書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

ぱせりさん
ぱせり
レビュアー:
貴族の次男坊シュヴァリエは、17歳のときに、運命の女マノン・レスコーに出会う
貴族の次男坊シュヴァリエは、17歳のときに、運命の女マノン・レスコーに出会い、恋に落ちる。その後、彼には、転落の人生が待っている。

世間知らずの純情な青年は、不気味に変容していく。
シュヴァリエには、マノンしか見えない。マノンを守ることが、彼にとって、もっとも崇高な目的、正義になってしまう。
そのために、友人や肉親を利用することも、犯罪に手を染めることさえも、致しかたない犠牲にすぎなくなる。
ただ、愛する人をおもう場所だけを祭壇のように祀って。
彼は懲りない、学ばない。いつでも誰かが何とかしてくれる。困ったときに考えるのは(きれいな言葉をつかっているが)だれにどう泣きついたら効率的か、との計算ではないか。

マノンは、悪女ではない(と思う)
シュヴァリエが信じていた通り、かわいらしくて、ほんとうに優しい人だったのだと思う。(良識はなかったけれど悪意はなかった。)
だから、始末が悪い。
もし、彼女が、もっと計算高く、悪意をもっていたなら……
シュヴァリエの一途さを利用しようとか、奪えるだけ奪おうとか、あるいは、貴族の奥方の座にすべりこもうとか、そんな女であったなら。
そうしたら、いつかシュヴァリエも目が覚めたのだろうか。

そもそもシュヴァリエは、マノンのせいで転落の一途をたどったのだろうか。
もともと持っていた弱さ、愚図さが、露わになっただけではないのだろうか。
マノンに会わなかったとしても、この先も、あちこちでボロを出し続けるような気がするのだけれど。

マノンを、憎いとは思わなかった。
かといって、たいして魅力的とも思わなかった。
マノンに出会ったことがシュヴァリエの不幸であるなら、シュヴァリエと出会ってしまったことがマノンの不幸、とも言えるんじゃないか。
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1744 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

読んで楽しい:5票
参考になる:24票
共感した:2票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『マノン・レスコー』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ