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献本書評
マックさん
マック
レビュアー:
フランスらしさがそこかしこに溢れた、考古学とミステリーの見事な融合。
実は私、2017年は密かに『ミステリーを読もう』をコンセプトに読書生活を送っていました。
その中でアガサ・クリスティーも数多く読んだのですが、意外だったのが遺跡発掘現場が出てくる作品が結構あったことです。
それが強く印象に残っていたので、本書のあらすじを読んで迷わず応募しました。


舞台は地中海に面した港湾都市のマルセイユ。
そんなマルセイユの近海にある海底洞窟ル・ギュアン。
その付近の海岸で、ル・ギュアンの研究をしていた教授クリスティーヌ・オトランの遺体が発見され、謎の手形が残されていました。
その付近ではダイビングに慣れていたはずのフランクも事故死しており、地元警察の警部ド・パルマは捜査に乗り出します。
時を同じくして、マルセイユ近郊で女性を狙った連続殺人事件が起きています。
クリスティーヌ・オトランとフランクの事故死、そして女性連続殺人事件はどう結び付くのか。
遺体発見現場に残された謎の手形の意味は。
と、結構謎が盛り沢山で、贅沢なミステリーでした。

読んでいる間中、次の展開が気になって楽しく読み進めることが出来ました。
実はル・ギュアンでは10年前にも3人のダイバーが亡くなっていて、それをド・パルマが今回の事件に絡めて捜査するのですが、そこの部分もとっても私の好みに合っていて、楽しかったです。

ただ、最後まで読んで事件の全てが解明されると、「こういう事件こそポアロに解いて欲しかった」と思ってしまった。
ポアロの時代ならば成り立つ犯罪も、近代の科学捜査の前ではちょっとな、と思わないでもなかったかな。

それでもド・パルマの活躍をもっと追っていきたいと思いました。
シリーズが続くなら、追っていきたいです。




最後に、お話には全然関係ない事だけれど、1つだけいいでしょうか。
『テットは百七十センチの高さから自分の股間を見下ろし、黄色い液体がすばやいトレモロを響かせ小便器にほとばしり終えるのを見ていた。』
これをただ『テッドはおしっこした』と書かない作者、そして訳さない訳者に感動しました。
これがエスプリでしょうか。
なんだか「フランスの小説を読んだな」と、心から思えた瞬間でした。
まだ読んでいない人には「なんじゃそら」でしょうが、読めば分かります。
ぜひ、読んで下さい!
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マック
マック さん本が好き!1級(書評数:240 件)

なかなか時間が取れませんが、本を読むのは好きです。

どんどん読書時間を取って、読んでいきたいと思っています。


色々なジャンルの本を読んでいきたいと思っているので、
皆様の感想を参考にさせて頂こうと思います。

読んで楽しい:7票
参考になる:43票
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この書評へのコメント

  1. ef2018-01-29 19:26

    クリスティが再婚した男性が考古学者だからじゃないですかね。

  2. No Image
    りゅうちゃん2018-01-29 20:49

    efさん こんにちは。
    再婚相手はマローワンでしたね。
    「ナイル殺人事件」は映画でモリエール作品の引用が強く印象に残ってます。

  3. マック2018-01-30 11:12

    efさん、ありがとうございます。
    旦那様の影響を受けていたんですね。
    なんだかクリスティが可愛く思えます。

  4. かもめ通信2018-01-30 12:11

    クリスティと遺跡の話だったらこちらの本も面白かったですよ!
    ミステリではなく旅行記ですがw

  5. マック2018-01-30 13:27

    かもめ通信さん、ありがとうございます。
    とても興味津々!
    ミステリ以外のクリスティは読んだことないんですが、探してみます。

  6. No Image

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