書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

薄荷さん
薄荷
レビュアー:
一番記憶に残ったワードは『変態性欲』でした(笑)
夢野久作デビューなら、この本がお勧め!
本書は、惨殺死体・キチガイ・変態性欲(笑)・人形・無限落下・純真無垢な少年少女・・・彩り色々夢Qワールド盛り沢山の短編集です。
はっきりとしたバッドエンドから、ボンヤリとした不安感、シニカルな薄笑いまで取り揃えた、文字による悪夢のオンパレード!

夢野久作と言えば超怪作「ドグラ・マグラ」が有名ですが、本書の「死後の恋」「瓶詰地獄」も怪奇物アンソロジーなどでよく見かける名作なので、私同様他書で読んだ方も多いと思います。
「死後の恋」の惨殺死体と煌く宝石の織り成す背徳的美しさが凄まじく、
「瓶詰め地獄」では3つの手紙の読む順番により、ただの怪奇ものではなく絶妙なミステリとして仕上がっててます。
・・・とかいいつつ、実は「あやかしの鼓」をはじめてとして他の作品は本書で初めて読みまして・・・うへぇ、キモチ悪くて恐い~!と両手で眼を覆っていながら、指の隙間から他の作品も読んでみたくなるような、クセになるカンジがたまりません。

ちなみに私が一番怖かったのは、「いなか、の、じけん」(この「、」配置が絶妙!)の「赤い松原」と「郵便局」。
とても短いんですが、凄まじく悍ましい・・・ひたすら薄汚く厭わしく怖い。
ちょっと昔のまだ教育が行き届かず、因習にとらわれて生きる閉鎖的な村落の人々がやらかした残酷な事件の話ですが、夢Q氏の郷里の北九州の某地方の出来事で、私が見聞きしたことという言葉がホントなら・・・これは現実にあったことなんでしょうか?
ネットでもよく見ません?田舎の因習、因習の怖い話とか・・・!? ( ̄ロ ̄lll)

さて、本書は約430ページたっぷり夢Q作品の贅沢な本ですが、特に巻末が見ものです!ご注目あれ!
巻末の編者解説+著者解説(?)+選考委員の選評で、今まで知らなかった夢野久作を垣間見れますよ~!

デビュー作『あやかしの鼓』が当時知る人ぞ知る雑誌『新青年』の懸賞募集で2位に入選し、数人の選考委員の選評では概ね褒めている中、江戸川乱歩大先生の選評は長々とした熱いダメ出し!(これがまた、他の乱歩作品にひけをとらないほど面白い(笑))
上げて↗落とし↘上げて↗落とし↘落とし↘落とし↘・・・最終的に「カンジ悪い事ばっか言っちゃってごめんね~」的結びのこの選評に、まだ作家経験のない夢Q氏がペッコリ凹まないわけがなく。

通常どんな受賞者のコメントでも「受賞した喜び」とか「読みどころ」とかを熱く語るものですが、夢Q氏は「こんな酷評を受けた作品を書いた経緯を言い訳してるだけ」なのがとっても気の毒で・・・(゜ーÅ)
この本のどの作品よりも切なかったです(笑)。

巻末を含め大変親切な本ですから、夢野久作がちょっと気になる方は読んでみてください。とってもお得感があります。
そして、2017年9月30日までなら『本が好き!「この本に惚れました!」フェア』開催中のBOOKPORT大崎ブライトタワー店さんで、お求めくださいね~♡
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
薄荷
薄荷 さん本が好き!1級(書評数:513 件)

スマホを初めて買いました!その日に飛蚊症になりました(*´Д`)ついでにUSBメモリーが壊れて書きかけレビューが10個消えました・・・(T_T)

読んで楽しい:21票
参考になる:12票
共感した:1票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. そのじつ2017-09-20 08:36

    薄荷さん(^^)共感・共感!
    「赤い松原」と「郵便局」はコワイ!実際起こりそうな、無知無明に対する生理的嫌悪感がたまりません。あとお婆ちゃんがご馳走を食べ溜めする話もすごく印象に残ってます。

    そして乱歩先生の選評の、上げ落とし図に吹き出しました。

    そうそう、現在では「変態」の二文字で通っておりますが、正式名称はやはり「変態性欲」なんでしょうかね。

  2. 薄荷2017-09-20 09:02

    そのじつさん
    面白かったです!そして、怖かったです~・・・!

    >お婆ちゃんがご馳走を食べ溜めする話・・・これもグロかった~!事件名を付けるなら過失自死でしょうか(-_-;)
    >無知無明に対する生理的嫌悪感・・・そうそう!その言葉がぴったりです!
    赤ちゃんを銭湯にうっかり忘れて探し回る事件はほのぼのしてたけど、怖いヤツはホントに怖かったです・・・。

    乱歩先生、ダメ出し語りが熱い!でも丁寧なところに性格が出てて好感がもてちゃいました(笑)

  3. かもめ通信2017-09-20 12:33

    清純派レビュアー薄荷さんがのっけから『変態性欲』と叫んでいることにまずのけぞったわ!ww
    しまった。これも買うべきだったか!
    でもさあ。未だにかまわぬカバーの「少女地獄」、積んだままなんだよね。

  4. 薄荷2017-09-20 16:55

    >かもめ通信さん
    >清純派レビュアー薄荷さん・・・キャ~(*/∇\*)恥ずかしー!そして初耳~!(笑)

    この厚みと内容で630円(税別)はお買い得だと思いますよ~!(^^)v
    「少女地獄」を読破した暁には、ぜひ読んでみてください。(特に巻末を(笑))

  5. 読書猫S.S2017-09-21 22:24

    夢野久作さんですね、彼の作品を参考にして書かれた小説があるんです。「猟奇歌」「人間レコード」「火星の女」「少女地獄」を参考に書かれた、「脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク」という小説です。この本はかなり前に読んでいるのですが、参考にされた夢野久作さんの本は読んだ事ないんですよね、でも今本棚見たら彼の本「少女地獄」あったんです。多分「脳R」が参考にしていたということで買ったんだと思いますが、未読です・・埋もれていて忘れ去られていました・・いつか読んでみよう!

  6. 薄荷2017-09-21 22:55

    >読書猫さん
    「脳Rギュル~」?なんかよくわからないけど色々な意味で(笑)すごいぞ!
    調べてみたら、[夢野久作「人間レコード」の佐藤大による『跳訳』作品]

    はて?『跳訳』?
    またも調べてみたら、『ガガガ文庫で展開されている企画。著作権の切れた近代文学を、ライトノベルとして生まれ変わらせる試み。』

    はい?『ガガガ文庫』?
    またまた調べてみたら、『小学館が刊行しているライトノベル系文庫レーベル。2007年5月創刊。少女向けの「ルルル文庫」もある。』

    知らないことが、世の中にはいっぱいあると思い知りました(笑)

    というわけで(どんなわけだ!?)夢Q作品デビューはこの本には載ってないけど、「人間レコード」が読書猫さんにはハマるかもしれませんよ~(^^)v

  7. Kurara2017-09-26 22:03

    薄荷さん♪
    ヤバイ。。。薄荷さんの未読だった書評4本読んで全部読みたくなるという悲劇・・・泣

  8. 薄荷2017-09-27 00:40

    >Kuraraさん
    Kuraraさんなら絶対お楽しみいただけると確信しておりますとも!
    特に本書と「東京甘味食堂」がお勧めです。

    関連して「地元菓子」も是非よろしくお願いします~♡

  9. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『死後の恋: 夢野久作傑作選』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ