書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

かもめ通信
レビュアー:
10歳の少年ハスティンは、家族の窮状を救うため、サーカスの象の世話係として働くことを決意する。(祝 #やまねこ20周年 記念読書会参加レビュー)
ハスティンは10歳。
インドの砂漠地帯の貧しい村で母さんと妹のチャンダと三人で暮らしていた。
木彫り職人だった父さんを亡くしてから、母さんは本当に苦労をして生計を立ててきたけれど、熱病に冒されたチャンダの治療費用を用意することができなかった。
そのためチャンダを入院させた母さんはハスティン一人を家で留守番させ、自分は町のお金持ちの家で住み込みで働くことにした。
けなげに留守を守るハスティンだったが、訪ねていったときに見た母の悲惨な暮らしぶりに心を痛め、家族のために、たった一人、サーカスの象の世話係として働くことを決意する。

はじめて目にするジャングル。
はじめて目にする象の群れ。
ハスティンには驚くことばかりだったが、彼に割り当てられた最初の仕事は、毎日、象が生け捕りの罠にかかったかどうか確認しに行くことだった。

とうとう罠にかかってしまった子象ナンディタの世話をするうちに、少年と象は心を通わせるようになるが、痛めつけられながら芸を仕込まれるナンディタは生傷が絶えず、朝から晩まで過酷な労働を強いられるハスティンはいつも眠くて堪らなかった。

そしてとうとう事件が起きて……。

原題は“CHAINED”
鎖につながれたのは子象のナンディタだけではない。
逃げだそうにも逃げることができず、過酷な不法就労を強いられている少年ハスティンもまた、目に見えない鎖につながれている。

アメリカ人の作者が入念な取材を元に描いたという物語は、決して遠い昔を舞台にしたものではない。

ハスティンのけなげさと子象のナンディタの愛らしさに心惹かれながらも、世界には今なお、児童労働に従事させられている子どもたち大勢いて、人間のエゴのために密猟される動物たちが後を絶たないという現状に思いをはせずにはいられない物語だった。


「祝 #やまねこ20周年 記念読書会」参加レビューです。

お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2236 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

読んで楽しい:3票
参考になる:32票
共感した:3票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『ぼくと象のものがたり (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ