oldmanさん
レビュアー:
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数奇な運命を辿って、160年にわたり受け継がれてきたひと房の髪の毛 それはあのベートーヴェンの遺髪だった。#やまねこ祭
かなり以前のの事だと記憶していますが、ベートーヴェンの遺髪から多量の鉛が検出されたという記事を読んだ記憶があります。
今回、この本を読んで、その経緯を知ることが出来ました。
ベートーヴェンについては、音楽関係の著書からその生涯を知ってはいましたが、間違ってもお友達にはなれそうもない人物という印象が強かったのです。
カンシャク持ち 気まぐれ コロコロと気分の変わる人物 天才にありがちな変わり者
僕の年代では、何処の学校の音楽室に行っても その恐ろしい顔でにらみつけてくる方でした。
それでも、なぜかベートーヴェンには惹かれるものが有ります。
の頃初めて親にねだって買ってもらったLPレコードは「運命」と「田園」でした。
それを摩りきれるほど聞いたものです。
ベートーヴェンが亡くなった次の日、師のヨハン・ネポムク・フンメルと共に弔問に訪れた15歳のフェリックス・ヒラーは、尊敬する楽聖の髪の毛をひと房切り取ったのです。
その後 遺髪は、ヒラーがユダヤ人だったため、数奇な運命を辿り二人のアメリカ人の手に渡ったのです。
本書はVeethons hear ベートーヴェンの遺髪を YA向けに書き直したものですが、そのおかげで非常に読み易いノンフィクションとなっています。
楽聖ベートーヴェンの生涯 切り取られたベートーヴェンの遺髪の行方 そしてそれを手に入れた二人のアメリカ人の話 いずれもサラリと書かれていますが、大事な部分はもらす事なくしっかりと描かれています。
あのハイリゲンシュタットの遺書 に書かれた最後の言葉を実現するために、二人は手に入れた遺髪を科学的な分析にかけます。
電子顕微鏡と粒子加速器シンクロトロンでの分析で解ったのは、その遺髪に常人の40~60倍もの鉛が含まれていた事です。
当時は鉛の毒性などはまったく認識されておらず、食器だけでなくワインに甘味を付けるためにも添加されていたし、医療上の治療薬としても鉛の錠剤が処方されていたのです。
ベートーヴェンのワイン好きは有名ですが、それ以外にも薬として処方されていたのかもしれません。
本書では、彼が慢性的に訴えていた、腹痛や頭痛 また症状として人格障害などが、この為に起きたのかも知れないとと分析しています。
ベートーヴェン自身が、ハイリゲンシュタットの遺書で書いているのは恐らく聴覚のことでしょう。ですが現代の科学はそれ以上の事も明らかにしてくれるのです。
また前掲書で載せられななかった、ベートーヴェンの頭骨破片とのDNA検査の結果 遺髪が間違いいなくベートーヴェンの物である事も書かれています。
面白くて読みやすく、若い人のノンフィクションの登竜門としても非常に優れた本であるだけでなく、大人が読んでも十分満足できる一冊でした。
☆最後にこの本の事を最初に教えてくださったしげもりさん と詳しい書評を書いて下さった Wings to flyさんに感謝します。
今回、この本を読んで、その経緯を知ることが出来ました。
ベートーヴェンについては、音楽関係の著書からその生涯を知ってはいましたが、間違ってもお友達にはなれそうもない人物という印象が強かったのです。
カンシャク持ち 気まぐれ コロコロと気分の変わる人物 天才にありがちな変わり者
僕の年代では、何処の学校の音楽室に行っても その恐ろしい顔でにらみつけてくる方でした。
それでも、なぜかベートーヴェンには惹かれるものが有ります。
の頃初めて親にねだって買ってもらったLPレコードは「運命」と「田園」でした。
それを摩りきれるほど聞いたものです。
ベートーヴェンが亡くなった次の日、師のヨハン・ネポムク・フンメルと共に弔問に訪れた15歳のフェリックス・ヒラーは、尊敬する楽聖の髪の毛をひと房切り取ったのです。
その後 遺髪は、ヒラーがユダヤ人だったため、数奇な運命を辿り二人のアメリカ人の手に渡ったのです。
本書はVeethons hear ベートーヴェンの遺髪を YA向けに書き直したものですが、そのおかげで非常に読み易いノンフィクションとなっています。
楽聖ベートーヴェンの生涯 切り取られたベートーヴェンの遺髪の行方 そしてそれを手に入れた二人のアメリカ人の話 いずれもサラリと書かれていますが、大事な部分はもらす事なくしっかりと描かれています。
あのハイリゲンシュタットの遺書 に書かれた最後の言葉を実現するために、二人は手に入れた遺髪を科学的な分析にかけます。
電子顕微鏡と粒子加速器シンクロトロンでの分析で解ったのは、その遺髪に常人の40~60倍もの鉛が含まれていた事です。
当時は鉛の毒性などはまったく認識されておらず、食器だけでなくワインに甘味を付けるためにも添加されていたし、医療上の治療薬としても鉛の錠剤が処方されていたのです。
ベートーヴェンのワイン好きは有名ですが、それ以外にも薬として処方されていたのかもしれません。
本書では、彼が慢性的に訴えていた、腹痛や頭痛 また症状として人格障害などが、この為に起きたのかも知れないとと分析しています。
ベートーヴェン自身が、ハイリゲンシュタットの遺書で書いているのは恐らく聴覚のことでしょう。ですが現代の科学はそれ以上の事も明らかにしてくれるのです。
また前掲書で載せられななかった、ベートーヴェンの頭骨破片とのDNA検査の結果 遺髪が間違いいなくベートーヴェンの物である事も書かれています。
面白くて読みやすく、若い人のノンフィクションの登竜門としても非常に優れた本であるだけでなく、大人が読んでも十分満足できる一冊でした。
☆最後にこの本の事を最初に教えてくださったしげもりさん と詳しい書評を書いて下さった Wings to flyさんに感謝します。
- ベートーヴェンと言えばこの絵 いつも音楽室の額の中から睨み付けていました。
- ベートーヴェンのデスマスク。写真が無い当時は有名人が亡くなると結構とっていました。
- オマケで見つけたベートーヴェンの1/6フィギュア…お値段¥315000円ぉお!!(゚ロ゚屮)屮
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最近歳のせいか読書スピードが落ちているにもかかわらず、本好きが昂じて積読本が溜まっております。
そして、歩けるうちにとアチコチヘ顔を出すようになりました。
現在はビブリオバトルを普及することに力をいれております。
その為読書メーターにはコミュニティーも作りました。
( ゚∀゚)つ https://bookmeter.com/communities/337701
いささかひねくれた年寄りですがよろしくお願いいたします。
2016年12月 読書メーターのプロフィル画像とハンドルネームをちょっと変えてみました(*^^*)
読メハンドルネーム oldman獺祭魚翁
この書評へのコメント
- Wings to fly2018-03-23 20:36
書評のリンクありがとうございます(^^)
面白いノンフィクションを探している方には、年齢に関係なく推したい作品だと私も思いました。残念ですね、こういう優れた本が絶版とは!クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:PHP研究所
- ページ数:160
- ISBN:9784569782362
- 発売日:2012年06月02日
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