Kuraraさん
レビュアー:
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前半はリアル、後半は大暴走!展開の激しさに呆然となる。
「おいおいおい、なんという展開にしてくれるんだ!」と、途中からの激しい状況変化に気が遠くなりそうだった(笑)
本作のテーマは「介護」。前半は、妙にリアルな家族の介護問題から出発。家族間の会話がとにかく生々しく、林さんの経験や人から聞いた話がだいぶ含まれているんだろうな~なんて思っていた。くわえて、舞台である広尾の高級介護付きマンション「セブンスター・タウン」に住むお金持ちの老人たちの人物描写もかなり具体的で興味深い。
新聞のチラシで「誰がこんなところに入れるん?」ってくらい、高額な施設をよく目にする。実際住んでいるお金持ちは確かにいるわけで、やはりお金はあるとこにはあるんだなぁ....と、いつも思っていた。そんな実態が覗ける本書からは、嫌というほど「格差」を思い知らされることになる。
ましてやそこに勤めている従業員である受付係・細川邦子、看護師の田代朝子、ダイニングで働く丹羽さつきらは、自身も介護問題を抱え、悩み、疲弊しているという状況。自分たちの親とセブンスター・タウンに住む老人たちの格差を痛いほど感じている。毎日、手厚い介助を受け、幸せそうに過ごしているお金持ちの老人たちを目の当たりにして、こんな施設に自分の親も入居させたい.....と願う娘たちの気持ちまでは理解できる。
しかしだからと言って、彼女たちが起こした行動はあまりに軌道を逸したもので、最終的には「え、これって喜劇なの?」なんてノリになってしまっている。「ちょっと、ちょっと、落ち着いてくれ!みんな!」と叫びたくなる展開でして(笑)なぜこんな風になっちゃうの?って問うたところで解かるわけもなく。
微妙な流れはさておき、こういった施設で老後を過ごせる人々が必ずしも幸せとは限らないということは伝わって来ます。また、高齢者の結婚・再婚にはいろいろ問題があること、痴呆症の実態など、細かい部分に目を向けると、同じところに住んでいるとは言え、実に多種多様な問題が浮かび上がって来る。
さてさて、ラストはどうなったのでしょう。これもね、「お金持ちはそんな風に方向転換できるのか!やはり庶民には真似ができない。」と、どこまでも財力がある者の力を見せつけられた気がしましたが、一応、着地点はあったということで、きれいに終わっています。
途中から見られた娘たちの大胆行動は一度くらいにしておき、前半の雰囲気のまま描いていけば、もっとリアルだったのになぁと思うも、重いテーマを敢えてドタバタ劇にしたのかな?と思ったりも。その真相は分かりませんが、途中からの展開はここ最近ないものだったので、ちょっとびっくりでした。(笑)
本作のテーマは「介護」。前半は、妙にリアルな家族の介護問題から出発。家族間の会話がとにかく生々しく、林さんの経験や人から聞いた話がだいぶ含まれているんだろうな~なんて思っていた。くわえて、舞台である広尾の高級介護付きマンション「セブンスター・タウン」に住むお金持ちの老人たちの人物描写もかなり具体的で興味深い。
新聞のチラシで「誰がこんなところに入れるん?」ってくらい、高額な施設をよく目にする。実際住んでいるお金持ちは確かにいるわけで、やはりお金はあるとこにはあるんだなぁ....と、いつも思っていた。そんな実態が覗ける本書からは、嫌というほど「格差」を思い知らされることになる。
ましてやそこに勤めている従業員である受付係・細川邦子、看護師の田代朝子、ダイニングで働く丹羽さつきらは、自身も介護問題を抱え、悩み、疲弊しているという状況。自分たちの親とセブンスター・タウンに住む老人たちの格差を痛いほど感じている。毎日、手厚い介助を受け、幸せそうに過ごしているお金持ちの老人たちを目の当たりにして、こんな施設に自分の親も入居させたい.....と願う娘たちの気持ちまでは理解できる。
しかしだからと言って、彼女たちが起こした行動はあまりに軌道を逸したもので、最終的には「え、これって喜劇なの?」なんてノリになってしまっている。「ちょっと、ちょっと、落ち着いてくれ!みんな!」と叫びたくなる展開でして(笑)なぜこんな風になっちゃうの?って問うたところで解かるわけもなく。
微妙な流れはさておき、こういった施設で老後を過ごせる人々が必ずしも幸せとは限らないということは伝わって来ます。また、高齢者の結婚・再婚にはいろいろ問題があること、痴呆症の実態など、細かい部分に目を向けると、同じところに住んでいるとは言え、実に多種多様な問題が浮かび上がって来る。
さてさて、ラストはどうなったのでしょう。これもね、「お金持ちはそんな風に方向転換できるのか!やはり庶民には真似ができない。」と、どこまでも財力がある者の力を見せつけられた気がしましたが、一応、着地点はあったということで、きれいに終わっています。
途中から見られた娘たちの大胆行動は一度くらいにしておき、前半の雰囲気のまま描いていけば、もっとリアルだったのになぁと思うも、重いテーマを敢えてドタバタ劇にしたのかな?と思ったりも。その真相は分かりませんが、途中からの展開はここ最近ないものだったので、ちょっとびっくりでした。(笑)
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ジャンルを問わず、年間200冊を目標に読書をしています。
「たしかあの人が、あんなことを言っていたな…」というような、うっすら記憶に残る書評を書いていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:毎日新聞出版
- ページ数:460
- ISBN:9784620108261
- 発売日:2017年03月17日
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