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衣食住をできるだけ自分の力で作り出すための手引き
アーバンサバイバル。都会の中で、なるべく自力で生き抜く試みである。
自然と関わりながら暮らしてみたいと思いつつ、都会で便利ではありつつも自然には触れない生活をしている人は多いだろう。食材はスーパーで調達でき、スイッチ1つで火がつき、用便後は水に流してしまう。土も碌に見ることはない。
本書の著者は、サラリーマンとして生活しつつも、猟師であり登山家でもある。山に入る際にはなるべく装備や食糧を持ち込まず、現地調達する「サバイバル登山」に務めている。
著者は日頃、横浜の郊外で、都市に住みつつもなるべく衣食住を自分の手でまかなう暮らしをしている。
本書はその著者の暮らしを豊富な写真やイラストとともに紹介しつつ、「生きる」ことについて考える1冊である。
首都圏近郊でここまで出来るのかということにまずは驚く。
写真を見る限り、繁華街ではないが住宅地である。斜面にある分、幾分か隣家は遠そうだが、野中の一軒家ではない。
ここでニワトリを飼い、ミツバチを飼う。獲物の解体をし、燻製を作る。畑で作物を作り、果樹も植える。時にカラスやハクビシンもやってくる。著者のトイレも庭である。
すごい。
但し、住宅地であるからそれなりの気を遣う。その勘所も具体的に紹介されているのでなるほど、とわかりやすい。
「衣」「食」「住」それぞれの項目に分かれるが、一番紙数を割いているのはやはり「食」。
著者は猟師であるので、獲物が食肉になるまでの解体の過程が写真入りで詳しく解説されている。ポイントを押さえた解説だが、こういうのは何度も自分でやってみないとわからないだろうなとも思う。ただ、実際に解体することがあれば大いに参考になりそうだ。
哺乳類の解体技術が身につけば、他の脊椎動物にも応用可能であるそうで、このあたりはなるほどそうなんだろうなと思う。
シカやニワトリはもちろん、ザリガニやミドリガメ、ウシガエル、アオダイショウなんてところまで。苦手な方はうぇっとなりそうだが、なかなか興味深い。ミドリガメは圧倒的においしいそうである。
都会のサバイバルなので、すべてを1からやるという悲愴なストイックさはない。便利な道具であれば使う。例えばインパクト(電動)ドライバー。自力では硬い木にネジ1本でもお手上げだが、インパクトドライバーがあればかなりのことができるという。
著者は実際に自宅のリフォームも行っている。出窓や濡れ縁を自分で作るとか、ちょっと驚くけれども、文明の利器と勢いで仕上げてしまっているのがすごい。壊すときが一番緊張するのだそうだ。一度壊してしまったらもうやり遂げるしかないものなぁ・・・。
さて、実際にどのくらい自分でも出来るか、と思うと、ちょっと(いやだいぶ)考えてしまうのだが、「なるべく自力で」というのは大事なポイントのように思う。「サバイバル」の大きな特徴は、「生きている」実感を得ることだろう。
付録として、「考えて、行動し、また考えるということ」という章がある。言い得て妙で、便利なものを受動的に使うばかりではなく、自分で出来ることは何かを考え、手を動かしてやり抜いてみることで、まったく違う景色が見えたりする、のかもしれない。
「アーバンサバイバル」、なかなか奥が深そうである。
*著者さんの著書は読んでいないのですが、以前、編著『狩猟文学マスターピース』を読みました。感覚的にすとんと腑に落ちる部分が多かったので、この著者さんの本はいずれまた読んでみたいなと思います。
自然と関わりながら暮らしてみたいと思いつつ、都会で便利ではありつつも自然には触れない生活をしている人は多いだろう。食材はスーパーで調達でき、スイッチ1つで火がつき、用便後は水に流してしまう。土も碌に見ることはない。
本書の著者は、サラリーマンとして生活しつつも、猟師であり登山家でもある。山に入る際にはなるべく装備や食糧を持ち込まず、現地調達する「サバイバル登山」に務めている。
著者は日頃、横浜の郊外で、都市に住みつつもなるべく衣食住を自分の手でまかなう暮らしをしている。
本書はその著者の暮らしを豊富な写真やイラストとともに紹介しつつ、「生きる」ことについて考える1冊である。
首都圏近郊でここまで出来るのかということにまずは驚く。
写真を見る限り、繁華街ではないが住宅地である。斜面にある分、幾分か隣家は遠そうだが、野中の一軒家ではない。
ここでニワトリを飼い、ミツバチを飼う。獲物の解体をし、燻製を作る。畑で作物を作り、果樹も植える。時にカラスやハクビシンもやってくる。著者のトイレも庭である。
すごい。
但し、住宅地であるからそれなりの気を遣う。その勘所も具体的に紹介されているのでなるほど、とわかりやすい。
「衣」「食」「住」それぞれの項目に分かれるが、一番紙数を割いているのはやはり「食」。
著者は猟師であるので、獲物が食肉になるまでの解体の過程が写真入りで詳しく解説されている。ポイントを押さえた解説だが、こういうのは何度も自分でやってみないとわからないだろうなとも思う。ただ、実際に解体することがあれば大いに参考になりそうだ。
哺乳類の解体技術が身につけば、他の脊椎動物にも応用可能であるそうで、このあたりはなるほどそうなんだろうなと思う。
シカやニワトリはもちろん、ザリガニやミドリガメ、ウシガエル、アオダイショウなんてところまで。苦手な方はうぇっとなりそうだが、なかなか興味深い。ミドリガメは圧倒的においしいそうである。
都会のサバイバルなので、すべてを1からやるという悲愴なストイックさはない。便利な道具であれば使う。例えばインパクト(電動)ドライバー。自力では硬い木にネジ1本でもお手上げだが、インパクトドライバーがあればかなりのことができるという。
著者は実際に自宅のリフォームも行っている。出窓や濡れ縁を自分で作るとか、ちょっと驚くけれども、文明の利器と勢いで仕上げてしまっているのがすごい。壊すときが一番緊張するのだそうだ。一度壊してしまったらもうやり遂げるしかないものなぁ・・・。
さて、実際にどのくらい自分でも出来るか、と思うと、ちょっと(いやだいぶ)考えてしまうのだが、「なるべく自力で」というのは大事なポイントのように思う。「サバイバル」の大きな特徴は、「生きている」実感を得ることだろう。
付録として、「考えて、行動し、また考えるということ」という章がある。言い得て妙で、便利なものを受動的に使うばかりではなく、自分で出来ることは何かを考え、手を動かしてやり抜いてみることで、まったく違う景色が見えたりする、のかもしれない。
「アーバンサバイバル」、なかなか奥が深そうである。
*著者さんの著書は読んでいないのですが、以前、編著『狩猟文学マスターピース』を読みました。感覚的にすとんと腑に落ちる部分が多かったので、この著者さんの本はいずれまた読んでみたいなと思います。
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw
この書評へのコメント
- ぽんきち2017-07-25 12:06
風竜胆さん
えへへ(^^;)。ザリガニを食べるという話はちらほら聞きますが、ミドリガメを食べる話はあんまり聞いたことがないので、そうなのか、おいしいんだーと思いまして(^^;)。
うちで飼っているやつを食べる気になるかどうかはまた別ですw
この本を見ていると、ミドリガメの解体はそれなりに大変そうで、多分、そのためにザリガニよりも食べた話が少ないんだと思いました。
セミはナッツ味、とか聞きますね。うちの犬は好きみたいですが、私は試したことないですw
この本には昆虫食は出てこないですが、多分、著者さんは猟師さんなので、解体の方により興味があるんじゃないかと思います。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:デコ
- ページ数:320
- ISBN:9784906905140
- 発売日:2017年05月01日
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