efさん
レビュアー:
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ここで問題です。この絵は水彩でしょうか?油彩でしょうか?/大変美麗でロマンティックなバーン=ジョーンズの画集
バーン=ジョーンズのことは以前から知っていましたが、過日、『ラファエル前派』 を読んで火がついてしまい、そのレビューの際にも書いたとおり、バーン=ジョーンズの画集が欲しくなり、やっぱり本書を買ってしまいました(あ゛~、「ぽちっとな」してしまった)。
バーン=ジョーンズの画集はいくつか出ていますが、画集なのでやはり大きな版のものが良いなぁと考え、本書を選びました。
本書は、冒頭で著者によるバーン=ジョーンズの生い立ちが掲載され、その後に大判1ページに1作という構成で作品が紹介されています(見開き左ページに作品解説、右ページに作品という構成です)。
バーン=ジョーンズの作品を改めて通覧して感じたことの一つは、「水彩が水彩らしくなく、油彩が油彩らしくない」ということでした。
ちょっと乱暴な言い方をすれば、水彩でも油彩でも同じようなタッチに仕上がっているとも言えるかもしれません(収録されている絵だけを見て、水彩か油彩かを当てるのは結構難しいのですよ)。
作品の中には、水彩と油彩を併用しているものもある位です。
作品解説でもちょっと触れられていますが、バーン=ジョーンズの水彩画は、水彩ならではの透明感を生かそう(それに頼ろう)とはしておらず、下塗りをし、その上に水彩絵の具を塗り重ねているそうです(その後、アルブレヒト・デューラーの本を読んだのですが、確かに下塗りは重要らしい……こちらの本もいずれレビューさせていただきます)。
ですから、水彩なのですが(油彩とまでは言いませんが)どこかしっかりとした質感を感じます。
少なくとも、いかにも水彩、水彩したような絵にはなっていません(下地に滲ませないということなのかもしれないねぇ)。
逆に油彩の方は油彩らしからぬ透明感や滑らかさを感じるのです。
『ヴィーナスの鏡』という作品があるのですが、これはヴィーナスや乙女たちが水溜まりに映る自分たちの姿を見ているという絵です。
この絵の製作途中のものを見たラスキンは、てっきり水彩画だと思い込んだとか。
特に水に映る乙女たちの姿なんかがそう感じさせたのではないかなぁと想像してしまいました。
また、滑らかさの方は、そういった効果を出すために平筆を多く使っているそうです。
また、バーン=ジョーンズの作品に描かれる女性や男性はみんな美形ですよね。
女性に関しては、ロセッティがモデルに使った女性をやはりモデルにした作品もあるということなので、当然似たような容姿になっているものもあるのですが、バーン=ジョーンズの作品の方が私的には好みに描かれています(でも、このモデルの女性に関しては色々な話があるようで、本書にも彼女の写真が掲載されていますが、さて、これがあの絵になるのだろうか……なるとも思うし、どうだろう?という方もいる?)。
ロセッティも相当に繊細に女性を描きますが、バーン=ジョーンズはさらにその上を行っているように私には感じられるのです。
それは、ある種、理想化している肖像と言えばそうなのかもしれませんが、そこがまたラファエル前派らしいと言えばらしい。
バーン=ジョーンズの作品は、非常に耽美的、ロマンティックに感じ、また、現代のイラストにも通じる様式美のようなものも感じます。
私は個人的に、騎士などの武具の表現に魅かれるものがあります。
当たっているかどうか分かりませんが、東逸子さんなんて、バーン=ジョーンズがお好きなんじゃないかなぁと想像してしまいましたし、作品に似ているところがあるように思えました。
好きな画家の大判画集ですので、大変楽しんで鑑賞することができました。
読了時間メーター
■■ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)
バーン=ジョーンズの画集はいくつか出ていますが、画集なのでやはり大きな版のものが良いなぁと考え、本書を選びました。
本書は、冒頭で著者によるバーン=ジョーンズの生い立ちが掲載され、その後に大判1ページに1作という構成で作品が紹介されています(見開き左ページに作品解説、右ページに作品という構成です)。
バーン=ジョーンズの作品を改めて通覧して感じたことの一つは、「水彩が水彩らしくなく、油彩が油彩らしくない」ということでした。
ちょっと乱暴な言い方をすれば、水彩でも油彩でも同じようなタッチに仕上がっているとも言えるかもしれません(収録されている絵だけを見て、水彩か油彩かを当てるのは結構難しいのですよ)。
作品の中には、水彩と油彩を併用しているものもある位です。
作品解説でもちょっと触れられていますが、バーン=ジョーンズの水彩画は、水彩ならではの透明感を生かそう(それに頼ろう)とはしておらず、下塗りをし、その上に水彩絵の具を塗り重ねているそうです(その後、アルブレヒト・デューラーの本を読んだのですが、確かに下塗りは重要らしい……こちらの本もいずれレビューさせていただきます)。
ですから、水彩なのですが(油彩とまでは言いませんが)どこかしっかりとした質感を感じます。
少なくとも、いかにも水彩、水彩したような絵にはなっていません(下地に滲ませないということなのかもしれないねぇ)。
逆に油彩の方は油彩らしからぬ透明感や滑らかさを感じるのです。
『ヴィーナスの鏡』という作品があるのですが、これはヴィーナスや乙女たちが水溜まりに映る自分たちの姿を見ているという絵です。
この絵の製作途中のものを見たラスキンは、てっきり水彩画だと思い込んだとか。
特に水に映る乙女たちの姿なんかがそう感じさせたのではないかなぁと想像してしまいました。
また、滑らかさの方は、そういった効果を出すために平筆を多く使っているそうです。
また、バーン=ジョーンズの作品に描かれる女性や男性はみんな美形ですよね。
女性に関しては、ロセッティがモデルに使った女性をやはりモデルにした作品もあるということなので、当然似たような容姿になっているものもあるのですが、バーン=ジョーンズの作品の方が私的には好みに描かれています(でも、このモデルの女性に関しては色々な話があるようで、本書にも彼女の写真が掲載されていますが、さて、これがあの絵になるのだろうか……なるとも思うし、どうだろう?という方もいる?)。
ロセッティも相当に繊細に女性を描きますが、バーン=ジョーンズはさらにその上を行っているように私には感じられるのです。
それは、ある種、理想化している肖像と言えばそうなのかもしれませんが、そこがまたラファエル前派らしいと言えばらしい。
バーン=ジョーンズの作品は、非常に耽美的、ロマンティックに感じ、また、現代のイラストにも通じる様式美のようなものも感じます。
私は個人的に、騎士などの武具の表現に魅かれるものがあります。
当たっているかどうか分かりませんが、東逸子さんなんて、バーン=ジョーンズがお好きなんじゃないかなぁと想像してしまいましたし、作品に似ているところがあるように思えました。
好きな画家の大判画集ですので、大変楽しんで鑑賞することができました。
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幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!
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- 出版社:トレヴィル
- ページ数:40
- ISBN:9784845709083
- 発売日:1994年04月01日
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