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星落秋風五丈原
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本よ 熱く君を語れ 本が語る自らの本生
 はじめに神が言った。「光あれ」すると光が出来た。

 有名な聖書の一節だ。しかし本は神に言われて出来たわけではない。人間が創ったのだ。そもそも「本」という形ですらなかった。粘土板、羊の皮、パピルス。名前を持たない誰かの想いは、様々なものに刻まれた。想いに文字が加わり、ドラマに出て来る羽根ペン、次にペンがその文字を綴った。やがて印刷技術の発展により、本は多くの人の手元に渡る。私達のよく知る本は、更なる進化を続け、とうとう手のひらサイズの電子書籍になった。

 様々な時代、形態を経て来たにも関わらず、語り手は単体だ。ラストに登場する電子書籍のみ「自分とは違う存在」と看做しているようだから、そこだけは人格ならぬ本格が違う設定なのだろう。人間社会では電子書籍か、紙の本かと議論かまびすしいが、本同士は親友だそうで、喜ばしい。但し、あくまで紙の本視点なので、電子書籍がどう思っているのかはわからない。まあ、何事もデジタル思考なのでスマートに割り切っているかもしれない。

 常に順風満帆な本生ではなかった。本自身は常に受け身であることしかできず、書かれている内容によって焼かれたり、憎まれたり、果ては焼かれたりもした。それでも人々は本を大切にしてきたし、これからもきっとしていく。だからずっと側にいて欲しい。本が私達を見捨てない限り。私達が本を忘れない限り。
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星落秋風五丈原
星落秋風五丈原 さん本が好き!1級(書評数:2331 件)

2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。

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