レビュアー:
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心から楽しめる、上質なファンタジー。遠野物語とハリーポッターと夏への扉を混ぜ合わせて、こんな面白いお話が出来上がるとは!
読み始めは不安だった。だって、蛇を恋人にする女子の話なんですよ。とぐろ巻いてチロチロ舌出すあれですよ。ところが作者は、爬虫類大っ嫌いな私も、あっさりと放してはくれなかった。「え、それでそれで?」「あはは、なにこれ楽しいー。」と、どんどんページをめくってしまう。蛇にキスされたりするっていうのにさ。
こんなお話である。
幼い頃、岡山の田舎の伯父の家に遊びにきていた綾乃は、神社の洞穴で小さな白蛇アロウと出会い友達になる。綾乃はその後、両親を失い伯父の家に引き取られた。綾乃もアロウもお年頃に成長し、ふたりの間には淡い恋心が芽生えている。
14歳になった綾乃は村の祭りで舞姫を務め、その直後に不気味な謎の男に襲われる。なんと!そこに箒に乗った救いの手が!颯爽と現れたのは、伯父の家の客人、大学で民俗学を教える大原由希恵先生だった。そのまま綾乃は先生の母校へと連れてゆかれ、黒蛇の化身・雪之丞と出会う。
日本古来の伝承「蛇婿入り」の世界で、箒に乗った魔女が飛びまわるシーンをご想像ください。筑波山のふもとにホグワーツみたいな魔法学校があって、私立中高一貫校(共学)のふりをしているところをご想像ください。ほの暗い異類婚姻譚が、一転して陽気な青春学園小説に!ティーンエイジャーの白狐や小豆洗いや狼男が人間の姿で寄宿生活を送っている、この学校シーンがめちゃくちゃ楽しい。恋も友情も、クラスメイトが人間じゃないからこその面白さである。そして、初めて会った座敷わらしの華乃子さんは、なぜか綾乃のことを知っていた。
この話は根幹にタイムスリップが組み込まれている。説話と青春小説とSFのミックスという異類混濁話なのだが、不思議なほど違和感がない。テンポの良い語り口、溌剌として明るいストーリー、張り巡らした伏線をグっと手繰り寄せて大団円に持ってゆく手腕もお見事だ。河童たちには笑わされた。物語にもキャラクターにも、比較文化学を専攻された作者の知識と感性が生かされ、今までに類のない新鮮な作品に仕上がっていると思う。
綾乃は白蛇と黒蛇のどっちを選ぶのか?!私は読後、「このタイトルが全てを語っていたー!」と再び感心してしまったのである。
こんなお話である。
幼い頃、岡山の田舎の伯父の家に遊びにきていた綾乃は、神社の洞穴で小さな白蛇アロウと出会い友達になる。綾乃はその後、両親を失い伯父の家に引き取られた。綾乃もアロウもお年頃に成長し、ふたりの間には淡い恋心が芽生えている。
14歳になった綾乃は村の祭りで舞姫を務め、その直後に不気味な謎の男に襲われる。なんと!そこに箒に乗った救いの手が!颯爽と現れたのは、伯父の家の客人、大学で民俗学を教える大原由希恵先生だった。そのまま綾乃は先生の母校へと連れてゆかれ、黒蛇の化身・雪之丞と出会う。
日本古来の伝承「蛇婿入り」の世界で、箒に乗った魔女が飛びまわるシーンをご想像ください。筑波山のふもとにホグワーツみたいな魔法学校があって、私立中高一貫校(共学)のふりをしているところをご想像ください。ほの暗い異類婚姻譚が、一転して陽気な青春学園小説に!ティーンエイジャーの白狐や小豆洗いや狼男が人間の姿で寄宿生活を送っている、この学校シーンがめちゃくちゃ楽しい。恋も友情も、クラスメイトが人間じゃないからこその面白さである。そして、初めて会った座敷わらしの華乃子さんは、なぜか綾乃のことを知っていた。
この話は根幹にタイムスリップが組み込まれている。説話と青春小説とSFのミックスという異類混濁話なのだが、不思議なほど違和感がない。テンポの良い語り口、溌剌として明るいストーリー、張り巡らした伏線をグっと手繰り寄せて大団円に持ってゆく手腕もお見事だ。河童たちには笑わされた。物語にもキャラクターにも、比較文化学を専攻された作者の知識と感性が生かされ、今までに類のない新鮮な作品に仕上がっていると思う。
綾乃は白蛇と黒蛇のどっちを選ぶのか?!私は読後、「このタイトルが全てを語っていたー!」と再び感心してしまったのである。
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「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:478
- ISBN:9784488588021
- 発売日:2017年09月11日
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