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かもめ通信
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年若い女スパイが主役のコージー・ミステリであるはずなのに特筆すべきは老人力?!(ロマンス度★★グルメ度★★★アクション度★★ミステリ度★★★ジェンダー度★★★★お楽しみ度★★★★老人力★★★★★)
CIA秘密工作員というだけでも十分胡散臭い主人公が
潜入先の中東某国で“任務でもないのに”人を殺し
そのために恨みをかって潜伏を余儀なくされる
なんて設定は問題ありすぎ!

もちろんこれはコージー・ミステリなんだから
目くじら立てずにハチャメチャな設定を楽しめばいいのだと
頭ではわかってはいるけれど私の理性が!!
と冒頭は眉間にしわが寄っていたのだけれど、
これがね!!

フォーチュンというあだ名をもつ主人公が
ルイジアナの田舎町シンフルに着いて
「亡き大叔母」の友人たちに出迎えられるにいたると
どんな設定も許せる気になってくる。
すごいよ。この老人力!!

めちゃくちゃおいしい焼き菓子を作ったり、
暇さえあれば編み物をしながら
噂話に興じているのかと思いきや、
このおばあちゃんたちが所属する
<シンフル・レディース・ソサエティ>なるグループは
町中の出来事をなんでも知っているだけでなく、
なんでも“取り仕切っている”というのだ。

その手腕たるや……
早い者勝ちの人気デザートのために猛ダッシュをしたり
度の合った老眼鏡なしにそこのけそこのけと車を運転したり
川から上がってきたワニを仕留めたり、
殺人事件を“思い通りに解決”しようとあれやこれやと画策したりと
主人公であるはずのフォーチュンを
遙かにしのぐ大活躍?!
おいしいところはみんな持って行く勢いだ。

殺人事件の真相もさることながら、
あの人この人が抱える秘密が一つ一つ明らかになるにつれ、
おばあちゃんたちに絡め取られてのっぴきならない状態に……って、
これは真犯人のことでもフォーチュンのことでもない、私のことだ!
読み終えたときには
次作も必ず読まなくては!
早くもそんな気持ちになっていた!!


もっとも、このテのスパイものは面白ければ面白いほど
知らず知らずのうちに読者に“偏見”をもたらしてしまう危険もはらんでいるものだから
その点だけは注意が必要だ。

中東だろうがどこだろうが
主権を侵害して“工作する”ことが正当化されてはならないし、
相手が悪人だからといって殺して良いということにはならないのは
いうまでもないことではあるとは思うけれど……ね。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2238 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2018-02-01 17:25

    残念ながら献本にはハズレてしまったのだけれど
    やまねこ翻訳クラブの島村浩子さんの訳本でもあるし
    これはやっぱり読まなきゃ!でしょうと,あたったつもりのKindle買い。
    積まずに読むのもあたったつもり!w

  2. No Image

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