緑の扉は夢の入口 (第一の夢の書)

○月×日

もうおなじみのみんな、またブログをのぞきにきてくれてありがとう。
このブログをはじめてのぞいたきみ、わたしが誰だかなんて詮索しないこと。
大して重要なことではないのだから。
今日の話題はもちろん、あの“時間旅行者の系譜”シリーズのケルスティン・ギアの新シリーズよ。

タイムトラベル＆ラブコメの組み合わせで、乙女心に火をつけた前回のシリーズに夢中になったみんなは、当然、この新シリーズもチェックしているわよね！

でもちょっと、正直なところ、不安もあるでしょう？
この表紙の装丁といい、タイトルの醸し出す雰囲気といい、二番煎じにすぎないんじゃないかって。
その心配はもっともだと思うわ。

だからほら、わたしがちょっと一足先に偵察がてら、情報収集してきたってわけ。

まずは主役ね。
今回は弱冠十五歳の女の子リヴ・ジルバー。
妹のミアと大学で文学を教えているママ、それにナニーのロッティと愛犬のプリンセス・バターカップと暮らしている。
あっ。暮らしていたといっていた方がいいかもね。
なにしろ物語のはじまりでリヴたち姉妹は、ママから新しい恋人を紹介され、その彼（つまりママの彼氏ってことだけど！）の二人の子ども（美男美女の双子なんですって！）と同居することになったと告げられるんだから！

まあこうくると、もしかしてきょうだいになるかもしれない双子が実はものすごく意地悪だとか、血のつながりのない兄妹の恋物語に発展するのかなどと、ベタな展開を想像してしまいがちだけど、安心して！どちらもハズレ。

わたしの調べたところによれば、この双子の姉弟、姉のフローレンスの方が頭も切れるし、ちょっとうるさいぐらいに面倒見がいいけれど悪い子ではないみたい。
弟のグレイソンも彼女の趣味をのぞけば、上出来といってよさそうよ。

それじゃあなにが問題かというと、このグレイソン、リヴたちが転入した学校で美形男子４人組として学園中の注目を集めるグループの１人だということ。
そんな目立つ上級生男子たちとと、度の強い眼鏡をかけためだたな系の下級生の女の子が急接近したとなったら、学園中の噂の的になることは避けられないのは当然でしょう？

おまけにこの４人組、そろいもそろってなんだか人に言えないような、黒魔術もどきに手を出しているらしく、どうやら他人の夢をのぞけるらしい。
そしてまたリヴも彼らのあやしげな企てに首を突っ込むことになってしまって……。

甘酸っぱい恋の行方はもちろんだけど、なにやら怪しげな魔法が醸し出すダークな味付けもなかなかのもの。
学園のゴシップやスキャンダルを次から次へとスクープする謎のブロガー、シークレシーの正体も気になるし！

時間旅行者の系譜に比べるとこちらのシリーズの方がより若い世代に受けそうな学園ものではあるけれど、乙女心を忘れないあなたはもちろん、乙女心を覗いてみたいあなたにも楽しんでもらえるはずよ。

とはいえ、たとえ相手が誰であろうと、わたしの夢は覗いてもらいたくはないけれどね！


さて、と。
この物語、カップリングも黒い野望もいったんは、おさまるところにおさまった感じはするけれど、これはまだ三部作の序章にすぎないはず！
この後どんな展開が待っているのか、年内に総て出そろうという三部作の続報も、近いうちにお届けする予定よ。
もちろん、私は次も献本を狙うわ。
ハズレて買うことになりそうな気もするけれどね！


＜ケルスティン・ギア既刊レビュー＞
紅玉は終わりにして始まり(時間旅行者の系譜)
青玉は光り輝く(時間旅行者の系譜)
比類なき翠玉(時間旅行者の系譜)
夫に出会わないためのToDoリスト