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DBさん
DB
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航海中の船の台所の本
地球生命学や深海に生きる極限生物の研究をしている学者の本を読んでいるとよく登場するのがJAMSTECと「しんかい6500」です。
深海探査の風景のワンシーンで支援母船「よこすか」の話やお弁当のサンドイッチが出てくることもあるが、本書では「よこすか」のキッチンである司厨部のスタッフへのインタビューを中心に船の食卓の様子を見ていきます。

長い時は数カ月に及ぶ航海の間、乗組員や研究者に三食を作り続けるのが船の台所の役割だ。
よこすかの司厨部では毎日最大二百食を作るそうですが、司厨部のスタッフは日海事というJAMSTECが所有する船の運航管理を任されている企業の社員だそうです。
JAMSTECの船は六隻あって、司厨部は七グループあり順繰りに船に乗り込むので、味付けも少しずつ違うという。
トロール船や蟹工船で働いていた人もいて、そんな航海の様子も興味深い。
彼らが一様に口をそろえて語るのは、他の船に比べてJAMSTECの船は条件がいいらしく天国のような労働環境だという。

「しんかい6500」ではお弁当はサンドイッチが定番だが、このサンドイッチも毎日潜るパイロットのために具材を毎日変えているとか。
しかもパンは船上で焼いており、潜航する人たちの体調に配慮して作っているというプロの技だった。
昔は普通のお弁当を持たせていたが、やはり操作しながらでも片手で食べられるというメリットでサンドイッチが定着したそうです。
だが時には冷やし中華がお弁当になったり、お米が恋しくなったパイロットのリクエストでおにぎりも選べるようになったりときめ細やかだ。

「よこすか」での食卓も、好き嫌いのある人のために毎回肉と魚を両方そろえて出したり、野菜不足にならないように配慮したりと栄養バランスも考えられている。
好き嫌いなく毎回完食すると航海終わりには体重が増えているとか。
どんな時化の時でも料理するそうですが、揺れがひどいと油が危ないとか、食べる方の人が揺れのせいで味噌汁やカレーをぶちまけたこともあるそうです。
海外での食料買い付けの話や食糧貯蔵のための豆知識もあり、航海の様子が伝わってきます。
航海でとても大事な部分を担っている司厨部にスポットをあててみると、航海という日常が見えてくる。
JAMSTECの一般公開にでも行ってみたくなった。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2034 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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『深海でサンドイッチ 「しんかい6500」支援母船「よこすか」の食卓 (〈私の大学〉テキスト版)』のカテゴリ

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