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ぽんきち
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あのころ生きていたあんな生き物、こんな生き物。現在現れたらどんな感じ?
地球の長い歴史の中で、多くの生き物が現れ、消えていった。その姿は化石で知るしかない。博物館では実物を見ることも可能だが、多くの場合、図鑑や映像で見ることになる。
そうした時に忘れがちなのが、「サイズ感」だ。全長1m、頭胴長3mと数字で記されていても、いま一つピンとこないまま、読み飛ばしてしまうことも多い。
この図鑑ではこのサイズ感に着目し、現代のさまざまなシーンに、あんな生き物、こんな生き物を潜ませ、「ああこれくらいの大きさなのか」「コンパクトだな」「バカでかいな」と実感してもらうのが狙いである。
時代としてはエディアカラ紀からペルム紀まで。約6億3500万年前から約2億5200万年前までに当たる。ざっくりとした区分では先カンブリア時代末期と古生代に相当する時代で、恐竜が現れる中生代より前の時代になる。
生物が出現し、目に見えるサイズに到達して、時には驚くほど大型化した生物も現れた時代である。さてさて、そんな彼らを実際に目の当たりにしたらどんな感じなのだろうか・・・?

本書では、核となる古生物のイラスト(上村一樹)を現代シーンと融合させる(服部雅人)という手法で、古生物を現代に生き生きと甦らせている。背景となる現代の写真の大半は、ストックフォトサイトistockのものを使っている。これに絶妙な解説がつく(土屋健(著者))。監修(群馬県立自然史博物館)もしっかりしていて、意外性がありつつ、地に着いた図鑑らしい安心感もある。

重ね方がなかなかおもしろい。
まずは、食べ物ネタ。パエリアに入っていたらどうか、ソーセージと並んでいたらこんな感じ、握り寿司だとイカと似てる、とか。いや、彼らの味は誰も知らないのだが。そういわれると触感とか歯触りとか、何だか予想できるような気もしてくる。
チューリップに似てるとか、イヤホンみたいとか、テニスのラケットそっくりなどという意外な比較も楽しい。おもしろいのが、おそらく構造色で七色に輝いていたであろうというツノを持つ生き物。いったいに、化石から生物の色を予想するのは難しいと思われるが、これはなるほど虹色だったのだろう。
小さいものもかわいらしいが、やはり現代と重ねて楽しいのはある程度の大きさのあるものだろう。表紙の駐車場にいるディメトロドン(単弓類・肉食性)や、ウシの隣で牧場を闊歩するエステメノスクス(単弓類・草食性)、イルカと一緒にショーに出るクラッシギリヌス(両生類)などというあたりは見ごたえがある。

手のひらサイズのものが大半であった時代にはじまり(カンブリア紀)、多様性が増し(オルドビス紀)、植物が陸上に進出し(シルル紀)、多くのサカナが現れ(デボン紀)、昆虫と大森林の時代を迎え(石炭紀)、哺乳類への道が開かれる(ペルム紀)。
恐竜が現れる前の時代にもこれほど多くの魅力的な生物がいたのかと感心する。

このシリーズ、中生代編も制作が始まっているらしい。続編にも期待したい。
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1827 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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