yukoさん
レビュアー:
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ノーベル賞作家である父。家族にかかる影。両親を覆う影。そして息子夫婦を飲み込む影。なんという忌まわしい影、影、影・・・
ノーベル賞作家である父アクセルは脳疾患で寝たきりで介護施設に入院しており、
その息子、ヤン=エリックは、父の作品についての講演会をこなし、数々の財団をまとめ、父の名声の名のもとに生きています。
物語は、とある男の子が、
「この子をよろしくお願いします。許してください」
というメモと一緒に捨てられているシーンから始まります。
男の子は成長し、脚本家として名をあげようとしているクリストファーという青年に。
アクセルに長らく仕えていた元家政婦のイェルダが孤独死。
そこへ遺品を整理しに来た自治体の管財人のマリアンは、
イェルダの遺品にあったアクセルのサイン入りの本から、彼女がアクセルのもとで家政婦をしていたことを突き止め、連絡をしてきます。
同時に、その身寄りのないイェルダは、クリストファーを遺産相続人に指定していたのです。
それを聞かされて、一瞬自分を捨てた母なのか?と思うクリストファーですが、
年齢的に祖母にあたるぐらいの歳であるためありえないことがわかり・・・
ではなぜ、イェルダはクリストファーを遺産相続人に指定したのか。
アクセルと息子、ヤン=エリックの間を覆う影とは。
またヤン=エリックとその妻を覆う影、
クリストファーを覆う影とは、
その正体は一体何なのでしょうか・・・
ノーベル賞作家という偉大な父を持ち、恵まれた環境で育ち、幸せであるはずのヤン=エリックの屈折した卑怯とも思える家族に対する不遜な態度の原因は何なのか、
アクセルと妻との関係、親子関係のぎくしゃくの理由、
アルコール依存症から立ち直り、まっとうに生きようとしているクリストファーの、自分は捨てられた子供だというやましさ、
それらが、イェルダの死をきっかけに、真実が明るみになっていき、
なのに、
真実が明るみになって闇があける結末ではなく、みんなみんな影に飲み込まれていってしまうという・・・
読んでいてとにかく息苦しい。
誰も彼もが緊張した関係にあり、どうしようもなく苦しみもがいている・・・
ある者はアルコールに逃げ、
ある者はアルコールを断ったことに自信をゆだねる。
けれど、
問題はアルコールだけで片付くようなものではなく、真実が明るみになってさらなる悲劇が起こります。
背表紙に、
「人は、ここまで堕ちることができるのか」
と書いてあったのですが、読み終えてその意味をしみじみと実感。
家族なのに・・・
それとも、家族だから?
己を守るためなら、家族なんていくらでも踏みにじることができるのか・・・
息苦しさを感じながらも、一気に読み終えてしまった、
久しぶりにずっしり、どっしりと心に響く本でした。
その息子、ヤン=エリックは、父の作品についての講演会をこなし、数々の財団をまとめ、父の名声の名のもとに生きています。
物語は、とある男の子が、
「この子をよろしくお願いします。許してください」
というメモと一緒に捨てられているシーンから始まります。
男の子は成長し、脚本家として名をあげようとしているクリストファーという青年に。
アクセルに長らく仕えていた元家政婦のイェルダが孤独死。
そこへ遺品を整理しに来た自治体の管財人のマリアンは、
イェルダの遺品にあったアクセルのサイン入りの本から、彼女がアクセルのもとで家政婦をしていたことを突き止め、連絡をしてきます。
同時に、その身寄りのないイェルダは、クリストファーを遺産相続人に指定していたのです。
それを聞かされて、一瞬自分を捨てた母なのか?と思うクリストファーですが、
年齢的に祖母にあたるぐらいの歳であるためありえないことがわかり・・・
ではなぜ、イェルダはクリストファーを遺産相続人に指定したのか。
アクセルと息子、ヤン=エリックの間を覆う影とは。
またヤン=エリックとその妻を覆う影、
クリストファーを覆う影とは、
その正体は一体何なのでしょうか・・・
ノーベル賞作家という偉大な父を持ち、恵まれた環境で育ち、幸せであるはずのヤン=エリックの屈折した卑怯とも思える家族に対する不遜な態度の原因は何なのか、
アクセルと妻との関係、親子関係のぎくしゃくの理由、
アルコール依存症から立ち直り、まっとうに生きようとしているクリストファーの、自分は捨てられた子供だというやましさ、
それらが、イェルダの死をきっかけに、真実が明るみになっていき、
なのに、
真実が明るみになって闇があける結末ではなく、みんなみんな影に飲み込まれていってしまうという・・・
読んでいてとにかく息苦しい。
誰も彼もが緊張した関係にあり、どうしようもなく苦しみもがいている・・・
ある者はアルコールに逃げ、
ある者はアルコールを断ったことに自信をゆだねる。
けれど、
問題はアルコールだけで片付くようなものではなく、真実が明るみになってさらなる悲劇が起こります。
背表紙に、
「人は、ここまで堕ちることができるのか」
と書いてあったのですが、読み終えてその意味をしみじみと実感。
家族なのに・・・
それとも、家族だから?
己を守るためなら、家族なんていくらでも踏みにじることができるのか・・・
息苦しさを感じながらも、一気に読み終えてしまった、
久しぶりにずっしり、どっしりと心に響く本でした。
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- 出版社:小学館
- ページ数:496
- ISBN:9784094083347
- 発売日:2009年11月06日
- 価格:880円
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