かもめ通信さん
レビュアー:
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本書におけるフェミニストの定義は「男女は平等だと本気で考える人」といたってシンプル。ところであなたはフェミニスト?
「フェミニスト・ファイト・クラブ」はアメリカに実在する女性の集まり。
12人で始まったというこのグループのメンバーは当初、20〜30代の売れない作家やクリエイターなど女性ばかりで、大半がバイトをしていたのだという。
月1で集まって、ワイン片手に愚痴りあったテーマは主に女性差別。
賃金格差や昇進といったわかりやすいものもあれば、大事なクライアントとの打ち合わせを仕切っている最中に男性の同僚から「みんなのために急いでコーヒーをいれてきてくれないか」と言われたなどという話も。
「女性差別」なんてものは母親世代の「遺物」で、そのテの戦いにはとっくの昔に勝利したのだと思っていた彼女たちは、実際に社会に出て働いてみて、あらゆるところに「地雷」が存在するおそろしい現実に気づいて愕然としたというのだ。
そんなに頑張ってもこんなこともあるというエピソードのひとつはこちら↓
ある受賞式の主役である男女がゲストを出迎えるために入り口に並んだところ、ゲスト達はこぞって、男性に握手を求め、女性に上着を渡した。
集まっては愚痴を言い合い、互いを慰め合っていた彼女たちはやがて、互いに協力し合い、障害や問題を分析し、傾向と対策をたてるようになっていく。
例えば「敵」。
女性の話の腰を折って喋り続ける「邪魔男」に「実績横取り男」
秘書でもなんでもないのに女に用事を言いつける「雑用押しつけ男」
「上から目線男」に「セクハラ男」
心当たりがありすぎて、読んでいるとあるある、いるいると思わず苦笑いしてしまうのだが、これらの「敵」に対しての対策がまた面白い。
ただ「敵」をこきおろすだけではなく、女性である自分たちのことも冷静に分析するところにも要注目だ!。
彼女たちの鋭い目線は時に同性にも向けられる。
「困り者」として登場するタイプの一つは、オフィスの家事を率先して引き受けてしまう「オフィスママ」。
特にやっかいなものとしてあげられているのは、「ともに戦う女性を、仲間ではなく敵とみなし、女性に刃を向けてくる」という「味方殺し」。
ではどうしたらいいのか。
ただ単に愚痴や非難を披露するだけではない。
そうしたあれこれを乗り越えて一緒に手を携えていくためにはどうしたらいいのか、その提案も忘れない。
もちろん、このクラブはアメリカで活動しているわけで、彼女たちの提案がすべてそのまま、日本で活用できるというものではない。
けれども、自分が感じていたもやもやしたあれこれが、自分だけのものではないばかりか、日本だけのものでもないのだと改めて認識することで、元気も勇気もわいてくる、そんな女性も多いはず。
男性読者にとっては耳のイタイ話もあることだろうが「イヤな男にならずにすむ方法」が大いに参考になるだろう。
実はこの本、やまねこ翻訳クラブの岩田佳代子さんが訳された本だということと、最近(私の周りの)Twitter界隈で「反フェミ」なる主張が散見されて、なんだかいろいろしんどいなあと思っていたところだったので、元気をもらおうと手を伸ばした本だった。
実例としてあげられているあれこれ(たとえばヒラリー・クリントンのことやルース・ギンズバーグの話など)は非常に興味深いし、職場だけでなく日常生活にも役立つヒントもそこここにあって、悩める女性はもちろん男性にためになる1冊だ。
12人で始まったというこのグループのメンバーは当初、20〜30代の売れない作家やクリエイターなど女性ばかりで、大半がバイトをしていたのだという。
月1で集まって、ワイン片手に愚痴りあったテーマは主に女性差別。
賃金格差や昇進といったわかりやすいものもあれば、大事なクライアントとの打ち合わせを仕切っている最中に男性の同僚から「みんなのために急いでコーヒーをいれてきてくれないか」と言われたなどという話も。
「女性差別」なんてものは母親世代の「遺物」で、そのテの戦いにはとっくの昔に勝利したのだと思っていた彼女たちは、実際に社会に出て働いてみて、あらゆるところに「地雷」が存在するおそろしい現実に気づいて愕然としたというのだ。
気立てがよくなくてはいけないが(女性はみんなそうだから!)、よすぎてもダメ(人のいいなりになりたくないだろう)。母親らしさは必要だが(人の面倒をみるのは当然だから!)、本当に母親になってしまってはダメ(母親は「ビジネスの場にふさわしくない」とされてしまうから)。信頼されるよう自信は持たなければならないが、持ちすぎてはダメ(高慢な女性は嫌われるから)。さらにその女性が有色人種だったら、男性とおなじくらい仕事ができると証明するために、男性の2倍どころか、3倍も4倍も5倍も働かなければならない---それが現実だ。
そんなに頑張ってもこんなこともあるというエピソードのひとつはこちら↓
ある受賞式の主役である男女がゲストを出迎えるために入り口に並んだところ、ゲスト達はこぞって、男性に握手を求め、女性に上着を渡した。
(クローク係じゃないってば!!)
集まっては愚痴を言い合い、互いを慰め合っていた彼女たちはやがて、互いに協力し合い、障害や問題を分析し、傾向と対策をたてるようになっていく。
例えば「敵」。
女性の話の腰を折って喋り続ける「邪魔男」に「実績横取り男」
秘書でもなんでもないのに女に用事を言いつける「雑用押しつけ男」
「上から目線男」に「セクハラ男」
心当たりがありすぎて、読んでいるとあるある、いるいると思わず苦笑いしてしまうのだが、これらの「敵」に対しての対策がまた面白い。
ただ「敵」をこきおろすだけではなく、女性である自分たちのことも冷静に分析するところにも要注目だ!。
彼女たちの鋭い目線は時に同性にも向けられる。
「困り者」として登場するタイプの一つは、オフィスの家事を率先して引き受けてしまう「オフィスママ」。
(あるあるあるある!)
特にやっかいなものとしてあげられているのは、「ともに戦う女性を、仲間ではなく敵とみなし、女性に刃を向けてくる」という「味方殺し」。
(あああああー!!←トラウマ的ななにかを思い出したらしい。)
ではどうしたらいいのか。
ダイバーシティ(多様性)研修だけでは、問題は解決できない。それだけでは、意を決して権限を求める女性が「でしゃばり」扱いされ、煙たがられるままだろう……
(そうなの!そうなのよ!と心の中で共感ボタンを押しまくる)
ただ単に愚痴や非難を披露するだけではない。
そうしたあれこれを乗り越えて一緒に手を携えていくためにはどうしたらいいのか、その提案も忘れない。
もちろん、このクラブはアメリカで活動しているわけで、彼女たちの提案がすべてそのまま、日本で活用できるというものではない。
けれども、自分が感じていたもやもやしたあれこれが、自分だけのものではないばかりか、日本だけのものでもないのだと改めて認識することで、元気も勇気もわいてくる、そんな女性も多いはず。
男性読者にとっては耳のイタイ話もあることだろうが「イヤな男にならずにすむ方法」が大いに参考になるだろう。
実はこの本、やまねこ翻訳クラブの岩田佳代子さんが訳された本だということと、最近(私の周りの)Twitter界隈で「反フェミ」なる主張が散見されて、なんだかいろいろしんどいなあと思っていたところだったので、元気をもらおうと手を伸ばした本だった。
実例としてあげられているあれこれ(たとえばヒラリー・クリントンのことやルース・ギンズバーグの話など)は非常に興味深いし、職場だけでなく日常生活にも役立つヒントもそこここにあって、悩める女性はもちろん男性にためになる1冊だ。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:海と月社
- ページ数:320
- ISBN:9784903212654
- 発売日:2018年08月31日
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