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#はじめての海外文学vol.3 文系脳の私がSFにアレルギーを持たずに来られたのは、この作品のおかげかもしれない。
小学生の頃に子供向けの抄訳を読んで以来の再読である。その本を貸してくれた少年のことが密かに好きだった・・・という事を差し引いても、読みながらワクワクしたのを覚えている。コナン・ドイルの作品で最も有名なのは名探偵ホームズのシリーズだろうが、本書は後に色んな作品に影響を与え「ロストワールド物」と呼ばれる分野を生みだしたSF冒険小説の金字塔である。
「どっかの秘境に恐竜が生き残ってる話」としか覚えていなかったので、最新の翻訳で読み返すのは実に楽しかった。正確には「南米アマゾンの奥深くの高地に、遥か昔に絶滅した動物がいる」という設定である。そう主張するのは科学界の異端児チャレンジャー教授だが、世間は嘘だと信じない。事の真偽を確かめるべく旅立つ男たちの体験が、若き新聞記者のレポートという形で語られてゆく。
ジャングルに「殺せ、殺せ」と鳴り響く太鼓の音が先行きを暗示して不気味さを盛り上げる。切り立った高地に渡った後は「え~!どうなるの~!」の連続である。帰り道を失い、未知の生物に襲われ、思いもよらない戦いに巻き込まれ・・・再び蘇るあのワクワクドキドキ。本書には雑誌掲載時の挿絵が使われている。匂いを嗅ぎながら追いかけてくる肉食恐竜の絵が、臨場感たっぷりの描写を引き立ててゾワッとする。恐い~!でも面白い~!
波乱万丈のストーリーに配されるは、学者ふたり、冒険家の貴族、新聞記者という面々だ。すぐに論争を始める学者たちの会話では当時の科学知識(今はもう古いけれど)が披露され、全く性格の異なる4人の男たちのお喋りには所々で笑いを誘われる。まさに緩急自在の展開で、手に汗握るだけの話ではないのだ。また、訳注は会話に織り込まれた英国の社会風俗を丁寧に拾って説明しているので、良くも悪くも「大英帝国華やかなりし頃」の香りが漂ってくる。
ありえないけど愉快痛快な最後のエピソード、かの生物の羽ばたきと共に夢が広がる。子どもの頃は「サイエンスフィクション」なんて言葉は知らなかったけれど、SFが好きになれたのは、もしかしたらこの作品のおかげかもしれない。
「どっかの秘境に恐竜が生き残ってる話」としか覚えていなかったので、最新の翻訳で読み返すのは実に楽しかった。正確には「南米アマゾンの奥深くの高地に、遥か昔に絶滅した動物がいる」という設定である。そう主張するのは科学界の異端児チャレンジャー教授だが、世間は嘘だと信じない。事の真偽を確かめるべく旅立つ男たちの体験が、若き新聞記者のレポートという形で語られてゆく。
ジャングルに「殺せ、殺せ」と鳴り響く太鼓の音が先行きを暗示して不気味さを盛り上げる。切り立った高地に渡った後は「え~!どうなるの~!」の連続である。帰り道を失い、未知の生物に襲われ、思いもよらない戦いに巻き込まれ・・・再び蘇るあのワクワクドキドキ。本書には雑誌掲載時の挿絵が使われている。匂いを嗅ぎながら追いかけてくる肉食恐竜の絵が、臨場感たっぷりの描写を引き立ててゾワッとする。恐い~!でも面白い~!
波乱万丈のストーリーに配されるは、学者ふたり、冒険家の貴族、新聞記者という面々だ。すぐに論争を始める学者たちの会話では当時の科学知識(今はもう古いけれど)が披露され、全く性格の異なる4人の男たちのお喋りには所々で笑いを誘われる。まさに緩急自在の展開で、手に汗握るだけの話ではないのだ。また、訳注は会話に織り込まれた英国の社会風俗を丁寧に拾って説明しているので、良くも悪くも「大英帝国華やかなりし頃」の香りが漂ってくる。
ありえないけど愉快痛快な最後のエピソード、かの生物の羽ばたきと共に夢が広がる。子どもの頃は「サイエンスフィクション」なんて言葉は知らなかったけれど、SFが好きになれたのは、もしかしたらこの作品のおかげかもしれない。
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この書評へのコメント
- Wings to fly2018-01-30 22:27
かもめ通信さん
小学生の頃は騒がしくデリカシーのない男子諸君が大っ嫌いでした。が、席替えで隣同士になった男の子が、穏やかな優しい性格で本を読むのが好きで、読んだ本の話を聞くのが楽しかったのです。それで読み終わった本を気前良く貸してくれて、こういう男の子もいるんだなぁとビックリしました…という、懐かしい思い出です(^^)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Wings to fly2018-01-30 22:31
三太郎さん
えっ!チャレンジャー教授のお話ってシリーズだったの⁈
と驚きつつ調べたら、ホントだー。あと2冊あるんですね。その後あの人やこの人がどうなったのか知りたいけど、絶版なのか…残念!クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Wings to fly2018-01-30 22:47
Yasuhiroさん
「うんうん、そうそう!」と呟きつつ、楽しく書評を拝読しました♪
私にとってこの本は、子ども時代の楽しい思い出が重なります。今回再読しながら、あの少年がウェルズの「タイムマシン」を貸してくれたことも思い出しました。あれも新訳で読み返したくなったりとか、芋づる式に追想中…(笑)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Wings to fly2018-01-30 22:54
oldmanさん
おー!ギアナ高地の写真ありがとうございまーす!昔は神秘の国って感じでしたけれど、今や行こうと思えば行っちゃえる場所になりましたねえ。この本が書かれたのは1912年だそうです。世の中は激変しましたが、物語としての魅力が薄れてないのがスゴイと思います(-_-)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:光文社
- ページ数:251
- ISBN:B01KHBFEEI
- 発売日:2016年03月20日
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