darklyさん
レビュアー:
▼
物語に夢中になった子供時代を思い出すような何か懐かしい感じ
銭形平次でおなじみの野村胡堂の小説集です。書店で目について読もうと思ったのは明らかにマーブルさんの影響です。奇談クラブという会の集まりで参加者が自ら体験したことや知っている奇談を披露するという設定で5つの話が収められています。野村胡堂の話の特徴は意外性とその語り口。講談師の話を聞いているようで、すっと話の中に吸い込まれていきます。
5つの話の内、最も長い「女性の秘密」と一番好きな「鏨地獄」を紹介したいと思います。
【女性の秘密】
江戸末期になると旗本の次男坊、三男坊などやさぐれた者共が徒党を組み乱暴狼藉し放題。その内の一人大須賀玄三郎は仲間と共に奸計をめぐらし美人の誉れ高い藤沼操を誘拐する。しかしそのアジトに怪力の何者かが現れ一味をなぎ倒す。たまたまその家を通りかかった林呉作は気を失っている操と一味を発見するが操を助けた者の姿はない。呉作は操を藤沼家に運び込む。呉作は偶然にも操の兄と懇意であり藤沼家に居候することになる。
恨みを抱いた玄三郎は藤沼家を襲撃し、当主の操の父を殺害する。操の兄は父の敵討ちを目論むが元々弱い上に病気となり、呉作がその代わりを務めることとなる。呉作は友の芳賀兵衛と共に数十人いる玄三郎との戦いに挑むが卑怯な手を使われ絶体絶命のピンチに。
そこにまた怪力の覆面怪人が現れ、お互い助け合いながら窮地を脱する。果たしてこの怪人の正体は?そしてこの小説の題名の「女性の秘密」とは?
正に冒険活劇という言葉がぴったりの夢中になる面白さ。呉作や芳賀の強さ、忍術のようなものを使う玄三郎の仲間との駆け引きなど一筋縄ではいかない戦闘場面もさることながら、呉作と妖艶な年増のお玉ヶ池のお崎との絡み、そして怪人の正体とその秘密など200ページとこの小説集最長でありながらアッという間に読んでしまいました。
【鏨地獄】
彫物師小瀬川桂堂は、ある屋敷の前で娘が攫われ屋敷に連れ込まれるところに遭遇する。その屋敷は来栖の化物屋敷として有名であり誰も寄り付かない。その娘は美人の誉れ高い上総屋のお妙であると判明する。桂堂は弟の佃珊之助と斑猫の伝次と共に屋敷に乗り込むが・・・
正に奇想天外という言葉がぴったりの夢中になる面白さ。屋敷に乗り込んだ後、登場人物と共に狐につままれたような気持ちになること請け合いです。さてどんな化物がいるのでしょうか。化物屋敷の冒険譚としてだけでも面白いですが、それはこの物語の主題ではないのです。それはこの小説の題名である「鏨地獄」という言葉が鍵となります。鏨(たがね)とは彫物のための工具のことです。一筋縄ではいかないところはストーリーテラーとしての胡堂の面目躍如といったところです。
5つの話の内、最も長い「女性の秘密」と一番好きな「鏨地獄」を紹介したいと思います。
【女性の秘密】
江戸末期になると旗本の次男坊、三男坊などやさぐれた者共が徒党を組み乱暴狼藉し放題。その内の一人大須賀玄三郎は仲間と共に奸計をめぐらし美人の誉れ高い藤沼操を誘拐する。しかしそのアジトに怪力の何者かが現れ一味をなぎ倒す。たまたまその家を通りかかった林呉作は気を失っている操と一味を発見するが操を助けた者の姿はない。呉作は操を藤沼家に運び込む。呉作は偶然にも操の兄と懇意であり藤沼家に居候することになる。
恨みを抱いた玄三郎は藤沼家を襲撃し、当主の操の父を殺害する。操の兄は父の敵討ちを目論むが元々弱い上に病気となり、呉作がその代わりを務めることとなる。呉作は友の芳賀兵衛と共に数十人いる玄三郎との戦いに挑むが卑怯な手を使われ絶体絶命のピンチに。
そこにまた怪力の覆面怪人が現れ、お互い助け合いながら窮地を脱する。果たしてこの怪人の正体は?そしてこの小説の題名の「女性の秘密」とは?
正に冒険活劇という言葉がぴったりの夢中になる面白さ。呉作や芳賀の強さ、忍術のようなものを使う玄三郎の仲間との駆け引きなど一筋縄ではいかない戦闘場面もさることながら、呉作と妖艶な年増のお玉ヶ池のお崎との絡み、そして怪人の正体とその秘密など200ページとこの小説集最長でありながらアッという間に読んでしまいました。
【鏨地獄】
彫物師小瀬川桂堂は、ある屋敷の前で娘が攫われ屋敷に連れ込まれるところに遭遇する。その屋敷は来栖の化物屋敷として有名であり誰も寄り付かない。その娘は美人の誉れ高い上総屋のお妙であると判明する。桂堂は弟の佃珊之助と斑猫の伝次と共に屋敷に乗り込むが・・・
正に奇想天外という言葉がぴったりの夢中になる面白さ。屋敷に乗り込んだ後、登場人物と共に狐につままれたような気持ちになること請け合いです。さてどんな化物がいるのでしょうか。化物屋敷の冒険譚としてだけでも面白いですが、それはこの物語の主題ではないのです。それはこの小説の題名である「鏨地獄」という言葉が鍵となります。鏨(たがね)とは彫物のための工具のことです。一筋縄ではいかないところはストーリーテラーとしての胡堂の面目躍如といったところです。
お気に入り度:







掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。
この書評へのコメント
- マーブル2018-10-25 22:34
いえいえ、恐れ多いお言葉です。
胡堂はともかく綺堂はランピアンさんの後追いですので。
胡堂ですら読んだことのない作品が多いのを再確認しました。
作品リストを見ると『スペードの女王』と言うのがあって、横溝にも同名の作品がある、と前にも思ったような思い違いなのか···。本棚にはないので実家の母に貸しているのか。
検索してたら胡堂は賢治の高校の先輩で同級生が金田一京助、後輩に啄木がいた、と知りました。前にも調べたかもしれませんけど(笑)
darklyさんのおっしゃる通り多彩な方々で触れる場面が少ないのが残念です。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:河出書房新社
- ページ数:412
- ISBN:9784309026893
- 発売日:2018年05月21日
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。
『奇談クラブ』のカテゴリ
登録されているカテゴリはありません。






















