かもめ通信さん
レビュアー:
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「もしもあなたが仮設住宅に暮らすとしたら……」祝! #書肆侃侃房15周年 記念読書会 参加レビュー。今回は仮設住宅について考えてみた。
タイトルをみて一瞬ギョッとした。
だって仮設住宅って、住みたくて住むものではないでしょう?
他にどうしようもなくて入居するところ…というイメージがあるのに
“これなら住みたい”ってなんだか…ね?
けれども、ページをめくって目が覚めた。
本は問いかける。
もしもあなたが仮設住宅に暮らすとしたら、
あなたにはどんな選択肢があるのだろう。と。
暑くて寒くて狭くてプライバシーがなくて……
そういうプレハブ住宅のイメージが私にはある。
と著者は言う。
災害救助法第23条では仮設住宅は「収容施設」の1つだと定義づけられている。
つまり「災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ること」を目的としていて、
仮設住宅は住居ではなく社会秩序の保全を図るための「収容施設」であるのだと。
現行法によれば仮設住宅は2年間に限って被災者を“収容”する装置なわけだが、
実際には2年間という短期入居ではなく
5年から10年という長期滞在になってしまっている。
にもかかわらず、そこはあくまで「住まい」ではなく「収容施設」なのだ。
そんな悲惨な仮設住宅での生活を憂い、
建設のスペシャリストたちが創った「マザープロジェクト」。
本書では、長期化する避難生活で入居者たちが少しでも快適な生活ができるようにと、
プロが作った16のプランを特徴別に分類し紹介している。
たとえば「敷地対応型」のプラン1では、
住み慣れた地域に住むことに重点をおき、
小さな基本ユニットを組み合わせて、
被害を免れた狭小、勾配等の地形でも建設可能な住宅を提案している。
「造り方にこだわる」プラン4では、
何度でも繰り返し使える木材をつかって
素人でも組み立てられる木組み住宅を提案していて、
実際に長野県栄村の仮設住宅に採用されたのだという。
他にも「ユニットシステムを考える」プランや
シェアハウスの提案などを含めた「コミュニティーに暮らす」プラン
人の住む仮設を復興住宅へと成長させる「復興住宅タイプ」のプランなど
興味深い提案が写真や図入りでわかりやすく説明されている。
実際にこうした提案を被災地で実現させていくことは
たやすいことではないだろう。
お役所の頭は硬いし、
従来型のプレハブ仮設住宅は
さまざまな制約から大手メーカー以外では
施工を請け負うことが出来ない“公共事業”になっていて、
そこには当然、既得権益もある。
もちろん仮設住宅が必要とされるような災害は起きない方がいいにきまっているが、
それでももしものときのために
“収容施設”から“住まい”へと、発想を転換させていく必要を感じさせる1冊だった。
だって仮設住宅って、住みたくて住むものではないでしょう?
他にどうしようもなくて入居するところ…というイメージがあるのに
“これなら住みたい”ってなんだか…ね?
けれども、ページをめくって目が覚めた。
本は問いかける。
もしもあなたが仮設住宅に暮らすとしたら、
あなたにはどんな選択肢があるのだろう。と。
暑くて寒くて狭くてプライバシーがなくて……
そういうプレハブ住宅のイメージが私にはある。
仮設住宅は阪神淡路大震災の頃からちっとも進歩していない。
と著者は言う。
災害救助法第23条では仮設住宅は「収容施設」の1つだと定義づけられている。
つまり「災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ること」を目的としていて、
仮設住宅は住居ではなく社会秩序の保全を図るための「収容施設」であるのだと。
現行法によれば仮設住宅は2年間に限って被災者を“収容”する装置なわけだが、
実際には2年間という短期入居ではなく
5年から10年という長期滞在になってしまっている。
にもかかわらず、そこはあくまで「住まい」ではなく「収容施設」なのだ。
そんな悲惨な仮設住宅での生活を憂い、
建設のスペシャリストたちが創った「マザープロジェクト」。
本書では、長期化する避難生活で入居者たちが少しでも快適な生活ができるようにと、
プロが作った16のプランを特徴別に分類し紹介している。
たとえば「敷地対応型」のプラン1では、
住み慣れた地域に住むことに重点をおき、
小さな基本ユニットを組み合わせて、
被害を免れた狭小、勾配等の地形でも建設可能な住宅を提案している。
「造り方にこだわる」プラン4では、
何度でも繰り返し使える木材をつかって
素人でも組み立てられる木組み住宅を提案していて、
実際に長野県栄村の仮設住宅に採用されたのだという。
他にも「ユニットシステムを考える」プランや
シェアハウスの提案などを含めた「コミュニティーに暮らす」プラン
人の住む仮設を復興住宅へと成長させる「復興住宅タイプ」のプランなど
興味深い提案が写真や図入りでわかりやすく説明されている。
実際にこうした提案を被災地で実現させていくことは
たやすいことではないだろう。
お役所の頭は硬いし、
従来型のプレハブ仮設住宅は
さまざまな制約から大手メーカー以外では
施工を請け負うことが出来ない“公共事業”になっていて、
そこには当然、既得権益もある。
もちろん仮設住宅が必要とされるような災害は起きない方がいいにきまっているが、
それでももしものときのために
“収容施設”から“住まい”へと、発想を転換させていく必要を感じさせる1冊だった。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:書肆侃侃房
- ページ数:160
- ISBN:9784863850644
- 発売日:2011年11月14日
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