かもめ通信さん
レビュアー:
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「鳥好き+モーツァルト好き」には◎、「モーツァルトはいまいちだけど音楽は好きで鳥も苦手ではない」または「音楽には興味がないけれど鳥や動物が好き」には○、「鳥は苦手」という人にはあえてお勧めはしない。
タイトルに惹かれて手にした本。
といっても鳥好きの私が惹かれたのは「モーツァルト」ではなく
「ムクドリ」の方だったりする。
実をいうと読み始める前は、
“愛鳥と一緒に過ごした日々”といった感じの、
ちょっと感傷的な物語風の本だろうと勝手に思い込んでいたのだが、
その予想は大きくハズレることになる。
著者は北米で野生生物の保護活動などにも携わるネイチャーライター。
その著者が“自宅のリビングで愛情たっぷりにホシムクドリを育てている”と
告白するのは勇気がいることだった。
なぜなら、環境保全の世界ではムクドリは間違いなく
「北米1嫌われている」害鳥だから。
この本の主役のうちの1羽であるホシムクドリの“カーメン”も
公園の巣が駆除されるという情報をキャッチした著者が
その直前に「救出」したヒナだった。
もちろんそれは駆除に抗議しての行動などではなく
そのとき彼女は既に、この本を書こうと考えていたし
その執筆を手伝ってくれる強力な相棒を捜し求めていたのだ。
卵からかえってから数日しかたっていなかったヒナは
思い描いていた相棒よりもずっと小さく
著者は執筆より先にまずは必至に子育てにいそしまなければならなくなったのだが、
それがいっそう人と鳥の絆を強めることになる。
(まあここまではある意味想定内だった。)
しかし、なんといってもここからがすごい。
つぶさに観察されるムクドリの生態は、
愛鳥を愛でる飼い主の視点を遙かに超えて
動物行動学に連なるプロの洞察だ。
モーツァルトとムクドリの結びつきを思い浮かべて
思わずほほえみをうかべていたかとおもえば、
モーツァルトの作品とムクドリとの関係を紐解くために
言語学にまで手を伸ばし、
あのチョムスキーに“再帰性”に関する質問状を送りつける。
いやはやまったく
予想とはまったく違った方向での面白さがあって
思わず読みふけってしまった。
そうして読み終えた今、
ネットでホシムクドリの鳴き声を検索しては聞き耳をたて
モーツァルトの『音楽の冗談』を聴いては終始ニヤニヤしてしまうという
ちょっと困った後遺症に悩まされている。
といっても鳥好きの私が惹かれたのは「モーツァルト」ではなく
「ムクドリ」の方だったりする。
実をいうと読み始める前は、
“愛鳥と一緒に過ごした日々”といった感じの、
ちょっと感傷的な物語風の本だろうと勝手に思い込んでいたのだが、
その予想は大きくハズレることになる。
著者は北米で野生生物の保護活動などにも携わるネイチャーライター。
その著者が“自宅のリビングで愛情たっぷりにホシムクドリを育てている”と
告白するのは勇気がいることだった。
なぜなら、環境保全の世界ではムクドリは間違いなく
「北米1嫌われている」害鳥だから。
この本の主役のうちの1羽であるホシムクドリの“カーメン”も
公園の巣が駆除されるという情報をキャッチした著者が
その直前に「救出」したヒナだった。
もちろんそれは駆除に抗議しての行動などではなく
そのとき彼女は既に、この本を書こうと考えていたし
その執筆を手伝ってくれる強力な相棒を捜し求めていたのだ。
卵からかえってから数日しかたっていなかったヒナは
思い描いていた相棒よりもずっと小さく
著者は執筆より先にまずは必至に子育てにいそしまなければならなくなったのだが、
それがいっそう人と鳥の絆を強めることになる。
(まあここまではある意味想定内だった。)
しかし、なんといってもここからがすごい。
つぶさに観察されるムクドリの生態は、
愛鳥を愛でる飼い主の視点を遙かに超えて
動物行動学に連なるプロの洞察だ。
モーツァルトとムクドリの結びつきを思い浮かべて
思わずほほえみをうかべていたかとおもえば、
モーツァルトの作品とムクドリとの関係を紐解くために
言語学にまで手を伸ばし、
あのチョムスキーに“再帰性”に関する質問状を送りつける。
いやはやまったく
予想とはまったく違った方向での面白さがあって
思わず読みふけってしまった。
そうして読み終えた今、
ネットでホシムクドリの鳴き声を検索しては聞き耳をたて
モーツァルトの『音楽の冗談』を聴いては終始ニヤニヤしてしまうという
ちょっと困った後遺症に悩まされている。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:青土社
- ページ数:286
- ISBN:9784791771066
- 発売日:2018年09月21日
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