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かもめ通信
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チェコのグリムと評されるカレル・ヤロミール・エルベンが収集した13篇の昔話と、お話に添えられた美しい挿絵が魅力。
本書に収録されているのは、チェコのグリムと評されるカレル・ヤロミール・エルベンが収集した昔話13篇と、ふんだんに盛り込まれている美しい挿絵。

19世紀、チェコ王国はオーストリア帝国に長く支配されていたため、上流階級はドイツ語を使用し、庶民はチェコ語を話していた。
そういう時代にあって、民俗学者であると同時に優れた詩人、作家であったエルベンは、チェコのわらべうたや民謡、ことわざなどを収集したのだという。

アルトゥシ・シャイネルの絵は、たとえ昔話なんて今ひとつピンとこないと思っている読者であっても、この美しく繊細な挿絵を眺めるだけでも楽しめるのでは!?というぐらい見応えがある。

更に付け加えるならば、この物語蒐集家エルベンは、ドヴォルザークが「水の精」「真昼の魔女」「金の紡ぎ車」「野鳩」の4つをとりあげて連続して交響詩にした「花束」の作者だ。

と、ここまででどれぐらいの人がこの本に興味を持ってくれたかしら?

物語はといえば、動物たちのことばがわかる不思議な力を持つ若者がいるかと思えば、『千と千尋の神隠し』に出てくる「カオナシ」のようなとんでもない奴が登場したり、千里眼を持つ男がいるかと思えば、ニワトリの国を治めることになった「イタチの王さま」がいたり、意外なところでは脇役ながらハエやカラスが活躍したりもする、ちょっぴり不気味な粒ぞろいの面白さ。

それがチェコの民話の特色なのか編者の好みを反映してのことなのかはわからないが、金髪の美女が登場する話が複数あるが、美しさゆえに玉の輿に乗る話はひとつもなくて、成り上がるのは貧しいが様々な幸運に恵まれた男性の方で、美女は報酬の一部だったり。
唯一女性が玉の輿に乗る話はなんと、彼女がなまけ者だからというとんでもない理由だったり。

それにしても昔話の3人きょうだいってどうしていつも末っ子が一番良い役なのかしら?
3人姉妹の真ん中としては、その点は昔から不満だったのよねえ……。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2236 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2019-12-16 06:03

    ゆったり旅する中欧4カ国 #本で旅する世界旅行
    チェコ・スロバキア・ハンガリー・ポーランドの中欧4カ国を巡る旅
    https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no372/index.html?latest=20
    本日最終日。
    駆け込み参加も歓迎ですw

  2. No Image

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