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かもめ通信
レビュアー:
ホロコーストを生き延びたひとりの少年の物語であると同時にある家族の歴史でもあるノンフィクション。
「B-1148」
ポーランド生まれの引退した薬学者、
マイケル・ボーンスタインの腕には入れ墨が彫られている。
かつては、もしもその入れ墨に目をとめた誰かに、なにかを尋ねられたなら、
アウシュヴィッツの名前を出しはしたが、
すぐに話を切り上げることにしていたのだという。

その理由の一つは、簡単に口にすることができないほどの
過酷な体験であったからでもあったが、
幼かった当時の曖昧な記憶を安易に口にしてしまうことによって
歴史になにかを加えてしまうことを恐れていたせいでもあったという。

そんな彼に自らの体験を積極的に語り、
記録を残すことを決意させたのは、
幼い日の自分が写った1枚の写真だった。



アウシュヴィッツに収容された当時わずか4歳だったマイケルの記憶と、
マイケルの娘デビーによる周囲の人々や関係諸機関への取材に基づいて
書き上げられたノンフィクションには、
幼いマイケルが経験したアウシュヴィッツでの6ヶ月間の出来事はもちろんのこと
そこに至るまでのマイケルが生まれる前を含めた家族の歴史や
アウシュヴィッツから解放されたその後のあれこれを含めて執筆されている。

若い世代の読者を意識してのことだろう。
物語風に書かれているため、
ノンフィクションを読みつけない読者にもなじみやすい構成になっている。

ゲットーやアウシュヴィッツ、ホロコーストに関する記述には
思わず涙せずにはいられない場面も多いが
オープンゲットー時代にマイケルの父親が迫られた数々の決断や
強制収容所からの生還した後のマイケルやその一族をとりまくあれこれが
とりわけ興味深くもあった。

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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2229 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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