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KIKUさん
KIKU
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暦を制するものが天下を制する! ―天文学の歩みは人類の歴史とともにあったと言っても過言ではない。

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

神話と現実が交錯する不思議な世界を学問する天文学は、科学のなかでも最も古くから発達したものの一つです。しかしながら、未だに宇宙は謎に満ち溢れております。
正直に申しますと、私は天文学に興味は覚えていたものの、日進月歩の勢いで急速に発展していることに加えて、専門用語や莫大な数値に怖気づいて敬遠いたしておりました。
しかし、偶然Twitterで著者の廣瀬匠氏がご紹介していらした天体写真に心を奪われ、お話させていただいたことをきっかけに、こちらの書籍を手に致しました。
こちらの書籍は天文学についての雑学も満載で、とても楽しく拝読いたしました。

天体の運行
耕作などの季節を知る方法として、または大海や砂漠で方位を知る方法として、古来から天体の運行は広く利用されてきました。
昼夜の繰り返しや季節の移り変わりが、太陽や月、それから天空の星の動きと関連があることを、古代の人々も経験的に認識しておりました。そして、自然の持つ周期性を掴み、将来を予測するために、それらの関係性をもっと詳細に知ろうと、天体の運行を、気の遠くなるほど長い年月にわたって観測を続けました。
更に、時の為政者たちは、天体の運行を観測・研究・計算してを作成することで、「時間」を支配しようと試みました。
その結果、各時代や国家によって様々なが定められてきました。つまり、天文学は元々為政者が占有しておりました。

天動説と地動説
天体の運行を観測している過程で、肉眼で見える火星・水星・木星・金星・土星の五惑星は、昔から存在を知られていて、主に占いのために使用されておりました。
これらの惑星の動きを研究する過程で発見されたのが、コペルニクス地動説でした。
また、ガリレオが自ら製作した望遠鏡で木星の4つの衛星を発見したことも僥倖でした。彼の発見は、「月という衛星を持つ地球が特別である」という考え方を覆し、地動説の証明に大きく寄与しました。
更に、ケプラーによって発見された、惑星の運動に関する法則、いわゆる「ケプラーの法則」によって、プトレマイオス天動説を簡潔さと精度の両面で完全に上回ることができました。ケプラーはこの法則によって、太陽に対する火星の運動が、楕円形の軌道になることを提唱しております。こちらの法則によって、天文学における惑星の観測ははるかに正確なものとなりました。
広く受け入れられるようになるまでには長い時間を必要と致しましたが、「太陽の周りを地球を含む全ての惑星が回っている」という地動説によって、人類は「地球が宇宙の中心」という天動説をついに捨て去ることができました。

太陽系から銀河系へ
銀河系の形を初めて観測から描こうとしたのがハーシェルです。彼は「明るい星ほど地球に近く、暗い星ほど遠い所にある」と仮定して、あらゆる方向における恒星の数や明るさを調べ、立体的に捉えました。
彼の功績によって、「太陽系ですら宇宙の中心ではない」ことが分かりました。

宇宙の始まりと終わり
現在では、宇宙の始まりと未来について関心が高まっております。
宇宙の始まりは、ルメートルの提唱した非常に小さな「原始的原子」から誕生したというのが定説です。この「原始的原子」は高密度で高温の「火の玉」状態であるとのことです。この「火の玉」がいわゆるビックバンです。
宇宙は膨張を続けております。しかし、常に天体の重力の影響も受けております。そのため、膨張が遅ければいつかは宇宙が収縮に転じることが予想されていると言われております。

宇宙は果たして、どのような運命をたどるのでしょうか。

ここまで長々とお付き合いくださり、誠にありがとうございました。
    • 太陽系
    • ハーシェルが恒星の計数観測に基づいて描いた天の川銀河の構造
    • 銀河系
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KIKU
KIKU さん本が好き!2級(書評数:7 件)

のんびり読書することに幸せを感じております。お茶があれば、なお素敵です!(おかげさまで、大量の積読を抱えております。)
雑学や名言の蒐集も大好きなので、色々な書籍や素敵な方々に巡り会えたら嬉しいです。
国内外問わず、歴史小説や推理小説が特に好きです。最近は、古典文学を読み直すことも多いです。

書評は"ネタバレ"しても楽しく読める書籍は"まとめ形式"、読めないものは"概要&感想形式"でご紹介致したいと思います。(読む速さが遅いので、多くの書籍の書評をご紹介できないことをお許しください。)

簡単な"PROFILE"は下記リンクをご覧くださいませ。
どうぞよろしくお願い致します。

(2017年7月1日 作成)

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