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あかつき
レビュアー:
文字による絵画表現とでもいうべきなのか。紙面狭しと踊り狂う明朝体の文字のえろさに悶絶。
誰得な感じで続いてきたカエルシリーズも(とりあえず)最終章。
どうです、この本棚にずらっと並んだカエル本(※)、そうよこれが見たかったのよわたし。
しかも末尾を飾るのは題名だけカエルで別にカエル本ではないっていうこじつけ感満載ね。

さて、口から産まれてきたと言われ、死んでも喋っているとさえ言われるわたしだが、この本をどうレビューしたらいいのかわからない。

作者の夢枕氏さえ「このへんてこなもの」と言い「小説の棚にもコミックの棚にも絵本の棚にも、どの棚に並んでもおかしくない」と評している。

小説ではない。文章で構成されていない。
しかし、ストーリーはある。
では、何がストーリーを語るのか。
文字である。
むしろ、文字による絵本というべきか。
しかし、絵はない。
文字だけである。
ただ、文字が、躍り狂っている。
文字が物語を語る。
そんな本。

文字が語るのは、物語だけではない。
香りや風景や温度、そして音楽と宇宙さえ。
説明のしようがないので、もう画像をみてください。

NHKの教育でやってるような、文字がトコトコ動くアニメを、紙上で、オトナ向けにほのエロに作ったらこんな感じになるかな。

一番好きなのは、「伝言板」という作品。
駅の掲示板に、毎日同じ面子が伝言を書いていく、ただそれだけなのだけれど。
その中で、出会いあり、別れあり、取引あり、そして何か怪しげで壮大な実験あり、少しずつ世界自体が狂っていく。
これはれっきとしたSFだ。

    • (※)カエル本ずらっ!❤︎
    • カエルの死(冒頭)
    • 雪の夜(冒頭) 降っているのは「雪」という字
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あかつき
あかつき さん本が好き!1級(書評数:760 件)

色々世界がひっくり返って読書との距離を測り中.往きて還るかは神の味噌汁.「セミンゴの会」会員No1214.別名焼き粉とも.読書は背徳の蜜の味.毒を喰らわば根元まで.

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この書評へのコメント

  1. Yasuhiro2017-06-14 09:58

    草野心平にも、「●」という世界一短い詩がありますね。題名が「冬眠」、さすがカエル詩人!

  2. あかつき2017-06-14 11:58

    出た、心平!カエル好きは得てして詩人になるのです。

  3. No Image

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