はるほんさん
レビュアー:
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ドイツで「ぼく、ペーター=ヘルトリングが好きなんだ」って子は、小学生でブラックコーヒーデビューする級のオトナじゃないだろうか。
ヨーンじいちゃんに続けて借りたコチラ。
とにもかくにも渋い児童書だ。
ドイツで「ぼく、ペーター=ヘルトリングが好きなんだ」って子は
小学生でブラックコーヒーデビューする級のオトナじゃないだろうか。
交通事故で両親を失った少年。
親類が集まるも、恐らく引き取り手がなかったのだろう。
自分の暮らしでやっとのおばあちゃんが、啖呵を切って引き取った。
そこから始まる二人の暮らし──
日常の後におばあちゃんの本音が書き添えられるような形で、物語は綴られていく。
大きな感動があるワケではない。
むしろ二人の毎日は等身大で、ごく当たり前のものだ。
ムツカシイ年頃の少年ともっとムツカシイ高齢者のやりとりは
ほんわか路線と呼ぶにはややケンノンでもある。
でもだからこそ──読んでしまうのだろう。
自分も小さい頃は、たくさん本を読んだ。
非日常的な話や不思議な話、創造の人物たちにわくわくしたし、
今でも読み返したいと思うくらい、思い入れがある。
けれど案外、シュールな話が頭の奥に残っていたりする。
ホントに渋い児童書なのだ。
少しばかり口の悪いおばあちゃんがお役所に文句を言ったりして、
大人の事情がちょっとばかり隠れている。
子供向けとは言い難い。
だが大人向けなのかというと、ソレも違う気がするのだ。
ヘルトリングは案外こう伝えているのではないか。
君たちはまだ子どもだ。
オトナたちは、こんな話は難しいと思うかもしれない。
──でも君たちは、案外分かっているだろう?
ママたちが知らないだけで、君たちにはオトナの部分もあるんだよね。
高齢者の生活の侘しさと不安。
大人だけど、オトナげないことだって言ってしまう。
でもおばあちゃんはいつだって、孫が心配で大好きで溜まらないだけなのだ。
そう、君たちは分かってるだろう──?
ヘルトリングの本は、子供を「オトナ扱い」した本なのではないだろうか。
子どもたちは敏感だ。
自分をちゃんと見てくれる人が、分かる。
ヘルトリングのの期待に応えるように、その子はじっと字を追う。
勿論まだムツカシイこともあるだろうから、たくさん考えながら。
きっとそんな本は、大きくなっても頭のどこかに残るのだ。
子どもじゃなくたって、トウのたった大人が読んでも大丈夫。
ウチのばーちゃんも大概ヘンな御仁だったので、
オモロイ半面、まぁまぁ大変なこともあったのだが、
いまは全部、そうだよね、そうだったんだよねと
ページをめくって思い出すことが出来る。
ばーちゃんは孫の私が大好きだったんだよね。
勿論、私もばーちゃんが大好きだった。
この本の二人のように。
──そう、それが分かっていれば君もオトナさ。
ヘルトリングが、そう頷く。
とにもかくにも渋い児童書だ。
ドイツで「ぼく、ペーター=ヘルトリングが好きなんだ」って子は
小学生でブラックコーヒーデビューする級のオトナじゃないだろうか。
交通事故で両親を失った少年。
親類が集まるも、恐らく引き取り手がなかったのだろう。
自分の暮らしでやっとのおばあちゃんが、啖呵を切って引き取った。
そこから始まる二人の暮らし──
日常の後におばあちゃんの本音が書き添えられるような形で、物語は綴られていく。
大きな感動があるワケではない。
むしろ二人の毎日は等身大で、ごく当たり前のものだ。
ムツカシイ年頃の少年ともっとムツカシイ高齢者のやりとりは
ほんわか路線と呼ぶにはややケンノンでもある。
でもだからこそ──読んでしまうのだろう。
自分も小さい頃は、たくさん本を読んだ。
非日常的な話や不思議な話、創造の人物たちにわくわくしたし、
今でも読み返したいと思うくらい、思い入れがある。
けれど案外、シュールな話が頭の奥に残っていたりする。
ホントに渋い児童書なのだ。
少しばかり口の悪いおばあちゃんがお役所に文句を言ったりして、
大人の事情がちょっとばかり隠れている。
子供向けとは言い難い。
だが大人向けなのかというと、ソレも違う気がするのだ。
ヘルトリングは案外こう伝えているのではないか。
君たちはまだ子どもだ。
オトナたちは、こんな話は難しいと思うかもしれない。
──でも君たちは、案外分かっているだろう?
ママたちが知らないだけで、君たちにはオトナの部分もあるんだよね。
高齢者の生活の侘しさと不安。
大人だけど、オトナげないことだって言ってしまう。
でもおばあちゃんはいつだって、孫が心配で大好きで溜まらないだけなのだ。
そう、君たちは分かってるだろう──?
ヘルトリングの本は、子供を「オトナ扱い」した本なのではないだろうか。
子どもたちは敏感だ。
自分をちゃんと見てくれる人が、分かる。
ヘルトリングのの期待に応えるように、その子はじっと字を追う。
勿論まだムツカシイこともあるだろうから、たくさん考えながら。
きっとそんな本は、大きくなっても頭のどこかに残るのだ。
子どもじゃなくたって、トウのたった大人が読んでも大丈夫。
ウチのばーちゃんも大概ヘンな御仁だったので、
オモロイ半面、まぁまぁ大変なこともあったのだが、
いまは全部、そうだよね、そうだったんだよねと
ページをめくって思い出すことが出来る。
ばーちゃんは孫の私が大好きだったんだよね。
勿論、私もばーちゃんが大好きだった。
この本の二人のように。
──そう、それが分かっていれば君もオトナさ。
ヘルトリングが、そう頷く。
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歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。
年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。
秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。
2018.8.21
この書評へのコメント

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- 出版社:偕成社
- ページ数:170
- ISBN:9784037260705
- 発売日:1979年02月01日
- 価格:1188円
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