薄荷さん
レビュアー:
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このお話が何より素晴らしいのは、ちゃんとした大人の作家が、ちゃんと子供のために書いた、ちゃんとしたミステリだと言う事です。
舞台は、夏休みで賑わう巨大遊園地!
事件は、天才と名高い小学生たちの消失劇!
犯人は、顔半分を赤いマスクで隠し、銀色の眼をした正体不明の伯爵と名乗る男!
その派手な犯行予告の通り、遊園地の中の『消えるはずのない状況』で子供たちは姿を消していく・・・!
1人目は観客が大勢いるマジックショーで宙吊りBOXの中で、
2人目は最高速度・時速400キロのジェットコースターに乗っている最中に、
3人目は巨大迷路のミラーハウスで、
4人目は懐かしの蝋人形館で、
そして5人目・・・!?
警察が右往左往する中、黒眼鏡に黒背広の怪しい名探偵・夢水清志郎は言い放つ。
「ぼくにはすべてわかってますけどね」
謎の怪人・伯爵VS名探偵・夢水清志郎!勝つのはどちらか・・・!?と思いきや、名探偵は・・・
「いや、困ったな。じつは、まだ言えないんですよ」
・・・って、おいおい!?
世間から罵倒されようと、周囲からせっつかれようと、彼は気にしない。
1日中(寝るときまで)黒い背広しか着てなくて、
食事を忘れるくせに隣の家でカレー5杯かっ込むくらい意地汚くて、
身近な中学生から小銭をかすめ取ろうとするくらいセコくて、
自分の生年月日さえ忘れるくらい忘れっぽくて、
その他いろいろ社会的な常識がなくても・・・名探偵は自信満々!ぐーたら三昧!
・・・って、あれ?
もとい!彼がすぐに謎解きを始めないのは、彼が「本当の名探偵」だから。
犯人を捕まえるだけで事件は終わるわけじゃない。『ほんとうにみんなが幸せになるように事件を解決する』のが、真の名探偵なのだ!
そしてついに、機は熟した。
展望レストランに集められた関係者たちを前に、名探偵は口をひらく。
「さて・・・」
*******************
絵にかいたような探偵小説をベースに、笑いと幸せ感を詰め込んだこのお話がすごいのは、最初っから読者の視線を逃さないための手段を惜しみなく発揮していること。
ホームズ御大が初対面の依頼人(+ワトソン君)をいつも驚かせるのと同じように、著者は導入部分で読者を驚かせてくれます。
そこへ、語り手であるお隣の娘さんのセリフが、ダメ押し。
おぉっと!ヤられたぜ!Σ( ̄□ ̄;)
このセリフは、はやみねかおる氏が読者に、ニヤッと笑って宣戦布告しているわけですよ。
子供はこの作者だから面白かろうと期待したりしないし、読み始めてつまらなかったら放り投げて二度と顧みない可能性が高い、意外にシビアな読者です。
そんな子供心をがっちりつかんでお話の中にするりと呼び込む・・・その鮮やかな手腕にスタンディングオベーションをするのは紳士淑女のミステリ好き大人一同。
そしてそんな大人も、名探偵の名セリフにハッとします。
中でも痺れたのが、子供は今と昔とどっちが幸せだったと思う?という子供の問いに、答えるシーン。
小学校の先生だった著者が語るこの言葉が、すべての物語の信念であり願いだと心にしみるからこそ、この本は『正しく子供のために書かれている』と大人が感動するのです。
というわけで、本好き・ミステリ好きな子供はもちろんですが、あまり本を読まない子にも、おすすめです。
もちろん、大きなお友達にもお勧めですよん(^^)v
P・S
本書は #棚マル 応援企画!みんなの推薦本リストを制覇しよう! 推薦本です。
フェアの選書に入らなかったのが大変残念ですが、素敵な本なのは間違いないので本屋さんで見かけたらぜひ手に取ってください♡
事件は、天才と名高い小学生たちの消失劇!
犯人は、顔半分を赤いマスクで隠し、銀色の眼をした正体不明の伯爵と名乗る男!
その派手な犯行予告の通り、遊園地の中の『消えるはずのない状況』で子供たちは姿を消していく・・・!
1人目は観客が大勢いるマジックショーで宙吊りBOXの中で、
2人目は最高速度・時速400キロのジェットコースターに乗っている最中に、
3人目は巨大迷路のミラーハウスで、
4人目は懐かしの蝋人形館で、
そして5人目・・・!?
警察が右往左往する中、黒眼鏡に黒背広の怪しい名探偵・夢水清志郎は言い放つ。
「ぼくにはすべてわかってますけどね」
謎の怪人・伯爵VS名探偵・夢水清志郎!勝つのはどちらか・・・!?と思いきや、名探偵は・・・
「いや、困ったな。じつは、まだ言えないんですよ」
・・・って、おいおい!?
世間から罵倒されようと、周囲からせっつかれようと、彼は気にしない。
1日中(寝るときまで)黒い背広しか着てなくて、
食事を忘れるくせに隣の家でカレー5杯かっ込むくらい意地汚くて、
身近な中学生から小銭をかすめ取ろうとするくらいセコくて、
自分の生年月日さえ忘れるくらい忘れっぽくて、
その他いろいろ社会的な常識がなくても・・・名探偵は自信満々!ぐーたら三昧!
・・・って、あれ?
もとい!彼がすぐに謎解きを始めないのは、彼が「本当の名探偵」だから。
犯人を捕まえるだけで事件は終わるわけじゃない。『ほんとうにみんなが幸せになるように事件を解決する』のが、真の名探偵なのだ!
そしてついに、機は熟した。
展望レストランに集められた関係者たちを前に、名探偵は口をひらく。
「さて・・・」
*******************
絵にかいたような探偵小説をベースに、笑いと幸せ感を詰め込んだこのお話がすごいのは、最初っから読者の視線を逃さないための手段を惜しみなく発揮していること。
ホームズ御大が初対面の依頼人(+ワトソン君)をいつも驚かせるのと同じように、著者は導入部分で読者を驚かせてくれます。
そこへ、語り手であるお隣の娘さんのセリフが、ダメ押し。
そして、もちろん、ここまで読んできたあなたも、見破ることはできなかったでしょ?
おぉっと!ヤられたぜ!Σ( ̄□ ̄;)
このセリフは、はやみねかおる氏が読者に、ニヤッと笑って宣戦布告しているわけですよ。
子供はこの作者だから面白かろうと期待したりしないし、読み始めてつまらなかったら放り投げて二度と顧みない可能性が高い、意外にシビアな読者です。
そんな子供心をがっちりつかんでお話の中にするりと呼び込む・・・その鮮やかな手腕にスタンディングオベーションをするのは紳士淑女のミステリ好き大人一同。
そしてそんな大人も、名探偵の名セリフにハッとします。
中でも痺れたのが、子供は今と昔とどっちが幸せだったと思う?という子供の問いに、答えるシーン。
どっちも幸せだよ。子供は、いつの時代だって幸せなんだ。また、幸せでなくちゃいけないんだ
小学校の先生だった著者が語るこの言葉が、すべての物語の信念であり願いだと心にしみるからこそ、この本は『正しく子供のために書かれている』と大人が感動するのです。
というわけで、本好き・ミステリ好きな子供はもちろんですが、あまり本を読まない子にも、おすすめです。
もちろん、大きなお友達にもお勧めですよん(^^)v
P・S
本書は #棚マル 応援企画!みんなの推薦本リストを制覇しよう! 推薦本です。
フェアの選書に入らなかったのが大変残念ですが、素敵な本なのは間違いないので本屋さんで見かけたらぜひ手に取ってください♡
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スマホを初めて買いました!その日に飛蚊症になりました(*´Д`)ついでにUSBメモリーが壊れて書きかけレビューが10個消えました・・・(T_T)
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