星落秋風五丈原さん
レビュアー:
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まだ酔いながら空けぬるを
韓国ドラマでよく出てくるのが、主人公の美男美女が酔っ払って屋台で寝てしまうシーンだ。そして屋台で寝てしまうと、必ず相手がやってきて引きずって帰る。常に引きずっていくのが男性とは限らない。相手が、普段きちんとしている&弱みを見せない人のくだけた姿を見て胸きゅんする、という効果もある。
さて、本編でも酔っ払う男女が登場するが、こちらは胸きゅんとは程遠い。むしろ酒の力を借りて「言いたい事を言ってしまおう」「勇気を出してやりたい事をやろう」など隠れ蓑や起爆剤として使われている。
『一足のうわばき』同じ女子高に入学して二年生の時のクラスメイトになった三人が、卒業以来14年ぶりに再会する。きっかけとなったのは、そのうちの一人がテレビドラマの脚本家(いわゆる作家という)としてインタビューに答えているニュースを見たことだった。久しぶりに会ったことで三人の交流が始まればそれこそ“韓国ドラマ的”だが、再会した後彼等は二度と会わない。表面上は楽しく酒を飲んでおり、決定的な衝突があったわけではない。それなのに、なぜこういう事になったのか。少しずつわかってゆく三人の現在の生活、学生時代は話さなかったがお互いに抱いていた感情など、一つ一つは他愛のないことながら、それらが積み重なって結末に至る過程が淡々としており、かえってリアルだ。
『春の宵』再婚同士のカップルならば、お互いの過去を教訓にうまくいくはずだったのに、夫の突然の病気と、妻の前の夫に奪われた息子への執着が、結婚生活を崩壊に導く。本編の場合、酒が夫婦の逢瀬を断ち切る文字通りの悪役だが、同時に妻がすがる最後の伝手でもある。
『カメラ』職場の同僚で亡き恋人の姉と再会した女性が、弟との仲を知らない彼女と飲むことになった。なかなか飲みに参加しない姉は職場仲間からよく思われていなかったが、その夜彼女は饒舌になり、女性が知らなかった元彼の死について語る。姉が本当に弟の恋を知っていたのか、それとも知らなかったのか。いずれかのシチュエーションで想定して読むと、全く読み味が異なる。
全くの下戸なので、酒で気が大きくなって、ある事ない事言いまくれる人達はずるいなぁ、というのが正直な感想。しかし一方で「酒に逃げなきゃやってられない」時というのもあるのだろう。まあ、くれぐれも酒に溺れませんように。ほら、よく、言いますでしょ。酒は飲んでも呑まれるなってね。
さて、本編でも酔っ払う男女が登場するが、こちらは胸きゅんとは程遠い。むしろ酒の力を借りて「言いたい事を言ってしまおう」「勇気を出してやりたい事をやろう」など隠れ蓑や起爆剤として使われている。
『一足のうわばき』同じ女子高に入学して二年生の時のクラスメイトになった三人が、卒業以来14年ぶりに再会する。きっかけとなったのは、そのうちの一人がテレビドラマの脚本家(いわゆる作家という)としてインタビューに答えているニュースを見たことだった。久しぶりに会ったことで三人の交流が始まればそれこそ“韓国ドラマ的”だが、再会した後彼等は二度と会わない。表面上は楽しく酒を飲んでおり、決定的な衝突があったわけではない。それなのに、なぜこういう事になったのか。少しずつわかってゆく三人の現在の生活、学生時代は話さなかったがお互いに抱いていた感情など、一つ一つは他愛のないことながら、それらが積み重なって結末に至る過程が淡々としており、かえってリアルだ。
『春の宵』再婚同士のカップルならば、お互いの過去を教訓にうまくいくはずだったのに、夫の突然の病気と、妻の前の夫に奪われた息子への執着が、結婚生活を崩壊に導く。本編の場合、酒が夫婦の逢瀬を断ち切る文字通りの悪役だが、同時に妻がすがる最後の伝手でもある。
『カメラ』職場の同僚で亡き恋人の姉と再会した女性が、弟との仲を知らない彼女と飲むことになった。なかなか飲みに参加しない姉は職場仲間からよく思われていなかったが、その夜彼女は饒舌になり、女性が知らなかった元彼の死について語る。姉が本当に弟の恋を知っていたのか、それとも知らなかったのか。いずれかのシチュエーションで想定して読むと、全く読み味が異なる。
全くの下戸なので、酒で気が大きくなって、ある事ない事言いまくれる人達はずるいなぁ、というのが正直な感想。しかし一方で「酒に逃げなきゃやってられない」時というのもあるのだろう。まあ、くれぐれも酒に溺れませんように。ほら、よく、言いますでしょ。酒は飲んでも呑まれるなってね。
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2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。
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- 出版社:書肆侃侃房
- ページ数:248
- ISBN:9784863853171
- 発売日:2018年05月29日
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