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Yasuhiroさん
Yasuhiro
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オーブリー・ビアズリーの姉メイベルを主人公に据えたところとラスト・シーンはなかなかいいが、マハさん完全に手癖で書いてる感じ。
  久々に原田マハさんのアートシリーズを読みました。前回「アノニム」ではかなり痛い目にあったので(^^;)、現代パートと過去パートが交錯する原田マハ流正統派アート系で読み残していた「サロメ」をチョイス。ここのレビューでも好意的なものが多いですし、装丁も素晴らしい。期待大で読み始めましたが。。。

・322Pがものの3,4時間で読み終えられるってどうよ?

・現代パートの初めの問い(未発表のサロメの首の正体)の答えが、過去パートを読み始めた途端わかっちゃうってどうよ?(今回の現代パート、無意味に近いんじゃね?)

・相変わらず惚れた絵に入れ込み過ぎるんなんじゃないの?

というのが正直な感想です。アイデアが浮かべば後はいわゆる「手癖」で一本書けてしまうマハさんの能力はすごいと思いますが、その分進歩がないような気がします。

  思い入れは十分あるのに仰々しい修辞がどうしてもうわっ滑りしてしまい、人物の書き込みがステレオタイプで浅い。オスカー・ワイルドしかり、オーブリー・ビアズリーしかり、アルフレッド・ダグラスしかり。
  そして「男色」が重要なテーマなのに、マハさん男色シーンを書けない、これは致命的。

  一方今回はオーブリーの姉メイベルがだんだんと狂気を孕んでいくところと、過去パートの時系列構成、最後のシーンはよかったと思います。

  というわけで、マハさんのアートシリーズが好きな方には、主題が魅力的でかつ殆どの登場人物が実在しますし、安心して読める一冊です。が、個人的にはこういうテーマならもっと歯応えのある重厚な物語を書いてほしかったなと思います。

  ちなみに私はギュスターブ・モローの「出現」の方が好きだな。
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Yasuhiro
Yasuhiro さん本が好き!1級(書評数:513 件)

馬鹿馬鹿しくなったので退会しました。2021/10/8

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この書評へのコメント

  1. あかつき2017-11-02 12:17

    ワイルドはピアズリーの絵を気に入らなかったそうですが、その辺の謎解きはありました??

  2. Yasuhiro2017-11-02 12:45

    まさしくその辺を仰々しく嫉妬と怨恨のどろどろした理由に仕立て上げております"(-""-)"

  3. 風竜胆2017-11-02 15:54

    私は、ビアズレーの挿絵のある岩波文庫版で読みましたが、サロメは妖艶な美女のはずなのに、描かれているのは鬼女のような女。内面を描いた挿絵だとすればあれでもいいのでしょうが、日本の画家なら、美女を描きながらも、内面の怖さも出せたかもw
    たしかに耽美な感じはしますが、あれが西洋の限界かもしれませんw

  4. Yasuhiro2017-11-02 16:31

    >風師匠 コメントありがとうございます。さすが、岩波文庫版を読んでおられるとは!で、マハさんがオーブリーの口から語らせた風師匠の疑問の理由は

    「サロメは美姫なんかじゃない・・・・・化け物だよ」

    だそうです。もちろんオスカーの「サロメ」なんでしょうけど。

  5. あかつき2017-11-02 17:29

    サロメは美女より乳臭い小娘のがいいーーーー

  6. No Image

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