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DBさん
DB
レビュアー:
霧の古城で起きた事件の話
今回はスコットランドの城を舞台にした長編でした。
馬車に揺られ吊り橋を渡ったところにそびえたつ城砦に四人の男が招かれた。
手にした荷物を大事そうに抱え、招待主である「城主」を名乗る男に城へ招じ入れられる彼らの間には友好的な雰囲気などはかけらもない。
長身に青い瞳の伊達男、軍人風の黒人、小柄な白人の中年、そして銀髪の東洋人だ。
共通点もなさそうな彼らだが、巨大な城の中のいたるところに本棚をしつらえて古今東西の本を集めたという城主に手中の貴重な書物を見せてほしいと頼まれて集まったようだ。
プロのヴァイオリニストが決して楽器を手放さないように、それぞれのカバンに入れた書物を身から離さない四人の男は、滞在中の呼び名を与えられる。
すでに世界的な指揮者であることが判明している伊達男はそのまま「指揮者」、軍人は「将軍」、猜疑心が強そうな中年男が「実業家」で東洋人は「狩人」だった。

会話も弾まない時代錯誤したかのようなディナーを終え、一夜明けた翌朝。
霧に包まれた朝の空気は轟音で揺るがされた。
吊り橋が爆破され、周りは切り立った渓谷のために城は孤立してしまったのだ。
こういうシチュエーションにお約束の通り、携帯もメールも電波が悪く通じない。
陸の孤島と化した城では警備の隙をついて一人、また一人と客が被害にあっていった。
だが殺されたのは人間ではなく客が持ってきた書物だった。
まるで絞首刑にあったかのように吊るされた書物。
火炙りにあったかのように燃やされた書物。
そしてナイフを突き立てられて破壊された書物。

貴重な本を破壊されて持ち主たちは怒りを通り越して呆然とする。
我らがル・シャスールと正体がその髪で判明している狩人は、普段感情の読めない微笑みがトレードマークなのを忘れたかのように怒気をあらわにします。
人の命よりも本の方が大切だと本気で言うような男だけに、本の処刑は許せなかったようだ。
残骸となってしまった本は楽譜だったり、戦時中のスパイ網の詳細が書かれた本があり、そして悪趣味な写真集だった。
共通するのはそれらに同じようなスタンプが押されているという点だった。
破壊された本の残骸からル・シャスールは本に隠されている秘密と、そしてなぜ本が殺されなければならなかったかという謎を解いていきます。
三文小説そのままのストーリーでした。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2028 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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