星落秋風五丈原さん
レビュアー:
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場をさらうのはいつも給仕~アシモフも属した実在の「トラップ・ドア・スパイダース」という会がモデル
弁護士、暗号専門家、作家、化学者、画家、数学者の六人からなる〈黒後家蜘蛛の会〉と給仕一名は、月一回〈ミラノ・レストラン〉で晩餐会を開いていた。会では毎回のようにミステリじみた話題が出て、会員各自が素人探偵ぶりを発揮する。だが常に真相を言い当てるのは、物静かな給仕のヘンリーだった!
これはアガサ・クリスティのミス・マープルシリーズ『火曜クラブ』では?と思ったら
“万能”というキーワードからは、P・G・ウッドハウスの人気シリーズ、執事のジーヴズも彷彿とさせる。アシモフもジーヴズがモデルだと言及したらしいが、バーティを慇懃無礼にあしらうジーヴズとは異なり、ヘンリーは常に節度を守って接している。だが、『実を言えば』では、「皆が正直者だと言うが、実は私はこんな嘘をついている」と言い出して、いちいち挙げる例で、珍しく会員たちを悉く怒らせてしまう。「あなた達の言動をこんな風に思っていました」と打ち明けたことで、ヘンリーに言われたことを気にしたメンバーの行動にちょっとした変化が現れる次作の『行け、小さき書物よ』と二つ揃って楽しめる。
60代ながら皺一つ無い顔で年齢を感じさせないヘンリーの素顔は、ずっと表紙で隠されたままなのだろうか?
3巻
4巻
5巻
これはアガサ・クリスティのミス・マープルシリーズ『火曜クラブ』では?と思ったら
きみはアガサ・クリスティの読みすぎだよという台詞が(『実を言えば』)。他にも、シャーロック・ホームズのあの有名な台詞
不可能をすべて消去した後に残るものこそ、よしやいかにそれがあり得べからざることであろうとも、真実である(『明白な要素』)も登場し、ヘンリー以外の会員たちはリアルタイムでミステリ小説を読んでいることが窺える。また、『指し示す指』では
アイザック・アシモフなんかにページを割いているのは無駄
病的な自惚れ屋など伝聞ながら作者も登場させている。
“万能”というキーワードからは、P・G・ウッドハウスの人気シリーズ、執事のジーヴズも彷彿とさせる。アシモフもジーヴズがモデルだと言及したらしいが、バーティを慇懃無礼にあしらうジーヴズとは異なり、ヘンリーは常に節度を守って接している。だが、『実を言えば』では、「皆が正直者だと言うが、実は私はこんな嘘をついている」と言い出して、いちいち挙げる例で、珍しく会員たちを悉く怒らせてしまう。「あなた達の言動をこんな風に思っていました」と打ち明けたことで、ヘンリーに言われたことを気にしたメンバーの行動にちょっとした変化が現れる次作の『行け、小さき書物よ』と二つ揃って楽しめる。
60代ながら皺一つ無い顔で年齢を感じさせないヘンリーの素顔は、ずっと表紙で隠されたままなのだろうか?
3巻
4巻
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2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:377
- ISBN:9784488167097
- 発売日:2018年04月12日
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