レビュアー:
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本屋であることに誇りを持つ人々の言葉が、胸を熱くする。
寺田寅彦のエッセイの中にこんな言葉がある。
「われわれにとって書物は決して“商品”ではなかった。それは尊い師匠であり、懐かしい恋人であって、本屋はそれをわれわれに紹介してくれる大事な仲介者だったのである。」(『読書の今昔』より)
本屋さんが人生の師匠や恋人の紹介所だというのは共感できることだが、本屋さんたちは自分の仕事をどのように捉えておられるのだろうか。
全国各地の、個性的な小さな本屋さんを紹介した本である。この本に載っている本屋さんは、ある共通点を持っている。
「本を置いた空間を通して、この思いを伝えたい」という強い志である。
著者の和氣さんが店の特色を紹介するひと言、店主それぞれの思いを表現する言葉が印象的だ。
中でも心に残ったものをいくつかご紹介したい。
○阿蘇の雄大な自然に囲まれて(ひなた文庫・熊本県南阿蘇村)
「わざわざここまで来てくれる人の思い出になるような本を並べているのだという。」
○思い出を売る(ハナメガネ商会・栃木県益子町)
「古民家の中で宝探しのように思い出の本を見つけ出す。」
○その町に住む理由となる店(栞日・長野県松本市)
「小さい声、小さい規模の本にこそ真実がある。」
本屋さんは、書物への様々な価値観に出会える場所なのだと思った。それを見に行く旅に出たいという気持ちが湧いてくる。
ひなた文庫は、トロッコが走る南阿蘇鉄道の小さな駅舎(里白水高原駅)が店舗。本屋も図書館もない土地に作られた古本屋さんである。「ここに来れば何かあると思ってもらえるような、文化的な場所を作りたかった」と、店主は語る。
遠くに阿蘇山を眺めながら、駅舎を吹き抜ける風を感じながら、いつかこの場所で旅の記念にする本を選んでみたい。
棚から漂う気配、射しこむ光、店の佇まいを感じられる写真が実に美しい。街角の本屋さんの棚を、時の経つのも忘れて覗きこんでいる時間が好き、という方におすすめしたい。本を開けば、本屋をめぐる楽しい旅路が待っている。
「われわれにとって書物は決して“商品”ではなかった。それは尊い師匠であり、懐かしい恋人であって、本屋はそれをわれわれに紹介してくれる大事な仲介者だったのである。」(『読書の今昔』より)
本屋さんが人生の師匠や恋人の紹介所だというのは共感できることだが、本屋さんたちは自分の仕事をどのように捉えておられるのだろうか。
全国各地の、個性的な小さな本屋さんを紹介した本である。この本に載っている本屋さんは、ある共通点を持っている。
「本を置いた空間を通して、この思いを伝えたい」という強い志である。
著者の和氣さんが店の特色を紹介するひと言、店主それぞれの思いを表現する言葉が印象的だ。
中でも心に残ったものをいくつかご紹介したい。
○阿蘇の雄大な自然に囲まれて(ひなた文庫・熊本県南阿蘇村)
「わざわざここまで来てくれる人の思い出になるような本を並べているのだという。」
○思い出を売る(ハナメガネ商会・栃木県益子町)
「古民家の中で宝探しのように思い出の本を見つけ出す。」
○その町に住む理由となる店(栞日・長野県松本市)
「小さい声、小さい規模の本にこそ真実がある。」
本屋さんは、書物への様々な価値観に出会える場所なのだと思った。それを見に行く旅に出たいという気持ちが湧いてくる。
ひなた文庫は、トロッコが走る南阿蘇鉄道の小さな駅舎(里白水高原駅)が店舗。本屋も図書館もない土地に作られた古本屋さんである。「ここに来れば何かあると思ってもらえるような、文化的な場所を作りたかった」と、店主は語る。
遠くに阿蘇山を眺めながら、駅舎を吹き抜ける風を感じながら、いつかこの場所で旅の記念にする本を選んでみたい。
棚から漂う気配、射しこむ光、店の佇まいを感じられる写真が実に美しい。街角の本屋さんの棚を、時の経つのも忘れて覗きこんでいる時間が好き、という方におすすめしたい。本を開けば、本屋をめぐる楽しい旅路が待っている。
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「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。
この書評へのコメント
- Wings to fly2018-10-15 15:53
この夏、下北沢に小さな本屋さんがオープンしました。
下北沢駅西口からほど近い、カフェ・アンソロップの奥に佇む「本屋を旅する BOOKSHOP TRAVELLER」のご店主は、本書の著者にして“本が好き!中の人”、和氣さんです。
個性的な本屋さんが本棚の一部を借りて出店するアンテナショップですが、小さな間借り本屋さんも様々な本を並べています。
ということで、以下ちょっと個人的なお知らせです(^^)
11月1日より、本屋を旅する BOOKSHOP TRAVELLERのひと棚をお借りして、
本が好き!レビュアー有志数名が、限定2か月の間借り本屋さんをオープンします!
詳細は後日、掲示板の<聞いて!聞いて!!>に書き込みますので、興味を持って下さる方は覗いてみてください。
よろしくお願いいたします。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Wings to fly2018-10-15 21:58
ぽんきちさん
興味を持っていただけて嬉しいです!
「本当は手元に置いておきたいけれど、この本の良さを誰かに知って欲しい」と店主それぞれが思う本を持ち寄った棚になります。本の中には、元持ち主レビュアーの熱いメッセージを挟み込んで並べる予定です!
あー、来ていただけたらねぇ…>_< ちょっと遠いですかねえ…(TT)
開店前日くらいにまた続報を、その後はツイッターで経緯をお知らせして行こうと思っております。
よろしくお願いいたしますm(__)mクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:エクスナレッジ
- ページ数:160
- ISBN:9784767824833
- 発売日:2018年07月25日
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