▼
漆黒の波間を漂う主人公。すぐ傍には豪華客船。頭上には救助ヘリ。あぁ、なんて素敵な設定、と思いきや・・・・・・
主人公アダムは豪華客船から夜の海へ落下し、漆黒の波間に“彼”を見付ける。
その時、頭上の救助ヘリからアダムを救うべく救助隊員が下りてきた。
その救助隊員の問う「他に誰かいるのを見たんですか?」の問いに、アダムは逡巡しつつも「見ていない」と答える。
こんな冒頭部分を経て始まる豪華客船を舞台に展開するミステリーに、興奮しないわけがないじゃないか。
しかもアダムの恋人サラは行方不明で、数日後にさよならを告げるメモ付きのパスポートがアダムの元に郵送されているのである。
そのメモやパスポート、サラの親友ローズの証言などを頼りにアダムが辿り着いたのが、豪華客船セレブレイト号。
約1年前にサラと同じようにセレブレイト号から消息を絶った妻を持つピーターと共に、アダムはセレブレイト号へと乗り込むが・・・・・・
それと並行するように、セレブレイト号の客室係であるコリーンという中年女性と、フランスのピカルディに住むロマンという少年目線の話も描かれるのだが、いつ3つの話は繋がるのか、いったいどのような関連を見せるのか、と興味は尽きない。
それらの先に待ち受ける驚愕の事実(という程でもないかもしれないが)は、他の方のレビューでも書かれている通り予想することも容易だが、それも途中段階での伏線があればこそ。
本作が作者のキャサリン・ライアン・ハワードのデビュー作だとするならば、上出来過ぎる出来だと思うのだ。
そんなことより気になるのが、そこに至るまでの長さ。
まず、本書は522ページの長編なのだが、アダムがセレブレイト号に乗るまでに約半分のページを擁している。
その間、アダムは苦節10年の末に漸くハリウッドに売れた脚本のリライトも手に付かず、「サラ、サラ」と泣き言ばかり言って過ごしているわけである。
こんなことを言ってはなんだが、本書で1番可哀想なのは、苦労してハリウッドにアダムの脚本を売ってきたのにリライトしてもらえず、みすみす仕事を失おうとしているアダムのエージェントのダン・ゴールドバーグではないだろうか(もちろん被害者達の次に、だが)。
アダムよ、冷たいようだが言わせてもらう。
「そんなことでは、たとえサラが帰ってきても再び君の元から去ってしまうぞ!」
それからこれは全くの余談だが、アダムにロマン。
男性の名前の、なんてロマンティックな響き。
それに引き替え、サラ、(ローズは置いておいて)スーザン、ベッキー、ミーガン。
女性陣はそれほどでもない。
ちょっと「あれっ」と思ったので書いてみた。
ただ、それだけ。
忘れて下さい。
最後に、
読書中ずっと読みやすいなと思っていたら、訳者が法村里絵さん。
以前読んだジョン・ガスパードの『マジシャンは騙りを破る』と同じ方だった。(とっても面白く読めたので続編の『秘密だらけの危険なトリック』も本屋で買ってきたのだが、積読してしまっている。早く読まなくては。)
そんな法村さんが訳者あとがきで書いているように、作者のキャサリン・ライアン・ハワードの第2作が10年の時を経て発表されたとのこと。
簡単な概要を読んだだけで興味津々。
是非とも日本で出版された際には読んでみたいものだ。
その時、頭上の救助ヘリからアダムを救うべく救助隊員が下りてきた。
その救助隊員の問う「他に誰かいるのを見たんですか?」の問いに、アダムは逡巡しつつも「見ていない」と答える。
こんな冒頭部分を経て始まる豪華客船を舞台に展開するミステリーに、興奮しないわけがないじゃないか。
しかもアダムの恋人サラは行方不明で、数日後にさよならを告げるメモ付きのパスポートがアダムの元に郵送されているのである。
そのメモやパスポート、サラの親友ローズの証言などを頼りにアダムが辿り着いたのが、豪華客船セレブレイト号。
約1年前にサラと同じようにセレブレイト号から消息を絶った妻を持つピーターと共に、アダムはセレブレイト号へと乗り込むが・・・・・・
それと並行するように、セレブレイト号の客室係であるコリーンという中年女性と、フランスのピカルディに住むロマンという少年目線の話も描かれるのだが、いつ3つの話は繋がるのか、いったいどのような関連を見せるのか、と興味は尽きない。
それらの先に待ち受ける驚愕の事実(という程でもないかもしれないが)は、他の方のレビューでも書かれている通り予想することも容易だが、それも途中段階での伏線があればこそ。
本作が作者のキャサリン・ライアン・ハワードのデビュー作だとするならば、上出来過ぎる出来だと思うのだ。
そんなことより気になるのが、そこに至るまでの長さ。
まず、本書は522ページの長編なのだが、アダムがセレブレイト号に乗るまでに約半分のページを擁している。
その間、アダムは苦節10年の末に漸くハリウッドに売れた脚本のリライトも手に付かず、「サラ、サラ」と泣き言ばかり言って過ごしているわけである。
こんなことを言ってはなんだが、本書で1番可哀想なのは、苦労してハリウッドにアダムの脚本を売ってきたのにリライトしてもらえず、みすみす仕事を失おうとしているアダムのエージェントのダン・ゴールドバーグではないだろうか(もちろん被害者達の次に、だが)。
アダムよ、冷たいようだが言わせてもらう。
「そんなことでは、たとえサラが帰ってきても再び君の元から去ってしまうぞ!」
それからこれは全くの余談だが、アダムにロマン。
男性の名前の、なんてロマンティックな響き。
それに引き替え、サラ、(ローズは置いておいて)スーザン、ベッキー、ミーガン。
女性陣はそれほどでもない。
ちょっと「あれっ」と思ったので書いてみた。
ただ、それだけ。
忘れて下さい。
最後に、
読書中ずっと読みやすいなと思っていたら、訳者が法村里絵さん。
以前読んだジョン・ガスパードの『マジシャンは騙りを破る』と同じ方だった。(とっても面白く読めたので続編の『秘密だらけの危険なトリック』も本屋で買ってきたのだが、積読してしまっている。早く読まなくては。)
そんな法村さんが訳者あとがきで書いているように、作者のキャサリン・ライアン・ハワードの第2作が10年の時を経て発表されたとのこと。
簡単な概要を読んだだけで興味津々。
是非とも日本で出版された際には読んでみたいものだ。
お気に入り度:









掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
なかなか時間が取れませんが、本を読むのは好きです。
どんどん読書時間を取って、読んでいきたいと思っています。
色々なジャンルの本を読んでいきたいと思っているので、
皆様の感想を参考にさせて頂こうと思います。
- この書評の得票合計:
- 44票
| 読んで楽しい: | 8票 | |
|---|---|---|
| 参考になる: | 36票 |
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:東京創元社
- ページ数:522
- ISBN:9784488181079
- 発売日:2018年06月29日
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。























