ゆうちゃんさん
レビュアー:
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モグラ、川ネズミ、ヒキガエルなど川辺に住む住人と森の主・アナグマを主人公とする動物ファンタジー。
本書も「やりなおし世界文学」の一冊。こちらの読書会で初めて読む本は、これまではなぜかアメリカ文学の作品が多かったので、ヨーロッパの作品を手にしてみた。
いわゆる動物ファンタジーと言う作品で、動物があたかも人間のように生活し、振る舞う。イギリスのどこかの川辺が舞台となっている。主なキャラクターは、川ネズミ、モグラ、アナグマ、ヒキガエル、ごくたまにカワウソである。冒頭では、家の掃除に飽きたモグラが川ネズミに出会う。川ネズミはとても親切で初対面のモグラを舟でピクニックに誘う。お弁当も出してくれた。川ネズミは、モグラを大金持ちで新しい物好きのヒキガエルに引き会わせてあげるし、いつか森の主ともいえるアナグマにも紹介すると約束した。しかし、モグラはそういう川ネズミの親切にはあまり応えているように見えない。自分も舟を漕ぎたいと言って強引にオールを奪い、ふたりとも川に落ちてしまうし、そのうち紹介するという川ネズミの言葉を待ちきれず森にひとり迷いこみ、しかも雪の荒天に遭ってしまう。そんなモグラに対して川ネズミはお人よしなくらい優しい。川に落とされてもそれほど怒らないし、武器を携えて森に捜索に行きふたりとも大雪の中、森を彷徨い運よくアナグマの家で雪をしのぐことが出来た。
前半の主人公がモグラならば後半の主人公はヒキガエルだ。金があるのを頼みに舟や馬車を次々と買う。最後に熱中したのは自動車で、買っては事故で破損させることを繰り返す。心配したアナグマや川ネズミ、モグラたちはヒキガエルの屋敷に乗り込んで、車の運転は諦めろと説得する。自分の屋敷の一室に監禁されたヒキガエルは脱出して、あるホテルに辿り着く。そこで自動車を見かけ、矢も楯もたまらず運転してスピードを出し過ぎた。事故を起こして、窃盗と公務執行妨害、交通違反で、ある古城の地下牢で刑に服することになった。看守の娘がみじめにやせ細るヒキガエルに同乗して脱獄に手を貸してくれて、ヒキガエルは脱獄した。脱獄が出来たのは良いが、金が一文もなく、巧みな甘言で列車、曳舟、馬、自動車と手段を変えて自分の屋敷に戻ろうとする。
動物ファンタジーと言うと牧歌的作品を想像するし、題名もそんな感じなのだが、本書の場合は冒険あふれる作品となっている。前半は川辺の生活が何事も新しいモグラの冒険、後半はヒキガエルの脱獄と自分の屋敷に帰るまで。脱獄したのだから屋敷に帰るなどとんでもない、また捕まるようなものだ、というところは、動物ファンタジーなので置いておくしかない。こういう作品では人間との関わりをどう描くのかが興味のあるところだが、前半は人間と動物の棲み分けみたいなことが書いてあり、人間の登場しない作品かと思った。しかし、後半になると人間と動物たちが普通にやり取りしている。この辺は、新美南吉の作品と同じコンセプトかなと思った。自分が借りた西村書店板は挿絵が真に迫って素晴らしい。動物たちがあたかも人間のように生活し、振る舞うのに違和感があるかもしれないが、表情豊かで細かいところまで描写された挿絵を見ると、そんな違和感は払拭されてお話の世界を楽しむことが出来る。
いわゆる動物ファンタジーと言う作品で、動物があたかも人間のように生活し、振る舞う。イギリスのどこかの川辺が舞台となっている。主なキャラクターは、川ネズミ、モグラ、アナグマ、ヒキガエル、ごくたまにカワウソである。冒頭では、家の掃除に飽きたモグラが川ネズミに出会う。川ネズミはとても親切で初対面のモグラを舟でピクニックに誘う。お弁当も出してくれた。川ネズミは、モグラを大金持ちで新しい物好きのヒキガエルに引き会わせてあげるし、いつか森の主ともいえるアナグマにも紹介すると約束した。しかし、モグラはそういう川ネズミの親切にはあまり応えているように見えない。自分も舟を漕ぎたいと言って強引にオールを奪い、ふたりとも川に落ちてしまうし、そのうち紹介するという川ネズミの言葉を待ちきれず森にひとり迷いこみ、しかも雪の荒天に遭ってしまう。そんなモグラに対して川ネズミはお人よしなくらい優しい。川に落とされてもそれほど怒らないし、武器を携えて森に捜索に行きふたりとも大雪の中、森を彷徨い運よくアナグマの家で雪をしのぐことが出来た。
前半の主人公がモグラならば後半の主人公はヒキガエルだ。金があるのを頼みに舟や馬車を次々と買う。最後に熱中したのは自動車で、買っては事故で破損させることを繰り返す。心配したアナグマや川ネズミ、モグラたちはヒキガエルの屋敷に乗り込んで、車の運転は諦めろと説得する。自分の屋敷の一室に監禁されたヒキガエルは脱出して、あるホテルに辿り着く。そこで自動車を見かけ、矢も楯もたまらず運転してスピードを出し過ぎた。事故を起こして、窃盗と公務執行妨害、交通違反で、ある古城の地下牢で刑に服することになった。看守の娘がみじめにやせ細るヒキガエルに同乗して脱獄に手を貸してくれて、ヒキガエルは脱獄した。脱獄が出来たのは良いが、金が一文もなく、巧みな甘言で列車、曳舟、馬、自動車と手段を変えて自分の屋敷に戻ろうとする。
動物ファンタジーと言うと牧歌的作品を想像するし、題名もそんな感じなのだが、本書の場合は冒険あふれる作品となっている。前半は川辺の生活が何事も新しいモグラの冒険、後半はヒキガエルの脱獄と自分の屋敷に帰るまで。脱獄したのだから屋敷に帰るなどとんでもない、また捕まるようなものだ、というところは、動物ファンタジーなので置いておくしかない。こういう作品では人間との関わりをどう描くのかが興味のあるところだが、前半は人間と動物の棲み分けみたいなことが書いてあり、人間の登場しない作品かと思った。しかし、後半になると人間と動物たちが普通にやり取りしている。この辺は、新美南吉の作品と同じコンセプトかなと思った。自分が借りた西村書店板は挿絵が真に迫って素晴らしい。動物たちがあたかも人間のように生活し、振る舞うのに違和感があるかもしれないが、表情豊かで細かいところまで描写された挿絵を見ると、そんな違和感は払拭されてお話の世界を楽しむことが出来る。
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神奈川県に住むサラリーマン(技術者)でしたが24年2月に会社を退職して今は無職です。
読書歴は大学の頃に遡ります。粗筋や感想をメモするようになりましたのはここ10年程ですので、若い頃に読んだ作品を再読した投稿が多いです。元々海外純文学と推理小説、そして海外の歴史小説が自分の好きな分野でした。しかし、最近は、文明論、科学ノンフィクション、音楽などにも興味が広がってきました。投稿するからには評価出来ない作品もきっちりと読もうと心掛けています。どうかよろしくお願い致します。
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- 出版社:西村書店
- ページ数:224
- ISBN:9784890139804
- 発売日:2017年03月28日
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