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たけぞう
レビュアー:
一年の計は元旦にありと言いたくなる一冊。なんて、たまたま読んだんですけどね。
梨木香歩さんの、「ほんとうのリーダーのみつけかた」にいたく感銘を受けて、
原点となったこの本を手に取りました。

「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎)
「僕は、そして僕たちはどう生きるか」(梨木香歩)
「ほんとうのリーダーのみつけかた」(梨木香歩)

著者は違いますが、梨木さんの著書はオマージュ作品でもあるので、
三部作と言っていいでしょう。
政治的、思想的な題名に引いてしまう人が結構いると思います。
わたしもそうでしたから。
読んでみると全然違って、堅苦しいことは一切なしで、
道徳的にこころが整理される読みやすい作品でした。

文章は平易です。ある意味、当たり前のことしか書いていないので、
誰にでも受け入れやすいでしょう。
小中学生ぐらいだったら、素直に読むので引っかかりはなさそうです。
……むしろ、長年の経験で頭が固くなり、視野が狭くなった人にこそ
読んでもらいたい一冊です。
もし思い当たるところがありましたら、お薦めします。

主人公の潤一君、あだ名はコペル君で、中学二年生です。
学校生活を通じて、友人との人間関係や先生との関係、上級生との関係など、
人間社会の縮図のような舞台で、いろいろと悩み、楽しみ、
成長していく物語です。

書かれたのは第二次世界大戦前です。
世の中は軍国主義が進み、社会主義思想はもちろんのこと、
リベラルな考え方の持ち主までも弾圧された理不尽な時期でした。
この背景を重ねると、作品の見え方がまるで違ってくるのです。

人よりも年齢が上だとか、裕福だとか、力が強いとか。
人間は、とかくそんな目に見えることに捉われて、
あたかも自分が偉くなったかのように錯覚してしまうのですね。
いまの言葉では、マウント思考です。

何十年たっても、人間の本質は変わらないということを気づかせてくれました。
むしろ、現代のパワハラ全盛時代は、軍国主義の時代と大差ないのではないか、
そんな恐ろしい感覚が湧き上がってきました。

[こんな人にお薦め]
道徳の名著です。
古びれたところはなく、こころの安定に必要な一冊だという気持ちになれます。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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