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薄荷さん
薄荷
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いつまでたっても改築工事中の横浜駅がとうとう自己増殖を開始!?それから200年後・・・本州の99%が横浜駅化した!
横浜市民なら、間違いなく気になる!・・・けど「横浜」は出てこない(笑)
他府県の方も、すでに出オチ感のあるあらすじだけでニヤニヤ笑いが止まらない!
日本限定の大真面目にふざけてるSFです。

無限自己増殖する横浜駅は地続きの本州を掌握。
横浜駅から伸びる超長いエスカレーターが覆いつくした富士山は高度4000m超え、
伊勢神宮は20年に1度新しい社殿がにょきにょき生えて現在64個になり、
琵琶湖は広がる横浜駅に埋もれつつあり、消滅の危機に。
どっちを向いても横浜駅~♪どこまで行っても横浜駅~♪

人もまた、横浜駅によって選別されている。
① 脳にSuikaを埋め込まれた人々だけが存在を許された「エキナカ」
エキナカでは電力は無尽蔵にあり、食料・物資も豊富・・・だが、脳内Suikaは常に自動改札の監視下にあり、駅に不利益な行動をとった者=Suika不正利用者はエキナカから追放される。

② Suikaを持てない者とその子孫が細々と生活している「エキソト」。
横浜駅にへばりつくような海岸線に、エキソト・コロニーが点在している。
「エキナカ」から廃棄されるゴミで生活を成り立たせているが、突然廃棄品の流路が変わったことで食料が無くなって全滅したコロニーもあるらしい。

さて、本書の主人公・三島ヒロトは、九十九段下の岬にある「エキソト」コロニーで生まれ育った非Suika住民。
狭い岬の生活に疑問を持ち続けた彼は、2人の「エキナカ追放者」との関わりで人生と世界を大きく変えることとなる。
1人は「キセル同盟」メンバーだったと名乗る男で、今際の時に非Suika住民もエキナカに(5日間限定で)入れる「18きっぷ」をヒロトに手渡し、同盟リーダーを助けてくれと言い残す。
もう1人は20年ほど前にやってきた「教授」とよばれる認知症の老人で、「エキナカ」に旅立つヒロトに「42番出口に行け。そこにすべての答えがある」と謎の言葉を告げる。

そして、生まれて初めて訪れた新世界「エキナカ」は、外同様歪んだ世界だった…・!
知らない世界に翻弄されるヒロトは、「18キップ」の限定期間5日間で広大な「エキナカ」から「キセル同盟」リーダーを助け出し、謎の「42番出口」に到達することができるのか!?
すべての答えとは・・・人類の未来は・・・そもそも「横浜駅」とは何なのか・・・!?

・・・ってなカンジで、ここまで張り切って大風呂敷・・・小風呂敷(?)を広げていながら、ストーリーは結構あっさり。
主人公を含め、登場人物のテイストもかなりあっさり。(どっちかというと、途中で登場するサブキャラクターのアンドロイド2人の方が魅力的です。)
・・・んがっ!この本の魅力は「横浜駅」を始めとして各所にぶっ込まれるこってりしたパロディっぷりと、ちょいちょい出てくる「小ネタ」の絶妙加減ですので、充分に楽しめます。

ちなみに本書は著者がいろいろなSFのパロディとオマージュとしてネット上で発表していたものを、長編小説化してカクヨムWeb小説コンテストSF部門に応募し、大賞をとったものだそうです。
大変親切なことに加筆前の本編や、本書には載ってない外伝が、カクヨム(ネット小説投稿サイト)で読めます。
カクヨム

ついでに、これまた親切なことにコミックも無料で読めるヤングエースUPで連載中。
ヤングエースUP
映像を認識してから読むほうが話を楽しみやすいかなと思うので、コミック先読が個人的にはおすすめです(^^)v

せっかく面白い設定なので、横浜駅化していく日本を舞台としてブラッドベリの「火星年代記」を倣って「横浜駅年代記」をぜひ書いてほしいと願ってます。
もっといっ~ぱい小ネタをぶち込んでほしいものですな(笑)
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薄荷
薄荷 さん本が好き!1級(書評数:509 件)

10年前に読んだ本を再読してる最中だけど、内容がさっぱり思い出せず、ちょっと新鮮なのは楽しいけど自分が不安・・・。

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この書評へのコメント

  1. oldman2017-03-27 17:28

    横浜駅の自己増殖に思わず笑ってしまいました。確かにいつ行っても何処かを改築中ですし、地下街はドンドン増殖しています。
    ところで、SFって、てっきりScience Fictionだと思ってましたが、Stored Fareの事の様ですね。もしかしてdouble meaningなのでしょうか? 

  2. Wings to fly2017-03-27 18:11

    >いつまでたっても改築工事中の横浜駅
    それが自己増殖するなら、渋谷駅もきっと・・・
    という想像にニタついております。
    ああ、「横浜駅年代記」が読んでみたい(笑)→ 実家は戦前、横浜桜木町の商家でしたもんで、お墓は横浜のとある丘の上にあります。住んだことはないけれど、横浜はなんだか懐かしい町です。

  3. 薄荷2017-03-27 23:00

    >oldmanさん
    学生時代は私の庭のような横浜駅でしたが、工事やら改築やらが立て続けに起きた今、もうどこがどこやら…?先日は地下街の有隣堂から外に出られずパニックになりました(笑)

    SF=Stored Fare=あらかじめ運賃を貯めておいて利用する鉄道用乗車カードのシステム・・・って初めて知りました・・・。
    題名までも駄洒落!?・・・かどうか、著者の意図は不明です(^_^;)
    著者曰く、横浜駅に一ボケした所からツイッター連投で即興SFストーリーが出来、それをまとめてとりあえず「横浜駅SF」って題名付けてから、ほかに思いつかずにそのままになったそうですが・・・oldmanさんの着眼点の素晴らしさに、私の目からボロボロ鱗が落ちまくりました。

  4. 薄荷2017-03-27 23:02

    >Wings to flyさん
    いまや関東のサグラダファミリアと名高い横浜駅。
    先日当店常連のお客様(70代)が「私の生きてる間に駅はできるのかしらねぇ…?」と非常に答え辛いお言葉を零されました(T_T)

    桜木町の商家・・・って事は、世が世ならWings to flyさんはお店の看板お嬢様だったんですね~。
    お墓参りには横浜駅を利用されますか?増殖した駅の出口は間違えるととんでもないところに出るわ、地下街は改築中で通れないところはあるわ・・・で、ものすごく分かり辛いので、気を付けてくださいね(^_^;)

  5. ゆうちゃん2017-04-22 12:14

    横浜駅の工事・・、いつ終わるんでしょうね。巨大ターミナル駅の工事はなかなか終わらないのが定番になってしまいましたが・・。僕は、小学生の頃藤沢や横須賀に住んでいて、親に連れられて祖父母のいる川崎に年に数回行きました。そのたびに川崎駅の工事はいつ終わるのだろう?と思っていました。地下街アゼリアが開業したのが大学を卒業する頃です。
    横浜の場合、東横線と地下鉄の工事が終わって、これで終わりかと思ったら、まだまだ・・・。

  6. 薄荷2018-03-31 07:58

    >ゆうちゃんさん
    先日横浜高島屋前から地下街に入ったら、知っている道が行き止まりばかりで、頭の中に「ドラゴンクエスト・地下迷宮バージョン」の曲が流れまくりました(T_T)

    川崎は随分変わっちゃいましたね~!
    ちょっと前まで工場とガラの悪いおにいちゃんのイメージでしたが、すっかりオシャレになっちゃって、某情報番組で特集してるのを見てびっくりしました。

    横浜駅工事は予定では2020年に完成する・・・はずらしいですが、どうだか(笑)。
    噂では横浜駅工事100周年記念イベント考えてるんじゃないかって話です。

  7. No Image

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