あかつきさん
レビュアー:
▼
魔性の女はいいものだ.とてもいいものだ.←大事なことは二度言おう.
以前,男の裸祭で「絶世の美男(帯:禁断の愛に身を焦がす120人!)」というけしからん本をご紹介いたしましたが,その本はもとはといえば「絶世の美女」の兄弟版として出版されたものでした.
「絶世の美女」には「絶世の美女(あなたの心を揺さぶる120人!)」と「絶世の美女 ヌード(世界を誘惑した裸身の120人!)」と「絶世の美女 魔性(男たちを破滅へと誘う120人!)」の三冊があるのですが,まあ魔性が一番楽しいっす.ところで,120人になにか拘りでもあるのか平松さんよ.
もう,魔性ときたらラファエル前派(バーン=ジョーンズ,ウォーターハウス,ロセッティ)に象徴主義(モロー)のお祭り状態ですね.がらくた兄さんの大好きなクリムトも勿論登場,ええ好きです大好きですともさ.
中野京子さんの「怖い絵」が好きな方とかもԅ(//́Д/̀/ԅ)'`ァ'`ァ♡できる絵が揃ってましてよ.
サロメにユーディト,パンドラにリリス,ニンフにセイレーン,やはり毒がないと魅力はないわね.聖女なんて何それおいしいの?
そもそも,男であれ女であれ異性に「聖性」を付与されて喜ぶ者がいるのでしょうか.
恐れとは畏れ,つまりその者の「力」を認めているということです.聖人や聖女にされて崇められて蚊帳の外に置かれるより,慄かれ畏れられ性的な欲求に身を震わせて頂くほうがなんぼもマシってもんです.いやマジで.
因みに,表紙はジョン・コリアが描くアダムの最初の妻という設定のリリスです.正確には聖書にはリリスの記載はなく,ユダヤ以前の原始宗教における女神が神性を堕とされていった模様.
しかし,自らの意思があるのかないのか蛇に誑かされて荒野を彷徨うイブなんかより,自ら悪魔と交わっていくリリスの方がなんて自由で楽しそうなんでしょ,わたしが男ならイブよりリリスとお願いしたいわ,そうじゃないこと,紳士?
ってことでいくつかご紹介.
*1「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」アルテミジア・ジェンティレスキ
「名画の謎 対決篇」で題名だけご紹介した奴です.
カラバッジョのすかした顔のユーディットなんて偽物よ.あんなひょろい腕でなすびみたいに首が斬れるかい.
女が男の首を斬り落とそうとしたら,これだけの力と憎悪が必要なのです.
ユーディットは顔を嫌悪にしかめながら敵の首をかいたりなんかしない.
憎い男を殺すという絶対的な決意と,今まさに殺しているという恍惚を感じながらぎしぎしと斬り続けたに違いない.
「魔性の女」に萌える男どもには決して描けない,女性が描くからこその「真実の」ユーディットです.
*2「スフィンクス」フランツ・フォン・シュトック
シュトックは「スフィンクスの接吻」という絵も描いています.そちらはちゃんとキメラの姿をしたスフィンクスが乳房もあらわに獲物に死の接吻を与えるシーンで,中野京子さんの本でも紹介されていたはず(どの本か忘れたが).
しかし,このスフィンクスは全き人間の姿をしています.
彫像めいた顔つきで敷布に横たわって.
それだけなのに.
この,不安感.
この,獣性.
滾 り ま す ね.
*3「女と人形」アンクエル・サラガ
ルイスは小説「女と人形」で,魔性じみた処女にお預けをくらい続け,全てを彼女に捧げて奴隷化していく哀れな男の末路を描きました.
メキシコの画家サラガは,いかにもメキシコらしい死の道化でそんな男を表現します.
男を狂わせるのが手練手管に長けた成熟した女とは限らない,少女でさえ魔性を抱くのです,ԅ(//́Д/̀/ԅ)'`ァ'`ァ♡ԅ(//́Д/̀/ԅ)'`ァ'`ァ♡
「絶世の美女」には「絶世の美女(あなたの心を揺さぶる120人!)」と「絶世の美女 ヌード(世界を誘惑した裸身の120人!)」と「絶世の美女 魔性(男たちを破滅へと誘う120人!)」の三冊があるのですが,まあ魔性が一番楽しいっす.ところで,120人になにか拘りでもあるのか平松さんよ.
もう,魔性ときたらラファエル前派(バーン=ジョーンズ,ウォーターハウス,ロセッティ)に象徴主義(モロー)のお祭り状態ですね.がらくた兄さんの大好きなクリムトも勿論登場,ええ好きです大好きですともさ.
中野京子さんの「怖い絵」が好きな方とかもԅ(//́Д/̀/ԅ)'`ァ'`ァ♡できる絵が揃ってましてよ.
サロメにユーディト,パンドラにリリス,ニンフにセイレーン,やはり毒がないと魅力はないわね.聖女なんて何それおいしいの?
そもそも,男であれ女であれ異性に「聖性」を付与されて喜ぶ者がいるのでしょうか.
恐れとは畏れ,つまりその者の「力」を認めているということです.聖人や聖女にされて崇められて蚊帳の外に置かれるより,慄かれ畏れられ性的な欲求に身を震わせて頂くほうがなんぼもマシってもんです.いやマジで.
因みに,表紙はジョン・コリアが描くアダムの最初の妻という設定のリリスです.正確には聖書にはリリスの記載はなく,ユダヤ以前の原始宗教における女神が神性を堕とされていった模様.
しかし,自らの意思があるのかないのか蛇に誑かされて荒野を彷徨うイブなんかより,自ら悪魔と交わっていくリリスの方がなんて自由で楽しそうなんでしょ,わたしが男ならイブよりリリスとお願いしたいわ,そうじゃないこと,紳士?
ってことでいくつかご紹介.
*1「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」アルテミジア・ジェンティレスキ
「名画の謎 対決篇」で題名だけご紹介した奴です.
カラバッジョのすかした顔のユーディットなんて偽物よ.あんなひょろい腕でなすびみたいに首が斬れるかい.
女が男の首を斬り落とそうとしたら,これだけの力と憎悪が必要なのです.
ユーディットは顔を嫌悪にしかめながら敵の首をかいたりなんかしない.
憎い男を殺すという絶対的な決意と,今まさに殺しているという恍惚を感じながらぎしぎしと斬り続けたに違いない.
「魔性の女」に萌える男どもには決して描けない,女性が描くからこその「真実の」ユーディットです.
*2「スフィンクス」フランツ・フォン・シュトック
シュトックは「スフィンクスの接吻」という絵も描いています.そちらはちゃんとキメラの姿をしたスフィンクスが乳房もあらわに獲物に死の接吻を与えるシーンで,中野京子さんの本でも紹介されていたはず(どの本か忘れたが).
しかし,このスフィンクスは全き人間の姿をしています.
彫像めいた顔つきで敷布に横たわって.
それだけなのに.
この,不安感.
この,獣性.
滾 り ま す ね.
*3「女と人形」アンクエル・サラガ
わたしのためなら死を厭わぬと,常々言っているあなた,それなら死んでちょうだい,そのときこそ本物よ(ピエール・ルイス「女と人形」)この画像だけなかなか見つからず「アンクエル・サラガ」と入力すると,とてつもない量のサラダの画像が押し寄せてきました.誰が喰えるサラダを探しとるっちゅーねん.
ルイスは小説「女と人形」で,魔性じみた処女にお預けをくらい続け,全てを彼女に捧げて奴隷化していく哀れな男の末路を描きました.
メキシコの画家サラガは,いかにもメキシコらしい死の道化でそんな男を表現します.
男を狂わせるのが手練手管に長けた成熟した女とは限らない,少女でさえ魔性を抱くのです,ԅ(//́Д/̀/ԅ)'`ァ'`ァ♡ԅ(//́Д/̀/ԅ)'`ァ'`ァ♡
お気に入り度:









掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
色々世界がひっくり返って読書との距離を測り中.往きて還るかは神の味噌汁.「セミンゴの会」会員No1214.別名焼き粉とも.読書は背徳の蜜の味.毒を喰らわば根元まで.
- この書評の得票合計:
- 36票
| 読んで楽しい: | 24票 | |
|---|---|---|
| 参考になる: | 12票 |
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:新人物往来社
- ページ数:127
- ISBN:9784404042132
- 発売日:2012年06月30日
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。























