンの現在が交互に語られますが、
この過去と現在は数年しか違わないもの。

エマもジェーンも、エドワードを愛し、
二人ともエドワードと関係を持ち、
この家で、エドワードの妻と子供が事故死したことを知り、
そしてエマもこの家で死んでしまったことをジェーンは知り、

それゆえにこの家で起きた悲劇について調べ始めるのです・・・


となると、エドワードが怪しい!と最初から思ってしまうけれど、
物語はそんなに単純では当然ないわけで。

エマとジェーン、全く異なるタイプの女性二人が、
同じ家で生活をし、その家を建てた建築家、同じ男と二人とも付き合う。
けれどもちろん、二人は別の人間なので、付き合い方は全く違う。
違うけれども、相手は同じ男なわけで、
男の言うセリフ、男の取る態度、男のファッション、男のくれるプレゼント、
それらはすべて同じなわけで・・・


そこが読んでいてぐっと引き込まれていきましたね。
同じ言葉を男が言っても、その意味をどう考えるかは彼女たちそれぞれ違う。
でも同じ言葉を言う同じ情景だから、読んでいて二つの情景がダブって変な感じがして、だけれどもその感覚が面白くて、ぞくぞくするというか。

物語はミステリとしてはごくごく普通というか、
バラバラに死体が切り刻まれるわけでもなく、連続殺人鬼が出てくるわけでもないのに、じわじわとした怖さが足元から這いあがってくるような。
あまりにも特殊な家で、
あまりにも男が完璧主義者すぎて。



ロン・ハワード監督で映画化が決まってるそうなのですが、
同じ男と愛し合う二人の女性が、全く同じ家で暮らす生活を同時進行で映像化、だなんて、想像するだけでワクワクしてきます。

一体どんな風になるんだろう!
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yuko
yuko さん本が好き!1級(書評数:304 件)

仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!

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