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はなとゆめ+猫の本棚
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ちょっとした失敗をする。あせってさらに他の失敗を重ねる。こんな時には、犬のシャルロットを抱きしめて。
 主人公、シャルロットは6歳の雌のジャーマンシェパード。警察犬だったが股関節を痛めて、警察犬を引退。2年前浩輔・真澄夫婦のところにやってくる。

 この本では、いろんなトラブルを主人公夫婦とシャルロットの活躍で解決する、6作品が収録している。

 近藤さんは、犬の行動、心理の限界をよくわかっていて、シャルロットが犬の領分を越えて天才的行動をとるようなことはなく、あくまで犬としての在り様を描き出す。それが魅力的で、そうだそうだと読者を物語に引き込む。

 どの作品もハートフルで見事なのだが、私自身読んでいて身につまされた最後の「シャルロットのお留守番」が印象に残った。

 庭の塀の上に並べて栽培していたパクチーが倒され、塀の内側に落ちて植木鉢が壊されバラバラになっている。そのこわれた植木鉢のそばに靴跡が残されている。塀は1.3Mあり、飛び越え侵入するにはすこししんどい。

 ある日、真澄が公園で、中学生の男の子が、自転車置き場で自分の自転車が倒れ、結果他の自転車もいくつも倒してところに遭遇する。焦った中学生は、自分の自転車起こし、倒れた自転車も起こそうとする。しかしあわてて起こそうとして更に別の自転車を倒してしまう。

 そうそうこういうことってあるんだよね。何か失敗をする。その時一旦考えてどうするかを決めればいいのだが、焦って頭に血がのぼり、何とかしようとあわてて行動すると、更に失敗をしてしまう。

 その中学生、自転車で通りを走っていた時、間違ってパクチーの鉢をひっかけて落としてしまう。そして、何とかせねばならないと、塀を越えて、侵入してしまう。あせって庭を踏み荒らす。その時、シャルロットが現れる。男の子はシャルロットを抱きしめる。シャルロットは男の子のなすままに身をゆだねる。すると男の子は気持ちが鎮まって、どうすべきか考えられるようになる。

 このシャルロットが男の気持ちを鎮めるところが身に染みて感動する。私もシャルロットが欲しかった。
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はなとゆめ+猫の本棚
はなとゆめ+猫の本棚 さん本が好き!1級(書評数:6243 件)

昔から活字中毒症。字さえあれば辞書でも見飽きないです。
年金暮らしになりましたので、毎日読書三昧です。一日2冊までを限度に読んでいます。
お金がないので、文庫、それも中古と情けない状態ですが、書評を掲載させて頂きます。よろしくお願いします。

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