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星落秋風五丈原
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事件よりもドロドロの人間関係を何とかしよう 娘への執着が募るセバスチャン
 冒頭では、女性が無言である人物を撃ったらそこに子供がいてパニックになるシーンが描かれる。さぁこのシーンは、いつの、どの事件と関係がある?読者の興味を引いておいて、次はセバスチャンが毎度おなじみ、出会ったばかりの看護師の家に泊まり、翌朝その息子と顔を合わせるという気まずい場面が登場。女となるとすぐベッドに引っ張りこむイメージのあるセバスチャンだが、今回はこれ一度きりだ。彼には他に気になる存在がいた。本人は知らないけれど自分の娘であるヴァニャだ。そして自分に執着してくるエリノールを「セックスをしてくれる家政婦」呼ばわりして追い出し、事件が起きたのを幸いに、さっさと彼女から逃げ出そうとする。それにしても、いくら彼女を追い出したいとはいえ相変わらずサイテーだな。

 メインの事件はトレッキングをしにきた女性が偶然見つけた六体の人間の骨=原題の白骨だ。正直彼自身も途中で「俺、やる事ないから」と帰ってしまうように、コールドケースのような事件なので、セバスチャンが活躍する場もなく、物足りない。サイドストーリーとして、ある人物の失踪がほのめかされているので、勘のいい読者はすぐに見当をつけるはずだ。

 そのかわり、北欧TVシリーズみたいな、署内の人間模様に主眼が置かれている。FBI研修に応募してここを離れようとしているヴァニャ(彼女が抜けたせいでセバスチャンがチームに呼ばれる)。ヴァニャと言い合いで気まずくなってしまったビリー、ヴァニャのアメリカ行きを何としても止めさせようと考えるセバスチャン、夫から別れを告げられたがその事を恋人トルケルには言えないウルスラ。こういうのが嫌で推理物を読みたいという読者は、ちょっとイライラするかもしれない。

シリーズ作品
模倣犯〈上〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)
模倣犯〈下〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)
白骨〈下〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)
少女〈上下巻〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン)
少女〈下巻〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン)
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星落秋風五丈原
星落秋風五丈原 さん本が好き!1級(書評数:2331 件)

2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。

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